もしかして→オオツノジカ
概要
属名はシノメガロケロス(「中国のメガロケロス」の意)で、メガロケロスとは別属。
第四紀中期更新世(約30万年前)から更新世末(約1万2000万年前)の中国や日本に棲息しており、ナウマンゾウやハナイズミモリウシと同様に古代の日本列島を代表する陸棲大型哺乳類の一種であった。
メガロケロス属よりは小型だったが、それでも肩高1.8m、体長2.6mに達した(ワピチと類似した大きさ)。
角がだいぶ小ぶりだが、これは山岳や森林の多い日本列島に適した姿とも言えるだろう。また、シノメガロケロス属には更に特徴的な角を持つ種類もいた。
ちなみに、大陸に見られた同種類よりも大型とされているが、これは大陸と日本が連結していた故だと思われ、日本列島が大陸から孤立した後も絶滅していなければ、島嶼矮小化が発生して小型化していた可能性もある。
南方種だがナウマンゾウ同様氷河期の北海道まで進出しており、北方から本州へ下ったヘラジカと日本国内における分布が似ていた。これは、従来の仮説とは異なり、ブラキストン線を陸棲動物が越えていた事を示唆している。
ヤベオオツノジカは、オオヤマネコと共に縄文時代まで生存しており、日本列島の更新世のメガファウナでは最後まで生き残った種類の一つである。
上記の通りヤベオオツノジカの角は他の種類の角よりかなり小型で横幅も狭く森林生活により適しているだろう事、最終氷期以前の氷河期と温暖期も生存している事、より角の大きなヘラジカが現在も森林に生息している事などから、これまでにあった「日本では気候変動によって森林が増えたからオオツノジカは角のせいで絶滅した」という説も通用しなくなる可能性もある。つまり、人間による狩猟の影響の可能性がさらに大きくなったと思われる。