概要
北海道に生息していたオオカミ。本州に生息していたニホンオオカミに比べると大型である。
(虎など大型猫科動物が絶滅した以降において)かつてはエゾヒグマと共に、北海道の生態系の頂点に君臨していた。
多くのオオカミと同じく群れで生活し、エゾシカを主な獲物としていたが、時には海岸に打ち上げられたクジラの死体やニシンも食べていたという。特に、魚食性であったことは2017年に判明した(参照)。
古来からアイヌの人々と共存しており、神として崇められていた。彼らは時々毒矢を使ってオオカミ狩りをしていたそうだが、これは彼らの生活に必要な範囲の1つであったため、オオカミの個体数に影響を与える事はなかった。
絶滅へ
明治時代、本州から北海道に来た開拓者により、獲物であったエゾシカが次々と減少し、代わりに放牧された家畜の馬を襲うようになった事で害獣扱いされ、1877年に懸賞金がかけられ、大々的なエゾオオカミ駆除が始まった。
また、1879年に発生した大雪によるエゾシカの大量死により、彼らを主な獲物としていたエゾオオカミの個体数の激減に拍車をかけた。
これらに加え、ニホンオオカミと同じく西洋犬由来の伝染病(狂犬病、ジステンパー等)も個体数の激減に影響したとされている。
その後1888年までに、1539頭(官庁によって駆除されたのも含めると、推定で2000~3000頭とも)もの個体が殺された。しかし、オオカミの毛皮は高い値段で取引出来るため、ほとんど姿が見られなくなるまで、オオカミの狩猟が止まる事はなかった。
そして1896年に数枚の毛皮が取引されたという記録を最後に確認例がなく、絶滅したとされる。
その後
天敵であったエゾオオカミがいなくなった事で、獲物だったエゾシカは逆に増加し続け、それによって農業被害が多発、生態系に大きな影響を及ぼした。
日本では今、その生態系を取り戻すために、エゾオオカミやニホンオオカミに近い種類であるハイイロオオカミで、オオカミを再導入しようとする動きがあるが、反対する声もあり、なかなか実現出来ずにいる。
関連タグ
エゾオオカミ(けものフレンズ)……本種をモチーフにしたキャラクター
ゴールデンカムイ…劇中に「レタㇻ」と呼ばれる個体が登場する。
ヒスイガーディ→ヒスイウインディ…狛犬がモチーフだが、生息地のモデルや、現在では衰退したという設定を踏まえるとエゾオオカミも着想元の1つになっていると思われる。