概説
主にモロッコやリビアなど北アフリカに生息していたライオンの亜種で、アトラスライオンとも呼ばれる。また、古代古典上に登場するガエトゥリライオンは、特徴が似ていることからバーバリライオンの事だとする説もある。
ライオンの亜種の中でも最大級で、雄は体長2.8メートルに達し、立ち上がらなくても大人の男の身長と同じ背丈がある。
しかも胸板が厚いマッチョ体形で、オスのたてがみは胴体まで覆っている。
でかくてマッチョで毛深いという、まさに1970年代までの男らしい男のようなライオンである。
もふろうとしたが最後、原型をとどめないことになるのは確実である。
経緯、現況
でかくて見栄えが良いため、ローマ帝国時代にはしばしば戦利品としてまとまった数がローマに連れて行かれて見世物にされていた。闘技場で剣闘士と戦わされたほか、キリスト教の信者達を中心とした罪人の処刑にも使われた。
かつては北アフリカに広く分布していたが、この乱獲によって数を減らしていた上、ローマ帝国滅亡後も狩猟対象から除外されることはなく、19世紀から20世紀にかけて絶滅したとされていた(同じくモロッコに棲息したアトラスヒグマなども、同様の理由で絶滅した)。
しかし2012年にモロッコ国王の私設動物園で30頭が飼育されていたことが判明し、絶滅から野生絶滅に切り替えられた。だが、後に遺伝的には純粋な個体は生存していないかもしれない(ほとんどが他亜種との交雑個体)と判断されてしまっている。僅かに過去の交雑個体の遺伝子が他亜種から確認できるだけのケープライオンよりかは、それでもマシかもしれないが…。
余談
サッカーモロッコ代表チームのニックネームである『アトラス・ライオンズ(英:Atlas Lions)』または『リオンズ・デラトラス(仏:Lions del'Atlas)』はこのライオンの異称アトラスライオンに因む。
また『ライオンキング』の悪役・スカーは、バーバリライオンがモチーフとなっている。実写版においては容姿からその設定が踏襲されているのかは長い間謎だったが、2024年末に公開を控えるフランチャイズ30周年記念作『ムファサ<ライオン・キング>』の予告にてスカーの父親がそれらしき容姿であったり、
タカ(スカーの本名)は未来の王なのだから、
その血筋を絶やしてはならないのだ
と言及していることから真相はまだ謎にしろ匂わせ自体はあることが判明した。
永井豪の短編(後に週刊誌連載)『真夜中の戦士』の登場人物であるナンバー1の頭部造型がどう見てもバーバリライオンである。参考画像