メガラダピス
めがらだぴす
霊長類の中でも原始的なキツネザルの仲間。属名は始新世に棲息していた古代霊長類の一種アダピスに近縁と考えられたことから、「巨大なアダピス」を意味する。
頭骨だけでも30cm、体長は1.5m、体重50㎏と、現生キツネザルでは最大とされるインドリを遥かに上回り、史上最大のキツネザルとされている
とされていたが、現在では体重190kg前後 (かつては240kg以上と推測されたことも)とゴリラレベルの体躯を持つ Archaeoindrisの方が大きくなったのかもしれない。また、パレオプロピテクスも体重40 ~ 60kg 程度と、同程度の体重があった。
マダカルカルの絶滅メガファウナ(大型動物群)の一角を成しており、他にも十数種以上の大型キツネザル(上述にあるような、ナマケモノのように主にぶら下がって生活していたと思われる種、ゴリラに匹敵する大型種、テナガザルのように腕が極端に長い種、ヒヒのように主に地上で生活していたと思われる種、現生種より大型のアイアイなど)、巨大な陸生の鳥エピオルニス、巨大な陸ガメ、固有のカバ数種類(コビトカバ型のものを含む)、ツチブタに似た進化を遂げたテンレックの一種、固有のワニ(角のような突起があった)、現生種よりも更に大型のフォッサ、マダガスカルカンムリワシなどがいた。
一般的なキツネザルと異なり四肢は短く、尾も極端に短いのが特徴で、外見はオーストラリアのコアラに近かったと推定されている。生態もコアラと同様、ゆっくりとした動作で樹上生活をしながら木の葉や果実を食べていたらしい(そのため「コアラキツネザル」と呼ばれることもある)。
同じくマダガスカルの固有種だった飛べない鳥のエピオルニスなどと同様、約2000年前に移住してきた人類の乱獲や森林伐採の影響で、今から400~600年前に絶滅したと考えられている(18世紀頃まで生存していた説もあり)。マダガスカルでは、森の奥に人ほどもある巨大なインドリが棲息しており、猟師の投げた槍を手づかみして投げ返すという伝承があるが、この巨大インドリがメガラダピスではないかとする説もある。固有のカバなど他のメガファウナにも、西洋人の到来の前後までの生存説がある。マダガスカルに限らず、他の陸地から隔絶されていた地域の固有種は生息域が制限されるため、生息数が元より多くない上、新たな天敵の出現などの大きな変化などをほとんど経験していないため、極めて脆弱であり、絶滅しやすいリスクを抱えている。