概要
北太平洋北西部およびその付属海(オホーツク海・日本海・黄海・渤海・瀬戸内海・東シナ海)に生息していたカリフォルニアシカの亜種。
大きさもふくめ、外見からカリフォルニアアシカと判別することは困難だとされているが、頭骨の形状や歯の数などに明確な違いがあったともされている。
明治以降、毛皮や油を目的に乱獲が進み、1950年代には絶滅したと考えられている。
日本列島の各地にある数多の地名の由来になっており、最も著名な事例では「犬吠埼」や近隣の「海鹿島」、東京湾の「アシカ島」、礼文島付近の「海驢島」など、今もニホンアシカの生息の名残である地名が方々に残されている。
最後の公式の記録は、1974-1975年に礼文島と竹島にて存在する。
なお、近年にいたるまで「アシカ」の目撃情報があり、中にはトドやオットセイの誤認ではなくて本当に「アシカ」と思わしい記録もあるが、果たしてニホンアシカの生き残りがいるのか、それともカリフォルニアアシカが迷行したり飼育施設から逃げた場合なのかは不明である。
- キタゾウアザラシが日本列島に流れ着く場合もあることから、カリフォルニアアシカが偶然に日本列島に来遊する可能性は十分にある。
余談
- 「リャンコ大王」という大型の雄が有名であり、現在でも彼の剥製が現存している。
- 「リャンコ」とは、竹島(独島)の英語名である「リアンクール・ロックス」に由来する。
- たとえばクジラやジュゴンと同様に、ニホンアシカも領土問題や政治問題もふくめて国家間で互いを攻撃したり政治問題の材料にされやすい。
- ウィキペディアにニホンアシカの生体個体の画像を提供したのは日本の右翼系のユーザー(団体)であったり、日韓のユーザー同士による編集合戦により、本種や竹島関連の英語版の記事は認証ユーザー以外は編集不可になっているほど。
- 本種の絶滅には両国(捕獲数と捕獲範囲でいえば日本の方が大きい)が関係しているため、政治問題化したとしても堂々巡りになるだけである。
- 当然ながら、現在でも生き残っていれば、エコツーリズム(観察)の対象として大きな魅力を発揮したと思われる(現在の日本列島では、鰭脚類の分布はほとんどが北海道に限定されており、中には積丹など野生のトドと泳げる地域もある)。
- その代わり、韓国はかつてカリフォルニアアシカを「リワイルディング(生態系や自然環境の人工的な復元)」の一環として竹島や朝鮮半島に代用種として導入する計画を発表したことがあるが、政治問題や漁業関係者などとの軋轢もあって話が立ち消えになった様である。
- 韓国ではなにかと政治問題に自然保護が阻害される事例が目立つ。たとえば、「DMZ(非武装地帯)」を自然保護区にしようとしても北朝鮮から同意を得られずに失敗したり、ミンククジラを保護しようとしても飲食業界からの反発を受けて計画が滞ったりなど。
- 「リワイルディング」が実際に実行されるのは、大多数の場合は人間との軋轢が比較的少ない草食動物である(例:アメリカバイソン→ロシア、シフゾウ→中国、ヨーロッパバイソンやモウコノウマやビーバーなど→イギリスやチェルノブイリなど、水牛や馬など→ウクライナなど)。草食動物は文字通り草しか食べないため、雑食で特に硬い草をほとんど食べる事が出来ない人間とは食物での競合が起きない、人間や家畜などへの危険性が比較的低い、などの理由から、再導入へのハードルが低いためである。
関連タグ
ユーラシアカワウソ:日本列島に昔は絶滅亜種が存在し、近年に日本列島に亜種が自然に流れ着いたことがある水棲哺乳類の例。
トド・ラッコ・ザトウクジラ・ナガスクジラ:日本列島で絶滅や消滅寸前まで激減したが、再定着が始まったためにホエールウォッチングなどの観察業への利用も開始されている海獣の例。