概要
哺乳綱鯨偶蹄目ウシ科バイソン属の動物の一種。北アメリカの森林地帯や草原や山岳地帯に棲む大型の植物食動物で、ヘラジカと並び北米最大の陸上動物であり、特にシンリンバイソンはガウルやヤクにも劣らないと言われる最大級の現生ウシ。
ヨーロッパバイソンもヨーロッパ最大の陸上動物 (他のメガファウナの絶滅後)。アメリカではバッファロー、ヨーロッパではウィセント、ヴィーゼント、ジュブル等とも呼ばれる。お酒のズブロッカもヨーロッパバイソンが名前の由来である。
別名「サンダービースト」。命名の理由は、ブロントテリウムが「雷獣」と呼ばれたり竜脚類が「カミナリ竜」と呼ばれるのとたぶん同じ。
アメリカ先住民の言語では「タタンカ(ラコタ語)」や「アヤニ(ナヴァホ語)」などの呼称がある。
アメリカバイソンの一種ヘイゲンバイソンは、学名の意味が「バイソン・バイソン・バイソン」と、どこか「ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ」を思わせる。
2016年5月9日、アメリカ合衆国の国獣に指定される。
頭胴長:雄 270~350cm 雌 213~285cm
肩高:雄 167~201cm 雌 152~177cm
尻尾:57~97cm
体重:雄 544~1360kg以上 (飼育個体は1724kg) 雌 318~545kg
成獣は頭部や肩部、前肢が黒や褐色の長い体毛で覆われる(幼獣ではこの上半身の体毛は伸長していない)。肩部は全て筋肉で盛り上がり、雄では特に著しい。
雌雄ともに頭部に湾曲した角があるが、雄の角は最大で61cmにもなる。
この体躯を持っていて最高時速70kmのダッシュ力と垂直高1.8mものジャンプ力を持つ (ヨーロッパバイソンは2mの柵をジャンプで超えられるが、スタミナはアメリカバイソンの方があるらしい)。群れるオオカミはまだしも、タイマンではグリズリーも健康なバイソンやヘラジカ等には勝てないともされており、バイソンがグリズリーを殺すことも知られている。ガウルと比較しても、角の構造から推定した戦闘スタイルにより、ガウルよりも強いのではないのかという指摘もある。
- ガウルは相撲に近い組み合うスタイルが得意な一方、突進を得意とするバイソンとは相性が悪いのではないかということである。
かつては北アメリカで6000万頭も大群を成していたが、18~19世紀に肉や皮を利用するために乱獲され、野生では僅か250頭と絶滅寸前まで減った。その後、保護区が作られ、現在では25万頭以上に回復した。ただし、いくつかの系統は滅びたと思われる。
シンリンバイソンとヘイゲンバイソンは身体の大きさや見た目も異なる。ヘイゲンバイソンの方が大型で、ステップバイソンにより近い。
バイソンに限らず草食哺乳類の身体や角が小型化しているのは、大型種が人間に滅ぼされてしまったことの他にも大型の捕食者減少や絶滅もある。
近年の調査の結果、現存するアメリカバイソンの殆どが家畜の牛との混血であり、小型化などが起こってしまったと判明した。
(史上最大の牛の一種だったジャイアントバイソン)
ヨーロッパバイソンとは似ているようで、肋骨の数やプロポーション、棲む場所などボチボチ違う。ヨーロッパバイソンの方が軽量だが足がより細長くて体高もある。その昔、体長4.5m、体高2.5mとサイ並みの大きさであった「ジャイアントバイソン」やアメリカバイソンの直系の先祖の「エンシェントバイソン」(体長4.6m、体高2.3m)、「ステップバイソン」(体高2m)などが存在していた。なお、日本にもステップバイソンの一種「ハナイズミモリウシ」とオーロックスの両方がいた。狩りの痕跡があることから、他の多くの日本産の大型動物同様、人間の影響で絶滅した可能性は否定できない。また、意外なようだがバイソンの故郷はインド等のアジア南部である。
アメリカバイソンはステップバイソンとヤクのハイブリッドの子孫、ヨーロッパバイソンはステップバイソンの雄と「原牛」ことオーロックスの雌から生まれた「ヒッグスバイソン」というハイブリッドの子孫である(参照)。
- こうした、ハイブリッドが新種になる現象は他にもあり、ガラパゴスの陸海の「ハイブリッドイグアナ」や、マイルカとスジイルカから生まれた「クライメンイルカ」なとがいる。
- 時には、家畜の牛が仲間入りする場合もある(参照)。
主な亜種
- ヘイゲンバイソン(メイン画像)
- シンリンバイソン
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