概要
属名は「雷の獣」を意味するが、これは化石が馬の骨に似ていたことから、ネイティブアメリカンのスー族の伝承に登場する馬の姿をした「雷獣」に因んだものである。アメリカバイソンも似たような呼称の経緯がある。
体長4.3メートル、肩高2.5メートル、推定体重5トンほどの大型哺乳類で、大きさは現在のゾウに近いほどもあり、姿は現在のサイに似ている。しかしサイの先祖というわけではなく、系統的にはウマの仲間に近かったようだ。事実、初期のブロントテリウム科(ティタノテリウム類とも)は馬の祖先に似た小型(犬並)で細身の姿であった。
またサイの角は毛の束でできておるが、ブロントテリウムの角は骨でできており、前頭骨が伸びた大きく太いY字型の角であった。
この角は生存時、キリンなどと同様に表面が皮膚に覆われたオッシコーンであった。発見された化石の脇腹には、仲間の角によって受けたとおぼしき傷が残っていることから、彼らも角を捕食者から身を守ったり儀礼的闘争のために使っていたと思われる。
肩付近の胸椎からは大きな棘突起が伸びており、これは重い頭蓋骨を支える為の筋肉の付着点となっていた模様。
哺乳類の繁栄の初期にはウインタテリウムのような原始的な哺乳類が植物食哺乳類として初の大型化を遂げていたが、何らかの原因で彼等は比較的短命のうちに絶滅してしまった。ブロントテリウム科はその後釜に座る形で大型化を遂げて大繁栄することになり、北米、ユーラシアで多種多様な種がみられた。
比較的大きな頭を持つが脳はあまり大きくなかった。また歯は高さが低くて堅い草を食べるのには適しておらず、主に柔らかな水辺の植物や木の葉などを食べていたと思われる。このため、世界的に乾燥気候に変動した事などで餌となる植物が減り、他の草食哺乳類との生存競争に敗れて絶滅したと考えられている。
関連タグ
アメリカバイソン・アストラポテリウム・カミナリ竜・・・「雷獣」や「雷竜」と呼ばれる動物達の例。
アルシノイテリウム:サイのようでサイではない古生物繋がり。こちらは奇蹄類ではなく重脚類に属し、ゾウの親戚に相当するグループであった。