概要
新生代・漸新世(3500万~2300万年くらい前)のアフリカやアラビア半島に棲息していたサイみたいな動物。
しかし奇蹄目ではなく「重脚類」というまったく別のグループに属しており、系統的にはゾウの方が近かった(ちなみに束柱類やカイギュウ目、イワダヌキ目といった連中もゾウに近縁。アフリカを中心に誕生・進化したので「アフリカ獣類」という)。
名前
学名は「アルシノエの獣」という意味。
アルシノエは古代エジプトの女ファラオで、最初にこいつの化石が見つかったのが「アルシノエ二世」の宮殿があった場所の近くだった事から名付けられた。
特徴
体長約3m、体高約1.8~2.13mの大型哺乳類で、やはり鼻先の大きな2本角が目を引く。
だがこれは根元で繋がっているため、2本角ではなく「V字型の角」と呼ぶべきものであった。またサイの角はケラチン質で毛の束でできているが、こいつの角は牛などのように骨でできていた。
見た目どおり植物食性で、推測される当時の生息環境から、現在のカバや初期のゾウの仲間のように、マングローブや沼沢地といった温暖湿潤な環境を中心に生息していたと考えられている。
漸新世末期を最後に彼らを含めた重脚類は姿を消すが、その原因も地球環境が寒冷化・乾燥化していくに伴って、生息に適した環境が失われていったためとする説が濃厚である。