概要
束柱類(デスモスチルス類)は、日本、サハリン、カムチャッカ、オレゴン、カリフォルニアを含む北太平洋沿岸域の漸新世~中新世の浅海性の地層のみから化石が知られている絶滅哺乳類である。その歯と骨格は、束柱類の動物が沿岸に暮らす水陸両棲の草食動物であったことを示唆している。彼らの名前は、その極めて特徴的な臼歯(文字通り、円柱を束ねたような構造をしている)に由来する。海棲に適応した哺乳類の主なグループとして束柱類、海牛類、鯨類、鰭脚類の四つが挙げられるが、このうち束柱類の生存が確認されるのは比較的短い期間であり、棲息域や種の数においてもあまり大きなグループではなかった。その絶滅原因は地球の寒冷化が進んだことと海牛類との競争があったためではないかとされるも、はっきりしたことは解っていない。
その化石記録は唐突に漸新世に出現するため、祖先やそれまでの進化の経緯は全く不明である。歯の構造などからゾウや海牛類と近縁だとされることが多いが、バクなどが属する奇蹄目に含まれる可能性もあり、尚はっきりしてない。
なお、南アメリカにも似たようなニッチを占めていた水生の大ナマケモノ達が存在した。