概要
第三紀漸新世後期~中新世後期(だいたい2500万年くらい前)の北アメリカ・日本に生息していた珍獣。ちなみに最初の化石は日本産。
ほとんどは大きさ2メートル程度だが、大型のものは6メートルほどに達したという。
海辺で暮らす点以外の生態はカバと似ていたとされるものの、系統的にはゾウに近く、カバには遠縁であった。
「たばねた柱」
デスモスチルスという名前はラテン語でデスモ・スチルスと分けられ、それぞれ「束」「円柱」となる。
「ノスロテリオプス(ノロマな獣の顔)」だの「アストラポテリウム・ブロントテリウム(共に「雷の獣」という意味)」だのヘンな名前はよくあることだが、こいつの場合は奥歯の形状に由来している。
というのもデスモスチルスの奥歯は昆布巻きを7本ほど束にしたような奇妙キテレツな形状をしており(それで1本の歯なので、上下のアゴに数本ずつあった)、これが「束柱類」というグループ名そのものの由来にもなったのだ。
なおこの歯は暑いエナメル質で覆われた頑丈なつくりで、堅い海草、海藻、貝等を食べていたと考えられている。
その他の特徴
カバとアシカをミックスしたようなずんぐり体型に加え、骨もズッシリ重たいという構造は海牛類やクジラ類に近い。
この点から水中生活に適しており、逆に陸上では自重を支えるのがやっとでかなり鈍重だったとみられる。ちなみに上腕と腿が横向きについたトカゲのようなつき方だったので、地上ではヨタヨタ歩きだったことだろう。
絶滅の原因は不明だが、環境の変化や海牛類との生存競争に敗れたためだと考えられている。
※海牛類も浅い海で暮らす草食動物なので、思いっきり競合するライバルとなり得る存在であった。実際、後期の種類の骨格から彼らとの競合があったことは確実視されている。
関連タグ
→系統的には親戚。「アフリカ獣類」と呼ばれ、同じ祖先から分かれた。