メガテリウム
めがてりうむ
1788年にアルゼンチンで最初の化石が発見され、フランスの解剖学者ジョルジュ・キュビエ(モササウルスを研究・命名した)によって研究された。そして1796年、キュビエによって「アメリカの巨大な獣」を意味するメガテリウム・アメリカヌムと命名された。現在までに模式種N.アメリカヌムをはじめ7種が命名されている。
化石は完全なものを含めて数百個も見つかっており、体毛や皮膚、糞や足跡など生痕化石も多数見つかっている。命名された時期はちょうどビクトリア朝時代で、まだ恐竜の化石が発見されていなかったため当時の博物館では大人気だった。
全長6~8メートル・体重3~5トンに達し、ナマケモノの仲間でも最大級であった。
北米に生息していた、近い大きさの「エレモテリウム」は近縁種。
祖先は約1500万年前に樹上生活をする現生種の祖先から分岐して地上性になったらしい。基本は4足歩行だが、急いだり敵と戦うときは2足歩行も出来たらしい。当時南米大陸に生息していた陸生動物では最大の種で、 約300万年前(鮮新世)にパナマ地峡が形成されたことで、北米大陸南部にも進出した。ティラコスミルスなどの肉食動物が全滅するなどの一方、これら地上性ナマケモノやトクソドン、オポッサムなどは逆に北米方面にも進出した。
現生種と同様におとなしい植物食動物で、葉や花、若い枝や根茎などを食べていたらしい。細長い吻部には門歯は無く、貧弱な臼歯がわずかに残るだけであったが、咬筋は強力でありこの顎で葉や根茎をすり潰していたと思われる。糞の化石から、70種類以上もの植物を食べており、大好物はかつての生息域に多くみられるケヤキに似たヤマゴボウ科の植物の一種であった。現在のゾウやキリンなどの例を見るに、乾燥して植物が多くない地域にも生息できた可能性がある。また、干ばつ時には死肉も食べていた可能性が示唆されている。
動きこそ鈍かったと思われるが、力強い前肢には大きく鋭い鉤爪を持っていたため、これで敵に殴りかかって応戦していたと思われる。また、毛の下の皮膚は多数の小さな骨板で覆われており、肉食動物の牙や爪から身を守る鎖帷子の役割を果たしていた。これらの防衛手段に加えてゾウ並の巨体であったので、サーベルタイガーや恐鳥類のような捕食者も幼体や弱った個体ぐらいしか襲わなかったと思われる。毛が生えていたのかは不明であるが、仮に生えていなくても、例えば現生のゾウやサイなどがそうだが、防御手段や体温の確保などはできる。
多くの大型哺乳類と同じ時期に絶滅した。最大の原因は気候変動とされてきたが、近年の推測では、ちょうど同じ時期にパナマ地峡から南米大陸に進出したホモ・サピエンスの狩猟も大きく関わっていた可能性が高い。
アボカドの種が大きいのは、種子をメガテリウムなどの巨大獣(メガファウナ)に運ばせていたからとする説がある。
脂肪たっぷりのアボカドの実は、巨体のメガテリウムにとっても魅力的な食べ物に違いなかっただろう。
もちろん、メガテリウムが絶滅した後は人間たちがその種子を栽培した。そのおかげで現在までアボカドは生き延びている。
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