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概要編集

貧歯目ナマケモノ科に属する動物の総称。サルに似た外見をしているが、樹上生活に適応したための収斂進化である。南アメリカ中央アメリカ熱帯雨林に生息し、生涯のほとんどをにぶら下がって過ごす。


その名の通り動作のにぶい動物で、英名も「スロウス(怠惰)」というやる気のない名前である。この記事では、一般的に「ナマケモノ」と言ってイメージされるミユビナマケモノ属について解説するものとし、必要に応じてフタユビナマケモノ属についての2属を補足する。


生態編集

もっぱら木の葉っぱを食べて生きるが、週に一度程度排便の際のみ木から降りて木のの近くでをし、葉っぱをかぶせて木の肥やしにするという習性がある。フタユビナマケモノ属も主には木の葉を食べるが、木の実(果物)や地上の草(野菜)なども食べ、ときに鳥の卵やトカゲ、カエルなどの小動物も食べる雑食性である。


ミユビナマケモノ属はとても動作がのろく、歩く速度は急いで時速2kmとまで言われている。あまりにも動かないので体毛にが生えるほどだが、泳ぐ際には速度が上がる(当社比)。

これに対しフタユビナマケモノ属は夜になると活発に動き回り、結構素早く動いて獲物を捕らえたりもする。 ただしフタユビは泳ぐ時に頭が水上に出ないため泳げない。


しかしながら、こんな動物が数百万年の長きに渡り生き延びてこられたのは、その徹底した省エネ化にある。ナマケモノは哺乳類では数少ない変温動物(他にはハダカデバネズミぐらいしかない)であり、外気温に応じて体温が30度以下に下がる。このために外気温が低い日にはほとんど動くことができなくなる。

だがこのおかげで体温維持にエネルギーを使う必要がなくなり、ミユビナマケモノ属が一日に摂取する葉っぱはわずか10gに過ぎない。コアラでさえ500gは必要なのに。樹木の葉は基本的に低エネルギーで消化効率の悪い食物なのでそれを1日10gで済ますというのは驚異的な粗食生活なのである。このような少ない食事のため一つの木を拠り所に長時間生活できるので、リスクを冒して食物を探し回る必要がない。

その消化すら1カ月かかると言われる程遅い。これは、あまり消化を急ぐと消化という行為自体にエネルギーを浪費してしまい粗食生活を維持できなくなるためである。また体温の変動が大きいため、低温の日が続くと栄養の吸収が滞りの中が未消化の葉っぱだらけになり餓死することすらある。(ミユビに比べると比較的に)行動が活発なフタユビナマケモノ属はさすがにもう少し食べるが、それでも哺乳類としては摂食量が異例なほど少ない。


ナマケモノ類に共通する特徴である長い爪にしても、猿のように枝を手で握って移動する方法にすれば移動の柔軟性ははるかに高まるが、それでは手を握る筋力にエネルギーを浪費してしまうので、爪を枝に引っ掛けることで最低限のエネルギーで安全な樹上に留まれるように進化した結果である。このような少食のおかげで、ナマケモノはジャングルの動物の中でも極めて繁栄している種族であり、わずか14平方キロメートルのエリアに1万匹ものナマケモノが生息していたという調査記録もある。これは同じ面積に生息するサル類の10倍以上の生息数である。仮に大食いの生物がこのような密度で生息していればたちまち食糧難に陥って絶滅するだろう。


また、ジャングルの中では、素早く動く動物は敵に見付かりやすく捕食される危険が高いのだが、逆にほとんど動かないナマケモノは目立たないため捕食される危険はむしろ少ないのである。この点もナマケモノが絶滅することなく繁栄し続けていられる重要な理由なのである。


ちなみに睡眠時間については意外と短い。よく15~20時間と言われるが、これは飼育下での記録であり、野生環境での睡眠時間は一日当たり10時間未満にとどまることが明らかになっている。

まぁこれでも食われる側としては異様なほど長いが、起きてたところで逃げられるわけではないということか。


ミユビナマケモノ属は100種以上の木の葉を食べるとされるが、実際は1個体に付きその中の5種類程度を食する。これは生息域によって異なるとかそういう話ではなく、好き嫌いなのである。この好き嫌いは親から受け継いでおり、これが幸いして、縄張り争いを避けている。また、無暗に様々な食に手を出すのは毒に当たる可能性が高く危険なことである。親が食べて大丈夫だった食物を子に伝えることでそのようなリスクも巧妙に回避している。


天敵オウギワシで、そのまままま掻っ攫われて食われる。

そのほかにピューマジャガーも天敵であり、油断して低いところにいると、引きずり降ろされてやっぱり食われる。 動きは非常に遅いので「逃げる」という選択肢は最初からなく、「捕食者に見つからないようにする」「樹木の中でも捕食者が追ってこれない場所(細い枝など)で生活する」といった方法で捕食を逃れている。ナマケモノは樹上生活者としてはそこそこの体格を誇っており(大型というほどではないが)、小型の捕食者に対しては体格差を武器に捕食を諦めさせることもできる。


余談編集

メガテリウムなどのいわゆるオオナマケモノもナマケモノの絶滅種である。もともとは現生のナマケモノもオオナマケモノ同様に地上に棲んでいたが、現在のような戦略をとる進化をすることで樹上で繁栄することになった。一方で現生のナマケモノの祖先と枝分かれした地上のナマケモノ達は捕食者への対抗や寒冷化への適応のために巨大化していき、オオナマケモノへと進化を遂げた。


ちなみにこれらのナマケモノのずっと遠い祖先と分かれてアリなどの虫を食べる方向に進化したのがアリクイである。そのため、彼等は巨大な爪、子供がかなり大きくなるまで背負って育てることなどの特徴を共有してる。



主な種類編集

ミユビナマケモノ属編集

フタユビナマケモノ属編集


ナマケモノをモチーフにしたキャラクター編集


関連タグ編集

生物 動物 哺乳類 貧歯目(別名は異節目)

なまけもの 怠け者

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