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概要

北海道から九州に至る日本各地に生息が確認されていたが、良質な毛皮を求めて大正から昭和初期にかけて乱獲が進み、生息数が激減。1928年に狩猟が禁止された。だが第二次世界大戦後の農薬の普及による水質悪化と河川護岸の進展によりその後も数を減らして生息地域は四国の一部だけになり、1965年特別天然記念物に指定された。

しかし、わずかに生き残ったカワウソも漁具を荒らすのが嫌われたため漁師がハンターに依頼して密かに駆除され続けており、絶滅危惧種に最後のとどめを刺してしまった(最後まで生き残っていた個体群も、密猟されていたのが外部に知られたものである)。1979年以来目撃例がなく、特別天然記念物に指定されたもののそれ以来確実な生存記録がなく2012年絶滅種に指定された

愛媛県の県獣であるが、最後の生息地は高知県であった。

姿かたち

体長は130センチメートルで、体重5~12キログラム。尻尾は30~56センチ。

ユーラシアカワウソに似ているが、頭蓋骨と鼻の形や尻尾の長さなどで見分ける事が出来る。

ニホンカワウソの鼻の上側は「凸」の字の様になっている。一方でユーラシアカワウソの鼻は中央が盛り上がりが低い。

生存説

1996年にカワウソの可能性がある足跡が高知県で見つかったほか、愛媛県北海道栃木県ではたびたび目撃情報があるが、確実な証拠はない。

2017年8月、琉球大学がツシマヤマネコの生態調査にために設置した定点カメラにカワウソが写っていることが発表された。日本国内で、野生のカワウソ見つかったには38年ぶりであった。然し糞を調べた結果、韓国や樺太のユーラシアカワウソと同一であり、韓国南部から漂着物に乗って渡ってきたとされた。

分類

ジョン・エドワード・グレイは1967年に北海道のカワウソを新種として発表した。

1989年には、日本の動物学者である今泉吉典と吉行瑞子の2人が「本州・四国のカワウソも新種である」という論文を発表している。

現在では、日本には2種のカワウソがいたというのが有力で北海道に生息していた個体群は「エゾカワウソ(Lutra lutra whiteleyi)」と分類される場合が多い。

本土のニホンカワウソはユーラシアカワウソの亜種説と独立種説が存在する。

新種として発表した論文では独立種としている。然しながら

  • ニホンカワウソがユーラシアカワウソとどう違うのか?
  • 日本列島にはユーラシアカワウソもいた可能性は?

などの疑問が解決されないまま種が記載されたのでは、という意見もある。

2016年、東京農大の佐々木剛教授らの研究チームがニホンカワウソを遺伝子解析したとする論文を発表した。

この論文では、神奈川県産の剥製を解析してところ、中国やラオスのユーラシアカワウソと同一であった。然し、高知県産の剥製も調べた結果、神奈川県のカワウソとは別系統であり、別種もしくは別亜種の可能性があるとされた。

2019年、韓国のParkら行った研究でニホンカワウソとチュウゴクカワウソの遺伝子配列を比較した。結果は「両者の遺伝的な差は他のカワウソと比べると小さい」と分かり、ニホンカワウソはユーラシアカワウソの亜種であるとした。

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