曖昧さ回避
- インド神話に登場する女神。
- 『東京放課後サモナーズ』に登場するキャラクター。→ドゥルガー(放サモ)
- 『Fate/GrandOrder』に登場するサーヴァント。→ドゥルガー(Fate)
概要
彼女の名前は元々とあるアスラ王のものであった。
彼女は顕現するや否や、アスラの軍勢を撃退し、ドゥルガー王を殺害。そしてその名を我が物としたのである。
彼女の起源についてのエピソードもまた、アスラと神々との戦いに関係するものである。
マヒシャ率いるアスラ軍に圧倒された神々は、自分達の中から出した光を一つに集め、一柱の女神を誕生させた。さらに自分達の持物を彼女に持たせ、完全武装の戦いの女神とした。
彼女はシヴァから授かった三叉戟でマヒシャを殺し「マヒシャースラマーディニ(マヒシャの殺害者)」の異名を得た。
しかしマヒシャを倒しても戦闘はさらに続いた。続くアスラとの戦いでドゥルガーは敵の姿を見て怒りにかられ、顔を真っ黒にした。そして額から殺戮の女神カーリーを出現させ、カーリーもまたこの戦闘で大活躍する。
ネパールでは「クマリ」と呼ばれる生き神にドゥルガーが宿ると信じられている。
パールヴァティー、カーリーとの関係
ヒンドゥー教においてはカーリーと共にシヴァの妻パールヴァティーと同体とされ、同じ一人の女神(デーヴィー)の顕現とされる。
ドゥルガーの場合、その九つの相「ナヴァ・ドゥルガー」には、パールヴァティー(山の娘)と同じ語義の「シャイラプトリー」、スカンダの母を意味する「スカンダマーター」があり、パールヴァティーと一体であることが示されている。
同じく九相の一つ「カーララートリー」をカーリーと同じ意味で用いた文献が存在している。
持ち物
『マールカンデーヤ・プラーナ』所収「デーヴィー・マーハートミャ(参考)」によると以下の通り。
授けた存在 | 授けられた物 |
---|---|
破壊神シヴァ | トリシューラ(三叉戟) |
維持神ヴィシュヌ | チャクラム(円盤) |
水神ヴァルナ | 羂索(投げ縄) |
火神アグニ | 槍 |
嵐神マルト | 弓と矢筒 |
雷神インドラ | 雷霆と騎像の鐘 |
死神ヤマ | 杖 |
創造神ブラフマー | 水瓶 |
太陽神スーリヤ | 彼女の全身全ての毛穴に光 |
カーラ(時・死、の意) | 剣と盾 |
乳海 | 装身具と衣類 |
工匠神ヴィシュヴァカルマン | 手斧、様々な飛び道具、不壊の鎧 |
海 | 身につける萎れない蓮華の花輪、手に持つ蓮華 |
山神ヒマヴァット | 様々な宝石、騎獣ドゥン |
財神クベーラ | 盃杯 |
この他にもバリエーションがあるようで、ヤマからは剣、クベーラからは棍棒、とする例もある(参考)。
仏教におけるドゥルガー
彼女の異名の一つに「チュンディー」があるがこれが仏教に取り入れられ、漢訳の際には「准胝観音」と表記された。
観世音菩薩がもつ相の一つであり、主要な変化身「六観音」の一尊である。
一方、女神としてのドゥルガー(突伽天女)の陰は薄い。
『大慈恩寺三蔵法師伝(慈恩伝)』によると、三蔵法師が仏典を求めて天竺(インド)を訪れた際、突伽(ドゥルガー)を崇拝する賊たちに襲われ、生贄用に殺されそうになったという。
カーリーに仕えたサッグ団を思わせるエピソードである。
ナヴァ・ドゥルガーの一相「カーララートリー」は、仏教側では吉祥天(ラクシュミー)の姉妹である不幸の女神黒闇天となっている(ヒンドゥー教側で「ラクシュミーの姉妹の不幸の女神」なのはアラクシュミー)。
また、別名の「ヴィカラーラ」(恐ろしき者)が薬師如来の使い十二神将が一柱「毘羯羅大将」の由来となった。つまり、十二神将では唯一の女神が元となった存在である。
ただし、此方での姿は猛々しい男の武人という出立ちであり、図像によっては対応する干支である猪の頭を持つ。