概要
夜叉であるがデーヴァ(神)の血を引く。父は創造神ブラフマーの孫である聖仙ヴァイシュラヴァである。母はアスラの一族ダイティヤのルラヴィラ(イダヴィドゥ)。
この事からヴァイシュラヴァナ(ヴァイシュラヴァの息子)と呼ばれる。漢訳仏教経典における「毘沙門天」はこれを漢字で筆写したもの。
「多聞天」とも表記されるが、これはヴァイシュラヴァナの意味(ヴァイシュラヴァには「名声」や「評判」という意味がある)から「多く聞くもの」というニュアンスを見出し表記にしたものである。
文献上では四ヴェーダの一つ『アタルヴァ・ヴェーダ』が初出で、お経の中では最も古い阿含経典にも登場する。
『マハーバーラタ』ではローカパーラ(各方角の守護神)の一柱とされ、北方を護るとされる。北方をつかさどるという特徴は仏教における四天王の多聞天としての姿に受け継がれている。
財宝神としての性格を持ち、ヒンドゥー教やチベット仏教の美術においては富裕を象徴する肥満体の姿でも表現される。
『マハーバーラタ』の補遺篇『ハリヴァンシャ』によると9つの宝を持つという。
別名
- ヴァイシュラヴァナ、またはヴァイシュラヴァス
上述参照。ヴァイシュラヴァスは仏教における真言にも取り上げられている。
- ヤクシャラージャン
「夜叉の王」の意。
- ラークシャサディパティ
「羅刹の主」の意。『バガヴァッド・ギーター』10章23節ではクベーラは夜叉と羅刹における第一のものとされている。
- ヴィッテシャ
「財宝(ヴィッタ)の主(イーシャ)」の意。上記のギーターの一節ではこの表記で紹介される。
- グヒャカディパティ
土着神の種族「グヒャカ、グーヤカ(密迹、隠された者たち、秘密の種族、の意)」の王という意味。仏教においてはグヒャカは金剛手菩薩や金剛力士と縁のある種族とされる。
- キンナララージャ
「キンナラ(緊那羅)の王」。天界で音楽を奏でる半神種族であるキンナラはシヴァ神の聖地カイラーサ山に設けられたクベーラの領域で彼のための音楽を奏でるとされる。
- グヒヤディーパ
「隠されたもの(財宝)の王」の意。
- ナーラーラージャ
「人間の王」の意。彼の騎獣(ヴァーハナ)も人間である。ただし乗り方は肩車であるため画面的にはそこまでショッキングではない。
家族関係
曽祖父:ブラフマー
異母兄弟:ラーヴァナ(母は羅刹女カイカシー)
妻:リッディ(バドラ)、クベーリー、チャルヴィー(仏教では吉祥天を妻とする)
子:マニグリーヴァ、ナラクーバラ(ナラクーバラは道教では哪吒太子)
関連タグ
Fate/GrandOrder:2部4章にてとあるサーヴァントに混ぜられた神性として登場。