概要
薬師如来に従事する十二の武将たち。
薬師如来を信仰する衆生を守り、薬師如来の周囲十二方位を守護する天部とされる。その関係から時間と関連の強い十二支とその獣たちに関連付けられている。
ただし、その解釈によって神将と十二支の当てはまる順序が真逆になっていることもあり、どちらが正しいかについては解釈する側にゆだねられている。
神将と十二支
※(1)梵名とは原語での名前。元になっているのはほとんどがインド神話の神格なので、毘羯羅大将の原典は女神という事になる。
※(2)本地仏とは、本来帰依している諸仏のこと
名前 | 梵名 | 宝物 | 本地仏 | 十二支 |
---|---|---|---|---|
宮毘羅(くびら) | クンビーラ | 宝杵 | 弥勒菩薩 | 子/亥 |
伐沙羅(ばさら) | ヴァジュラ | 宝剣 | 勢至菩薩 | 丑/戌 |
迷企羅(めきら) | ミヒラ | 宝棒 | 阿弥陀如来 | 寅/酉 |
安底羅(あんちら) | アンティラ | 宝斧 | 観音菩薩 | 卯/申 |
頞儞羅(あじら) | マジラ | 宝叉 | 如意輪観音 | 辰/未 |
珊底羅(さんちら) | サンティラ | 宝鉾 | 虚空蔵菩薩 | 巳/午 |
因達羅(いんだら) | インドラ | 宝貝 | 地蔵菩薩 | 午/巳 |
波夷羅(はいら) | パジラ | 宝弓 | 文殊菩薩 | 未/辰 |
摩虎羅(まこら) | マクラ | 宝珠 | 大威徳明王 | 申/卯 |
真達羅(しんだら) | シンドゥーラ | 宝索 | 普賢菩薩 | 酉/寅 |
招杜羅(しょうとら) | チャツラ | 宝槌 | 大日如来 | 戌/丑 |
毘羯羅(びから) | ヴィカラーラ | 宝輪 | 釈迦如来 | 亥/子 |
陰陽道における十二神将
安倍晴明が使役したことで有名な鬼神たちは、上記の十二神将と異なる存在である。
本来は『十二天将』と呼ばれるのが正式なのだが、書物によって差異があり、また近年のメディア作品では「神将」との呼称が目立つ。
神将と属性
その本質は"神"ではなく、非常に強力な精霊と解釈した方が良いであろう。
十二天将も十二神将と同様に干支との関連を持ち、様々な属性を秘めている。
名前 | 属性 | 十二支 | 吉凶 | 十干 | 陰陽 | 四季 | 方角 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
騰虵(とうだ) | 火 | 巳 | 凶将 | 丁 | 陰 | 夏 | 南東 | 炎を纏った翼のある蛇 |
朱雀(すざく) | 火 | 午 | 凶将 | 丙 | 陽 | 夏 | 南 | 聖獣『朱雀』に相当 |
六合(りくごう) | 木 | 卯 | 吉将 | 乙 | 陰 | 春 | 東 | 平和や調和を司る |
勾陳(こうちん) | 土 | 辰 | 凶将 | 戊 | 陽 | 土用 | 南東 | 都の中心を守護する、金色の蛇 |
青龍(せいりゅう) | 木 | 寅 | 吉将 | 甲 | 陽 | 春 | 北東 | 聖獣『青龍』に相当 |
貴人(きじん) | 上 | 丑 | 吉将 | 己 | 陰 | 土用 | 北東 | 十二天将の主将、天乙貴人 |
天后(てんこう) | 水 | 亥 | 吉将 | 癸 | 陰 | 冬 | 北西 | 航海の安全を司る女神 |
大陰(たいいん) | 金 | 酉 | 吉将 | 辛 | 陰 | 秋 | 西 | 知恵に長けた老婦人 |
玄武(げんぶ) | 水 | 子 | 凶将 | 壬 | 陽 | 冬 | 北 | 聖獣『玄武』に相当 |
大裳(たいも) | 土 | 未 | 吉将 | 己 | 陰 | 土用 | 南西 | 天帝に仕える文官 |
白虎(びゃっこ) | 金 | 申 | 凶将 | 庚 | 陽 | 秋 | 南西 | 聖獣『白虎』に相当 |
天空(てんくう) | 土 | 戌 | 凶将 | 戊 | 陽 | 土用 | 北西 | 霧や黄砂を呼ぶ力を持つ |
※wikipedia参照
各神将の解説
十二神(天)将は六柱の吉将と六柱の凶将の2つに分類されており、吉将は主に古代中国の守護神、凶将はその多くが中国の伝承における神獣が多い。安倍晴明が記したとされる書物、占事略决の第4章「十二将所主法第四」には各天将の解説が記されている。
※wikipedia参照
騰蛇(とうだ)
炎に包まれた翼の生えた蛇の姿をしているとされる。古代中国の辞典「爾雅(じが)」によると騰蛇は雲や霧を起こし、その中を泳ぐことができる龍であるという。その他にも、三国志で有名な曹操の作詞した詩「亀雖寿」にもその名前が登場している。
占事略决の解説によると、「驚きや恐怖、畏れを司る凶将(=驚恐怖畏凶将)」と記される。
派手さや学術的な知恵の象徴で、炎を纏い翼を広げた鳥の姿をしているという。
占事略决の解説によると、「おしゃべりな凶将(=口舌懸官凶将)」と記される。
六合(りくごう)
平和と調和、公正などを司る神で、親しみや他者との交際を象徴する。
調和を司ることから結婚などの慶時をもたらすとされている一方、隠し事や優柔不断などの負の側面も司るとされている。
占事略决の解説によると、「隠し事や和合を司る吉将(=陰私和合吉将)」と記される。
匂陳(こうちん)
京の守護を担う神で、黄金の蛇の姿をしているとされる。
愚鈍さや争いを象徴する一方で、不動性を司る徳神として土地や建物に関与する。
占事略决の解説によると、「争いや激しい怒りを司る凶将(=戦闘諍訟凶将)」と記される。
コイツではない。
喜び事や商売繁盛の象徴で、東の方角に住み河川に宿るとされる。
占事略决の解説によると、「富や慶事を司る吉将(=銭財慶賀吉将)」と記される。
貴人(きじん)
十二天将の主神である方位神。天乙貴人、天一神などの複数の異名を持つ。
富や豊穣、気品の象徴でその出自は天女とも北斗七星の精であるなど諸説ある。
様々な福徳をもたらす一方、貴人が約44日の間天上から下界に降りて四方を巡るとされる天一神遊行の期間にこの神のいる方角に物事を起こしたり、まっすぐ向かうと祟りがあるとされ、人々はその方角を避けて生活をしていた。
占事略决の解説によると、「福徳を司る吉将であり主神(=福徳之神吉将大无成)」と記される。
天后(てんこう)
中国沿岸部において信仰されている道教の女神。
漁業や航海を司り、疫病や盗賊から人々を守護するという。
宋の時代に実在した黙娘(もくじょう)という娘がこの神になったと伝えられている。
天帝の妃であり、愛情や母性など女性にまつわる全ての事象を象徴する優美な女神であるとされている。
占事略决の解説によると、「天帝の妃である吉将(=後宮婦女吉将)」と記されている。
大陰(たいいん)
太陰(たいおん)神とも呼ばれる陰陽道の女神で知識や芸術、隠し事を司る。
知恵に長け、好んで少女の姿で現れるが実際は老婆であるとされる。
清廉潔白、公正、正直を象徴する一方で、この神の在位している方角で出産や結婚など女性にまつわる物事はこの神の嫉妬を買うため避けた方が良いとされる。
占事略决の解説によると、「隠し事を司る吉将(=弊匿隠蔵吉将)」と記される。
北方に存在する冥界と現世を往来し、冥界で受けた神託を持ち帰ることが出来るとされる。
無病息災と富、子孫繁栄のほか、暗闇や邪悪、非誠実も象徴する。
占事略决の解説によると、「終わりや盗みを司る凶将(=亡遺盗賊凶将)」と記される。
太裳(たいも)
天帝に仕える文官で、「たいじょう」とも呼ばれる。
忍耐や日常性、恒常性を象徴し、春夏秋冬の喜びを司る善神とされる。
占事略决の解説によると、「冠と帯を着用したきっちりとした服装の吉将(=冠帯衣服吉将)」と記される。
睨みを利かせて邪気を祓い福をもたらす白い虎の姿をしている。
喧嘩や刃物、事故や性急さの象徴で、勇猛や病のほか喪を司るとされる。
占事略决の解説によると、「疾病や喪を司る凶将(=疾病喪凶将)」と記される。
天空(てんくう)
霧や黄砂を呼ぶ土の神で、十二神将の中で最も卑しい性質を持つ。
その性質は両極端で、自由や芸術と言う陽の面と不実や消耗、中身のないものと言う陰の側面を象徴する。
占事略决の解説によると、「その殆どが欺かれ、信用ならない凶将(=欺殆不信凶将)」と記される。
派生キャラクター
各キャラクターが関連する。
終盤で彼らと戦うことになる。なお、頭は対応する十二支の顔になっている。
作中登場する国内最高位の陰陽師たちの俗称。
悪の組織クロノスの最高幹部がその名を冠する。
十二羅帝のモデルと思われる。
空の十二の方角にある「神宮」の主→十二神将(グラブル)
ヤッター十二神将が登場するが各メンバーは昆虫や節足動物がモチーフ。
安倍晴明の式神として登場。
ウルトラマンと十二神将を組み合わせたフィギュアシリーズ。
設定によると古代のアジアにウルトラマンたちが来訪し、人々を苦しめていた怪獣を退治した功績を讃えられて、彼らが神仏として崇められた際の姿だという。
それぞれに対応する神将は以下の通りである。ほぼ、ウルトラ兄弟が十二神将の枠に治っているが、アストラ、メビウス、ヒカリの枠は別のウルトラマンが収まっている。
名前 | ウルトラマン |
---|---|
宮毘羅(くびら) | ウルトラマンゼロ/ウルトラマンサーガ |
伐沙羅(ばさら) | ウルトラの父 |
迷企羅(めきら) | ウルトラマンティガ |
安底羅(あんちら) | ウルトラマン80 |
頞儞羅(あじら) | ウルトラマンキング |
珊底羅(さんちら) | ウルトラマンレオ |
因達羅(いんだら) | ウルトラマンタロウ |
波夷羅(はいら) | ウルトラマンエース |
摩虎羅(まこら) | ウルトラマンジャック |
真達羅(しんだら) | ウルトラセブン |
招杜羅(しょうとら) | 初代ウルトラマン |
毘羯羅(びから) | ゾフィー |
堕天使/守護者 | ウルトラマンベリアル |
十二神将をモデルにしたキャラクターがプレイアブルキャラクターとして登場しているが、サービス終了の影響で一部未実装になっている。詳細は「十二神将(なむあみうてな)」にて。
八握剣異戒神将魔虚羅として登場。かつての歴代十種影法術の使い手が誰1人として調伏できなかった最強の式神。