概要
富の神クベーラに仕える存在とされ、主がヒマラヤ山中に隠した秘宝を守護するという。
本来、ヤクシャはヴェーダ以前に信仰された山や樹木の精霊が前身であり、荒ぶる側面を持つ一方で大地に隠された宝物(鉱石)の保持者とされる善良な存在であった。
またクベーラも先住民族が崇めた神が出自とされ、ヴェーダで邪悪な存在とみなされていた。その為に鬼神であるヤクシャ、ラクシャーサ、グヒヤカの王とみなされ、その神像も太鼓腹に短い四肢を持つ異形で描かれている。
ヤクシニーは豊満な胸とくびれた腰を備える美女として、木の下で葉や果実を掴む姿勢で表現される。
特にヒンドゥー教や仏教で聖なる木とされたマンゴーと一緒に描かれた絵もあり、ヤクシニーは樹木に宿る生命力を象徴する豊穣神・自然霊としての性質が強い。
またタントラの一つには36人のヤクシニーが登場する経典があり、「美しきもの」「愛らしい目」「100の花」「芳香」といった女性的な名前から、「髑髏の娘」「月の娘」「富」「とても恐ろしい(力強い)もの」など鬼神の力・神秘性を意味する名前がある。
創作での扱い
女神転生シリーズ
初出作品は『真・女神転生』。多くのシリーズ作品に登場し、種族はいずれも「闘鬼」、「妖鬼」、「鬼女」と大種族「鬼族」に属する。