名称
名前の中国語読みは『Mā zŭ(マーズー)』、日本語読みは『まそ』。
福建省の連江県に属する馬祖諸島も媽祖に因んで命名されている。
概要
宋の時代、現在の福建省にあたる地域の小島に住んでいた官吏・林愿の七人目の娘林黙娘が神となった姿。
誕生日は3月23日とされる。『林氏族譜』によると生後一ヶ月になるまで泣き声をあげることがなかった為こう名付けられたのだという。
彼女は神になる前も、齢16にして神通力を獲得し、村人の病を癒す等の奇跡を起こした。
その地上における最後には二説あり、一つは28歳の時に父が海難事故で行方不明になった際、自身も船を出すが遭難して溺死したという説。
もう一つは、父を失った悲しみの中、霊山として知られる峨眉山に向かい、その頂で仙人に導かれ、女神と成ったという説がある。
神となった後も人助けを行い、海上にて人々を救ってきたという。
順風耳と千里眼
彼女は悪しき妖怪だった水精『順風耳』と金精『千里眼』を改心させ、自身の活動を補佐させている。
ちなみにこの二体は『将軍』とも呼ばれる存在であり、彼らを調伏させた媽祖の霊力の強さがうかがわれる。
このためか、後世には時の皇帝たちが『天后』『天妃』『天上聖母』という名を贈った。
信仰
海と縁の深い神であり、玄天上帝と並び、代表的な海神の一柱として漁業や航海の守護神として中国・台湾の人々から今も篤く信仰されている。
沿岸部のような陸地に廟が建てられるだけでなく、船の中でも彼女が祀られた。
関聖帝君と並び、中国海外の華人・華僑コミュニティの居住地によく祀られる。彼女を祭る廟は「媽祖廟」「天妃宮」「天后宮」といい、日本にもある。
日本人によっても信仰されており、徳川光圀が媽祖を水戸の弟橘媛神社の祭神に加えたり、青森県の大間稲荷神社の祭神「天妃媽祖大権現」が名を連ねている例がある。
宝暦年間(1751年~1764年)に南部藩が当地の寺社を調査して書き上げた文献『御領分社堂』によると、大間稲荷神社の天妃媽祖大権現の本地仏は救世観音(如意輪観音の異称)と記載されている。
日本では船玉神と同体とする説もある。
水闕仙班
『天妃顕聖録』『太上老君說天妃救苦靈驗經』等によると、媽祖には十八柱の部下がおり「水闕仙班」と総称される。それぞれ五湖、四海、九河の神という。
そのメンバーは幕僚長海晏公、千里眼、順風耳、嘉應、嘉佑、黃蜂兵帥、白馬將軍、丁壬使者、檉香大聖、青衣童子、水部判官、巡海仙官、百花仙子、凌波仙子、そして四海竜王である東海龍王、西海龍王、南海龍王、北海龍王。
メンバー | 概要 |
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晏公 | 風と波を抑える航海の守り神。江西省の地方神。洪武帝により「平浪侯」に奉じられ全国区の水神となる。「領統」と書かれた旗を左手に、右手に金錘(黄天化等が持つメイス状武器)を持つ。 |
千里眼と順風耳 | それぞれ「金精将軍」「水精将軍」ともいう。 |
嘉應と嘉佑 | 千里眼と順風耳と同じく、民を害していた妖怪であったが媽祖によって調伏された。かつては船を沈める存在であった。嘉應は剣を、嘉佑は韋駄天が持つようなゴツい宝棒を得物とする。 |
黃蜂兵帥 | 兜と甲冑を装着し、右の手のひらに目があり、左手に金錘を持つ。 |
白馬將軍 | 兜と甲冑を装着し、片手に直剣を持つ。 |
丁壬使者 | 緑色の肌をしており、刃が婉曲した鎗を持つ。 |
檉香大聖 | 左手に手斧を持ち、豹皮の腰蓑をつけた緑肌の鬼神。 |
青衣童子 | 「水闕仙班」と書かれた旗を持つ青年。蓮華の上に立ち、左足を軽やかに蹴り上げるようなポーズをとる。 |
水部判官 | 筆を手に持ち、水色の服をまとう役人姿。 |
巡海仙官 | 緑色を基調とした衣冠をまとう役人姿。 |
百花仙子 | 百人の花の精を統括する仙女。 |
凌波仙子 | 水仙の花の別名ともなった仙女。 |
姿についての記述は財團法人台東天后宮Facebookページを参考とした。
創作での媽祖
台湾の漫画『冥戦録』では主人公の美少女ヒロインとして登場。かわいい。
台湾の大人気作品の一つで台北市の西門町では彼女の姿がデコレートされている。インタビューによると作者韋宗成は単行本が出るたびに寺にお参りしている。ちなみに媽祖をR-18な作品に出すと天罰に遭うらしく韋氏もそうした例をよく聞くらしい……
ペルソナシリーズ第一作『女神異聞録ペルソナ』では園村麻希の初期ペルソナとして『PRIESTESS マソ』が登場する。⇒ステータス画面
関連タグ
華光:同じく中華文化圏の神。順風耳と千里眼は元々彼の従者だったが、華光信仰の衰退に伴い両者は媽祖の従者として定着していった。