概要
道教のテキスト群には雷を司る神々が拠点とする天界や宮城についての記述があり、そこに官吏として駐留する超常的存在達についても言及されている。
そのリーダーについては以下のように複数の説がある。一般論としては九天応元雷声普化天尊が挙げられる事が殆どである。
リーダーと拠点
『九天應元雷聲普化天尊玉樞寶經』では九天應元雷聲普化天尊の居場所として「玉淸天」が挙げられる。
「玉虛九光之殿」内の「蕭彌羅之館」の「紫極曲密之房」という部屋とそこにある器物、集う臣下達、
そして天の役所としての「玉霄一府」と「三十六天内院」について記載されている。
『無上九霄玉清大梵紫微玄都雷霆玉経』によると神霄玉清真王長生大帝(南極老人)が九霄三十六天を統べ、配下に三十六天尊がいる。
彼は陰陽と五方の雷を掌握している。その居場所として「九霄玉府」が挙げられ、その門には「高上神霄之天」と書かれた扁額が掲げられているとされる。
中には五つの御殿、東の「青華」南の「凝神」西の「碧玉」北の「蕊珠」、そして中央の「長生」がある。
さらに「雷」の名を冠した物を含む、附設・隣接の多数の役所が挙げられている。
明代の『歴代神仙通鑑』によると黄帝が封ぜられた神「九天応元雷声普化真王」が居る「神雷玉府」から二千三百里離れた所に高さ八十一丈の「雷城」があって、その左に玉枢五雷使院が、右に王府五雷使院がある。
真王の前には三十六の雷の太鼓があり、真王がこれらを叩くと生前に臣下であった配下の神々達が雷声をあげ、これが普段地上人が見聞きする落雷なのだという。
神々
- 九天応元雷声普化天尊
雷部の長として「雷祖」「雷部爺」とも呼ばれる。『九天應元雷聲普化天尊玉樞寶懺』や『雷霆玉樞宥罪法懺』では玉清真王(長生大帝・南極老人)の化身とされる。『封神演义(封神演義)』においては聞仲が死後封ぜられた神とされる。『封神演义(封神演義)』が道教信仰そのものに影響を与えるようになって以降は、これが事実とされた。
一般名詞としての雷公と特定個人としての雷公がある。『歴代神仙通鑑』の九天応元雷声普化真王(黄帝)解説箇所で挙げられている雷公は「雷沢」という場所で神になったのだという。
- 雷師皓翁
『歴代神仙通鑑』によると、生前の黄帝の臣下である力牧が勅によって成った雷神。
道教護法三十六天君の筆頭とされる神。『封神演义(封神演義)』に記された雷部二十四正神の一人王天君と重ね合わされることも。
個人としての雷公と対にもされる女神。『封神演义』では金光聖母が「閃電神」に封ぜられており、同一視されて信仰される事もある。