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お稲荷様

おいなりさま

日本の神道における神様の一つ。民間伝承や仏教など、各種の信仰と融合(神仏習合)している。
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稲荷神(いなりのかみ、いなりしん)は、を象徴する穀霊神農耕神である。

稲荷大明神(いなりだいみょうじん)とも呼ばれ、お稲荷さまお稲荷さんの愛称で親しまれている。


概要

京都市伏見区にある伏見稲荷大社が日本各所にある神道上の稲荷神社の総本社となっている。

稲荷神社の前には狛犬の代わりに宝玉をくわえた狐のが置かれる例が多い。

民間伝承においては稲荷と狐はしばしば同一視されている。一方、神社庁の見解では、はあくまでもお稲荷様の使いであり眷属であるため、お稲荷様自身が「狐の神様」だったり、「狐の姿をしている」という扱いではないとしている。


主な祭神は、宇迦之御魂神(うかのみたま)、豊宇気毘売命(とようけびめ)、保食神(うけもち)、大宣都比売神(おおげつひめ)、若宇迦売神(わかうかのめ)、御饌津神(みけつ)など、穀物食物の神。

稲荷社によって祭祀する祭神が異なる。


総本宮である伏見稲荷大社では、主祭神である宇迦之御魂大神を中央の下社、佐田彦大神(さたひこのおおかみ)を中社、大宮能売大神(おおみやのめのかみ)を上社に据え、明応8年(1499年)に本殿に合祀された左右の摂社田中大神(たなかのおおかみ)・四大神(しのおおかみ)とともに、五柱の神を一つの社殿に合祀する形(一宇相殿)に祀っている。


元々は穀物の神様だが、稲作という生活に密着した神徳、更に古来日本では稲作は産業の中心であったため、徐々に神徳が拡大解釈されていき、現在では神徳は産業全般に及ぶ。

京都にある伏見稲荷大社の大量の鳥居は、ほとんどが産業系事業者の奉納である。

ちなみに、千本鳥居にあるようなサイズの鳥居なら十数万円くらいで奉納可能。


なお、稲荷神を祀る神社や祠の中には、人々に忘れ去られ主祭神の去ってしまった場所も存在し、そういった所では「はぐれ稲荷」と呼ばれる稲荷神を騙った動物霊が勝手に居座っており、人間を騙して従わせては良い気になっている。その為、稲荷神の神社や祠を見つけたからと言って安易にお参りをするのは危険なのかもしれない。と言うのは過疎化した地域や管理されてないケースもあり、残念ながらそのようなところにははぐれ稲荷がいるので要注意。

また、はぐれ稲荷となった動物霊の中には、本物の稲荷神の眷属であった狐も含まれているとされている。

と言うのは我々人間の信仰心に対する問題があるかもしれない。

また正神界の稲荷がいる神社が減って来ており、また中には人の不幸を願ったり悪用しようとして良からぬ願いをかける輩がいるのも事実であり、普通ならそんな願いは叶わないはずがはぐれ稲荷ならそんな願いすら叶う事も事実であり当然ながらどんな願い事にせよ願い事叶ったなら御礼参りしなければならない。もし御礼参りしなかった場合・・・大変な事になるので要注意。それらを考えると安易な願いをかけるのは避けたほうが無難である。


仏教系のお稲荷様

インドでは夜叉、もしくは羅刹に属する一族であった「ダーキニー」が、密教において仏教を守護する(単独の)神・荼枳尼天となった。人の死と関係が深い事から中国において狐との関連付けがされていたが、日本ではさらに進行し、図像表現で狐に騎乗するようにもなり、宇迦之御魂神との習合が進んだ。

曹洞宗の妙厳寺(豊川稲荷)などの寺院で守り神として祀られている「お稲荷様」はこちらであり、別に本尊(豊川稲荷では千手観音)が存在する事が多い。

こちらの豊川吒枳尼真天は白狐に乗り、右手に稲穂の束を刺し吊した棒、左手に宝珠を持つ女神の姿で描写される。


日蓮宗系のお稲荷様

日蓮宗の最上稲荷山 妙教寺(最上稲荷)では「最上位経王大菩薩」別名「最上位経王大善神」という稲荷の伝承があり、全国の日蓮宗系の寺社にも勧請されている。

妙教寺の前身である龍王山神宮寺を開いた報恩大師が孝謙天皇の病気平癒のために『法華経』の一部「観世音菩薩普門品(観音経)」を唱え祈願する中で感得した神で、法華経が説く久遠実成の本仏(釈迦如来)の応現(化身)であり、法華経守護のために遣わされた尊格とされる(つまり、こちらはダキニ天ではない)。

他の稲荷神のように白狐に乗り、左手には両側に稲穂の束を刺し吊した棒、右手には鎌を持つ女神の姿で描写される。

また、八大龍王三面大黒天を脇侍とし「七十七末社諸天王」という眷属を従えるとされる。


日蓮宗系では願満稲荷(願満稲荷大菩薩)、石割稲荷(石割稲荷大明神)、長栄稲荷(長栄大威徳天)、太田稲荷(太田稲荷大明神)という稲荷神も祀られる。


願満稲荷は右手に剣、左手に宝珠を持つ天女形で、観世音菩薩を本地とする。法華経を2000回以上読謡し、仏像を建立した源義光の前に現れ守護神となったという。あるいは日蓮宗総本山となる身延山に逃げ延びた源氏の武士・龍王淡路守の念持仏たる観音像に日蓮がつけた名とも、彼よりも前にこの山に住んでいた人々の氏神ともいう。


石割稲荷も身延山に祀られる稲荷神で、日蓮がこの山に入った際、山の中腹にある岩石が割れて中から老翁の姿の神が現れたという。彼は日蓮の入山を聞きつけて待ち構えていたといい、日蓮に宗門を開き、法華経の信仰を広めるように願った。『身延町誌』に収録された伝承によると、土着の神ではあるが、愛されることなく、山に追いやられた過去があるという。


長栄稲荷は日蓮が佐渡に流された事績と関連する伝承に登場する稲荷神。法華経の行者を守護する白髭の翁となって姿を顕わし、日蓮の海上での安全を約束し、生涯にわたり彼を守護したとされる。長栄大威徳天は翁ではあるが体格は良く背筋が伸びた姿で表現される。右手には剣。左手には経巻を持つ。右手の剣の切っ先は斜め下、地面のほうを向いている。


太田稲荷は官人の姿をした稲荷神。束帯天神像の胸にしばしば梅の紋があるように、この神の胸には五弁の桔梗紋(ききょう)がある。この紋は家紋でもある。太田の名は太田氏に由来し、彼がこの一族の守護神でもあることを示している。太田氏が日蓮宗を信仰していたこともあり、法華経信仰者の守り神ともされる。


民間伝承のお稲荷様

仏教を含めた民間伝承の世界観では、お稲荷様は「」をはじめ無数の同一視(神仏習合)がされている。一部だけを簡単にまとめても、

●稲荷=ダキニ天=稲荷=三狐神の神)=野狐野生の狐・狐の妖怪

●ダキニ天=天照大神大日如来

●稲荷=玉藻の前九尾の狐)=殺生石

●ダキニ天=悪魔貴狐天皇=野狐=倉稲魂(ウカノミタマ

●稲荷=倉稲魂(ウカノミタマ)=宇迦之御魂大神(ウカノミタマノオオカミ)

●ダキニ天=貴狐天皇=白晨狐王菩薩=飯綱

といったようになり、無限と言えるほど多種多様である。


※「野狐」とは野生の狐、狐の妖怪。


融合(習合)の具体例

ダキニ天と稲荷はすでに平安時代の末から同一視されていた

(出典:『呪術と占の日本史』200ページ


三狐を稲荷三の峯に配し。遂に野狐を合せる事になりぬ。

(出典:『百家説林』一〇四八ページ


もともと田の神とその使令としての狐という信仰があったことが伏見稲荷が全国的に受容された基盤

(出典:『日本文化史ハンドブック』414ページ


顕密仏教の習合思想において大日如来と同一視されるアマテラスは、東寺即位法の縁起では、ダキニ天に変化する。

(出典:『女と男の時空:女と男の乱 中世』173ページ


荼吉尼天の別号を白晨狐王菩薩、或いは貴狐天皇などと称した

(出典:『浄瑠璃の小宇宙』244ページ


陀耆尼天の惡魔を。白晨狐王菩薩。又貴狐天皇など稱する飯綱使(イツナツカヒ)とおなじく。野狐大明神なりとも。野狐大菩薩なりとも稱し。…恐多くも倉稲魂の神名を假り。

(出典:『百家説林』一〇五〇ページ


稲荷神、稲荷大明神は、宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)、あるいは宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)であり、倉稲魂命とも書いた

(出典:「稲荷信仰と鼻面稲荷社」34ページ


玉藻稲荷神社は、玉藻の前(九尾の狐)の神霊を祭る神社です。玉藻の前は、絶世の美女に姿を変えて中国インド日本に仕え悪事を尽したという伝説妖狐(ようこ)で、謡曲殺生石(せっしょうせき)」でつとに知られています。

(出典:「玉藻稲荷神社」


現在、那須の黒羽町篠原(下野国)には古いらしい小の上に堂があって玉藻稲荷が祀られてある。ところで、おそらくは同じ神社伝説と思われるのだが、「那須記」の巻五「那須野殺生石付源位階之事」(彰考館本)の殺生石伝説は、篠原稲荷大明神の縁起となっている。

松浦静山黒羽城主大関括斎の語った伝説に言う稲荷祠も玉藻稲荷のことと推測される

(出典:『中世伝承文学の諸相』79-80…87ページ


関連タグ

信仰 神道 日本神話

倉稲魂(ウカノミタマ) 天照大神

神社 伏見稲荷 伏見稲荷大社

神使  ケモノ 油揚げ 稲荷寿司


別名・表記揺れ

稲荷 お稲荷 お稲荷さん お稲荷さま


仏教系関連タグ

荼枳尼天貴狐天皇) 悪魔 豊川稲荷

大日如来 白晨狐王菩薩


民間伝承系関連タグ

野狐 玉藻の前九尾の狐殺生石

三狐神(サグジ) 飯綱


お稲荷様をモチーフとした作品

我が家のお稲荷さま。』 『すっくと狐

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