稲荷
いなり
3. 俗信・俗説やフィクションにおける超自然的な狐や狐の妖怪。本項目で解説する。
神社や寺院で祀られる「稲荷」は神道の神や仏教の尊格である。狐を神使にしたり乗騎にしたりものするが、彼ら自身は人型の姿をした神仏である。
「稲荷は狐」「狐は稲荷」といった俗説が存在するが、伏見稲荷神社の公式サイトの「よくあるご質問」」では「勿論「稲荷大神様」はきつねではありません。」と否定されている。
「稲荷」を「狐の異称」とする辞典として小学館の『大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』がある。
稲荷=狐という俗信じたいは古くから存在するようであり、文献にも記録がある。
14世紀の『神道集』巻第三で伏見稲荷神社の祭神について記述する「稲荷大明神事」には
「そもそも稲荷明神とは、上御前は千手、中御前は地蔵、下御前は如意輪観音なり。
ある人の日記には、下御前は如意輪、中御前は千手、上御前は命婦にして辰狐なり。本地は文殊なり。」
とある。辰狐とは霊狐の一種で、荼枳尼天の異名「辰狐王菩薩」はこれに由来。命婦とは律令制における女性の身分の一つであり転じて、神使としての狐を指し(後述の『稲荷大明神流記』では雄の狐である小薄にもまとめてこの官位が与えられている)、現在も「命婦社」を境内にもうけた稲荷神社が存在し、夫婦の狐を祀る事例(島根県の太皷谷稲成神社)もある。
稲荷神の使いとしての命婦専女神をまつる「白狐社」が伏見稲荷神社の境内にある。 南北朝(1336年~1392年)中期以前の『稲荷大明神流記』によると、ここに祀られるのは阿古町(あこち)という狐で、夫の小薄(こすすき)、ほかに黒烏(くろを)が境内の別の場所に祀られていたが現存しない。
明治23年から25年にかけて刊行された、江戸時代の記録集『百家説林』では「稲荷といふも狐なり 狐といふも稲荷なり」という女童の歌が収録されている。
トウカと呼ばれる狐
「稲荷」を「トウカ」と読み、こちらを狐の呼称とする例がある。安永4年(1775年)刊『物類称呼』巻二の「狐」の項目では、「東国にてハ、昼ハきつね、夜ハとうかと呼ぶ、常陸の国にてハ白狐をとうかといふ、是ハ、世俗きつねを稲荷の神使なりといふ、故に稲荷の二字を音にとなへて、稲荷(とうか)と称するなるべし、」とある。
常陸国は現在の茨城県にあたり、柳田國男は『地名雑考』で「千葉茨城二県にては狐をトウカと呼ぶが常なり」と言っている。
狐を「おとうか」「オトウカさま」と呼ぶ民話、昔話が残っている。
例:
- 埼玉県狭山市(オトウカさまのいたずら)。
- 埼玉県秩父郡(論文「東秩父旧槻川村の民俗(四)」言及の民話①、②)
- 埼玉県児玉郡神川町(おとうか 原新田)
- 埼玉県川越市(川越の伝説)
「トウカ」呼称と稲荷神
「オトウカさま」という呼称が実際の稲荷信仰で用いられていた例も存在する。
『新編会津風土記』50巻の岩代国耶麻郡月輪村(現在の福島県耶麻郡猪苗代町)大字関脇の麓山(はやま)神社の項では、稲荷大明神と書いて「タウカノタイミヤウシン」と読む。祭りで勧請される羽黒権現および稲荷大明神の名を唱える際に氏子がこう読んだとある。
埼玉県比企郡滑川町の「滑川町郷土かるた」の「お 稲荷講(稲荷大明神)」では「オトウカさま イッケで祀る 稲荷講」と記される。イッケとは同じ先祖から連なる集団を指す。
近年においては稲荷=狐はフィクションの世界で描写されている。狐の耳や尾を備えた獣妖怪(女性の場合モンスター娘にも当てはまる)として描写され「稲荷」と呼称される。pixivでもこの意味でタグが用いられている。
稲荷(イナリ)の名を持つ狐属性のキャラクター
稲荷少女ヨーコちゃん(世話やきキツネの仙狐さんの劇中作)
その他
天稲荷コテツ(CHUNITHM)狐耳狐尾ありキャラクター。種族(コスプレした人間なのか妖狐なのか)や「天稲荷」の意味(名字なのか称号なのか)は不明。
天狐空幻(我が家のお稲荷さま。)アニメ版等の各話タイトルにある「お稲荷様」はこのキャラを指して用いられている。
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