有袋類
ゆうたいるい
過去は有袋目(オポッサム目)1目が置かれていたが、有袋類の適応放散は有胎盤類の適応放散と同等のものと考えられるようになり、1990年頃から2大目7目とする分類が主流となった。
有袋類全体の呼称は有袋上目とすることが多い。
真獣下綱(有胎盤類)に対して後獣類(無胎盤類)などとも呼ばれる。
有胎盤類が胎児に効率的に栄養を供給する胎盤を進化させ、胎児を胎内で大きく育てた上で出産することで新生児の生存率を高める方向に進化したのに対し、
有袋類は胎盤を持たずに胎児が大きくならないうちに出産し雌の下腹部にある育児嚢(いくじのう)の中で育てる。このため新生児の死亡率は高いが、妊娠期間が短かったり一度に生む仔の数を増やせるメリットがあるので、「数うちゃ当たる」的な繁殖・育児戦略を採る種が多い。
膣と子宮が左右に二個あることから二子宮類ともいう。
オセアニア区(オーストラリア、タスマニア、ニュージーランド、ニューギニアの島々)及び南北アメリカに約250種が棲息し、形態・習性は多彩で変化に富む。
南アメリカの有袋類はティラコスミルスなどの肉食動物などに進化していたが、南北アメリカが繋がったことにより多数の生物が南アメリカに侵入したことにより、オポッサムを除いて全滅した。
逆にオポッサムは北米大陸にも進出した。有袋類ではないが、現生のアルマジロ、絶滅動物のトクソドン、シャスタオオナマケモノ(ノスロテリオプス)などの一部の南米原産の哺乳類も同様である。
北半球で生まれたはずの有袋類が比較的早くにそこでは姿を消してしまった理由はいまだに判然としていない。有胎盤類に生存競争で敗れたのだ、という説が一般的だったが、両者の命運を分けた理由は確定できていない(南米では有袋類は有胎盤類と長く共存していたし、後述のようにオーストラリアでは有袋類と共に有胎盤類も進出していたが滅んでしまっている。必ずしも有袋類が不利とは限らないようだ)。
有袋類は、主に南半球の大陸(オーストラリアや南米大陸・南極大陸)に生息したが、それらの大陸は大陸配置の関係上、有胎盤類の牙城であるユーラシア大陸・北米大陸・アフリカ大陸からは地理的に隔離されていた。そのため有袋類は有胎盤類と競合を起こすことのないまま、いろいろな環境を利用出来るよう、長い時間をかけて適応放散した。前述のように有袋類は南米では一部を除いて滅び、南極でも寒冷化によって滅んだが、南極を介して南米と繋がっていた上、孤立化が続いたオーストラリアでは多くの有袋類が生き延びて繁栄した(有袋類の他にも原獣類や一部の有胎盤類もオーストラリアに進出していたのが、環境の一時的悪化や他の系統との生存競争の結果なのか、有胎盤類は滅びており、原獣類も極僅かしか生き残っていない)。
その結果、真獣類(有胎盤類)と似通った方向の進化(平行進化)が見られる。
●アメリカ有袋大目
○オポッサム目
○ケノレステス目
●オーストラリア有袋大目
○ミクロビオテリウム目
○フクロネコ目
○バンディクート目
○フクロモグラ目
○双前歯目(カンガルー目)
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