概要
哺乳綱有袋目(フクロネズミ目)フクロネコ亜目フクロネコ科タスマニアデビル属に分類される動物の一種。
かつてはオーストラリア大陸にも分布したがディンゴとの競争に敗れて絶滅し、タスマニア島のみに生き残っている。
体長は50~60cm、体重6~12kgで、現生の肉食性有袋類としては最大種。
お腹には下向きの袋が付いている。
夜になると餌を探して徘徊し、昼間は巣穴で休む。肉食性で小動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫などを捕食し、死肉も漁る。頭部が大きく顎の力が強く、大きな獲物もたちまち平らげてしまう。鋭い前歯はネズミの如く一生伸び続ける。
全身を黒い体毛に覆われ、胸と腰に白い斑がある。
寿命は短く、野生では3~5年、長くても7年程度しか生きられない。
黒い見た目や、体格に比べ大きく恐ろし気な声で吠える事から、白人入植者によってデビルと名付けられた。
フクロオオカミ絶滅の反省や、後述の病気の影響などから保護活動が盛んな動物であり、健康な一部の個体がマリア島などに移入されて繁殖にも成功していたが、その代償として島の在来種であったペンギンやミズナギドリの数が大幅に減ってしまった。
デビル顔面腫瘍について
1996年に野生で初めて発見された伝染性の癌(顔にできた腫瘍を引っ掻いた際の肉片が仲間にかかって感染する)「デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)」の蔓延により野生のタスマニアデビルの個体数は91%減少し、絶滅が危惧されている。
癌が感染する理由について、これまでは何世代にもわたって近親交配を続けたため遺伝子の多様性がなくなったためと考えられていたが、2013年、DFTD細胞には主要組織適合遺伝子複合体作動のためのマーカーが存在せず、免疫システムから異物とみなされていないためと分かり、ワクチン開発の可能性が見えてきた。
だが、この20年で進化した事が判明し、抗体を持ち始めているとする調査がある。
オーストラリアデビルについて
オーストラリア本土に生息していた絶滅個体は「オーストラリアデビル」と呼ばれる事があるが、現時点に置いてオーストラリアデビルという名称の動物は存在していない(厳密には一生物として名付けられようとしたものの、公認に至っていない状態)。
タスマニアデビルを含めて「Sarcophilus」を含んだ学名を持つ動物は全部で4種で、その中の3種がオーストラリア本土から見つかった化石から特定された絶滅種。→外部リンク
また、特徴とされているデビル顔面腫瘍性疾患はタスマニアデビル特有の疾患であり、同種別個体でなければ感染しない。
関連タグ
多摩動物公園…国内で実物が見られるのはここだけ…だったが、高齢による症状悪化からの回復が見込めず、2023年10月13日、安楽死処置された。「今後著しく苦痛が増大していく状況と判断し、大変残念でありますが、やむを得ず、安楽死処置をおこないました」(動物園公式より要点を抜粋)個体名「テイマー」、享年7才。だが、2024年3月14日に2匹の雌の個体が新たに来園することが分かった。
関連キャラ
タスマニアキッド:アニメ・ビーストウォーズⅡに登場するサイバトロン戦士で、この動物の姿を持つとされるが実在のタスマニアデビルとは違い薄茶色ベースの毛並であり、スタイルもかなり異なる。
タスマニアデビル(けものフレンズ)、オーストラリアデビル(けものフレンズ) 『けものフレンズ』におけるタスマニアデビルのフレンズ
桜田ネネ:クレヨンしんちゃんの「オラ、コアラしんのすけだゾ」ではタスマニアデビルのコスチュームをしていた。
津島善子:どちらも悪魔つながりで両者がそろったイラストもいくつか投稿されている。
タズマニアン・デビル:『ルーニー・トゥーンズ』に登場するキャラクター。竜巻のようなアクションで周囲の物体を噛み砕いてしまう。またポケモンでもネコ科がモチーフであるがタズマニアンデビルによく似たやつがいる。
デガンジャ:ゴーデス細胞に侵された風の神がタスマニアデビルの死体を媒体に怪獣化したとされる。
デビるん:タスマニアデビル型天使というややこしい種族のマスコット。
デルビル:一見、ドーベルマンのように見えるが、タスマニアデビルもモチーフとされ、進化系のヘルガーはフクロオオカミもモチーフだと言われている。