データ
羽毛恐竜の産地中国遼寧省で見つかり2004年に命名されたメイ・ロンは、その後の恐竜と鳥との系統関係を調べるのに大きく貢献した恐竜の一つである。
トロオドン科に分類され、唯一見つかっている化石は全長53センチほどの亜成体のものであった。しかし最大の発見は眠った状態で化石化していたことである。そのため学名も中国語で「眠れる龍」を意味する。化石は現生鳥類が眠るときにとる姿勢と同様に、首を後ろに回して頭部を肘の下に入れる形をとっていた。骨の脱臼がほとんどなかったことから、土砂の重みなどで死後に変形したものではなく、睡眠中または休息中の姿勢でそのまま化石化したと考えて間違いないだろう。
鳥類だけが持つと思われていた習性が恐竜であるメイにも見られたことで、鳥類が恐竜から進化したとする学説を補強する重要な証拠の一つとなった。さらに、この姿勢は恒温動物にとって頭部や頸部の体温低下を防ぐ効果があるため、メイが一定の恒温性を獲得していた可能性が指摘されている。
メイはBBCのドキュメンタリー番組「プレヒストリック・パーク」にも登場し、主人公ナイジェル・マーヴェンらに襲い掛かる姿が再現されたが、見つかっている化石が亜成体とはいえ劇中のサイズまでメイが成長したかは不明である。