タイムマシン、ターディスを操り、時空を自在に旅する謎の男、ドクター。
その正体は、遠い宇宙からやって来た異星人。
扉の向こうに彼等を待ち受けるのは奇跡か、それとも破滅か。
人類の運命はドクターに託されている。
曖昧さ回避
1.の概要
イギリス・BBCが1963年から放送している長寿番組で、「世界一長いSFTVドラマシリーズ」とされている。1989年に一度終了したが、2005年から新シリーズがスタートした。
pixivにある作品の多くは、新シリーズに関するものである。
以下、この記事は旧シリーズの解説を行いつつも主に新シリーズ(9代目ドクター以降の作品)についての内容となる。
作品解説
構成
1話約45分~50分で、1シーズン十数話+特番。
2024年現在、新シリーズのシーズン14(S14)まで放送されている。
1話完結で、時々前後2回になる。
(但し、ネタはシーズンどころかシリーズ通して仕込んである)
ストーリー
人間型異星人の主人公・ドクターが、地球人の仲間と時空を旅をしながら地球の歴史に関わる人物と会ったり、宇宙全体での様々なトラブル解決の為に奔走するというストーリーであり、ストーリーは大雑把に3パターン。
- 過去の地球の話(歴史上の人物・事件に実は異星人が関わってた等)
- 現在の地球の話(イギリスで怪事件発生したと思ったら異星人の仕業等)
- 未来の宇宙の話(いかにもSFな宇宙船や他惑星での事件等)
大人から子供まで楽しめる内容だが、ちょっと怖いエピソードも多い(割と人も死ぬ)。
レトロかつシュールな独特の世界観が魅力。クトゥルフ神話の要素も少なからず登場する。例えば:旧支配者。
当初は番組責任者の意向で「異星人が関わらない過去の地球の話」と「異星人が関わる未来の宇宙の話」を制作していたが、視聴者はSF要素を好んだ影響で「異星人が関わらない過去の地球の話」の制作が止めてしまったため、その代わりとして「異星人が関わる過去の地球の話」を制作するようになったという経緯がある。
ドクター
「ドクター」を名乗る男性。
見た目は地球人と同じだが、心臓が2つある「タイム・ロード」という種族の異星人である。
肉体が重度の損害を受けた場合、別の体に再生できる能力を持ち、非常に長命。
再生した場合、記憶は受け継がれるが、容姿・性格・趣味嗜好は変化する(テンションの高さと博愛主義は共通)。
作中では「ドクター」としか呼ばれないが、BBC及びファンは、再生する毎に、旧シリーズから通算して「何代目ドクター」と呼ぶ。
初代ドクター
演:ウィリアム・ハートネル
最初のドクターで、ドクターの中で一番若い方だが老人のルックスを持っている。
2代目ドクター
演:パトリック・トラウトン
レコーダーが好きなドクターで、複数のドクターの性格に影響を与えた。きのこのようにできた髪が印象的。
3代目ドクター
演:ジョン・パートウィー
最初にカラーで放送されたドクター。服をかっこよく着た中年。
4代目ドクター
演:トム・ベイカー
日本語吹き替え: 玄田哲章
長いスカーフとコートが印象的なドクターだ。クラシックドクターたちの中で人気が高い。在任期間はドクターたちの中で一番長い方。口癖は「グミは好き?(Would you like Jelly Baby?)」。
5代目ドクター
演:ピーター・ディヴィソン
赤い柄のベージュコートが印象的なドクター。ドクターの中で若い外見を持っていた。クリケットが好き。
6代目ドクター
演:コリン・ベイカー
服もすごく怪奇で性格も怪しいドクターで有名。
7代目ドクター
演:シルベスター・マッコイ
クラシックシリーズの最後のドクターとして女子ドクターを除くと、ドクターの中で背が小さい。
8代目ドクター
演:ポール・マッガン
劇場版のドクター。クラシックシリーズの最後のドクターでもある。
9代目ドクター(S1)
演:クリストファー・エクルストン(Christopher Eccleston)
日本語吹き替え:山路和弘
新シリーズで最初に登場したドクター。
外見は40代。暗めの短髪。Tシャツに黒いレザージャケットを羽織っている。
悪人面だが、飄々とした人物。
口癖は「Fantastic!」(素晴らしい)。
10代目ドクター(S2-4)
演:デイヴィッド・テナント(David Tennant)
日本語吹き替え:関俊彦
外見は30代。茶髪。ツイードのスーツを着て、コンバースを履いており、本人曰く「ジャニス・ジョプリンからのプレゼント」であるロングコートも愛用している。調べ物をする際などには眼鏡をかける。
人懐っこい性格の為か、妙に女性にもてる(シーズン3辺りは若干腹が立つレベル)。
シリーズ歴代1位の人気を誇る。
口癖は「Allons-y!」(さぁ行こう!)や「What!?(何!?)」。
11代目ドクター(S5-7)
演:マット・スミス(Matt Smith)
日本語吹き替え:川島得愛
外見は歴代ドクターで最も若い20代。
花形満っぽい前髪で、肘あて付きのツイードジャケット、蝶ネクタイ、サスペンダーを着用。
蝶ネクタイを偏愛しており、何かにつけては蝶ネクタイがクールであると主張する。
わざとか天然か、少々空気を読まない。そしてなぜか時々サービスシーン(裸)がある。
口癖は「Geronimo!」(さあ行くぞ!)や「~are cool!」(~はカッコイイ)。
12代目ドクター(S8-10)
演:ピーター・カパルディ(Peter Capaldi)
日本語吹き替え:内田直哉
外見は50代男性。それまでのドクターとは違い、愛想がなく人嫌い。6代目ドクターのような性格で暴力的でひねくれている。
しかしS10では若干雰囲気が柔らかくなり、お茶目な一面が増えている。
これといった口癖はないが、よく「Shut up!」と言う事がある。
13代目ドクター(S11-13)
演:ジョディ・ウィテカー(Jodie Whittaker)
日本語吹き替え:朴璐美
外見は30代女性。シリーズ初の女性ドクター。
お喋りかつマイペースで10代目と11代目を合わせたような性格。長年男性だったためか一人称に迷ったり女性扱いされることに慣れていない。
口癖は「Oh, Brilliant!」(まあ素敵!)。
14代目ドクター(60周年記念スペシャル)
演:デイヴィッド・テナント(David Tennant)
日本語吹き替え:関俊彦
10代目ドクターと同じ容姿をしているが、同じ存在ではない。
15代目ドクター(S14-)
演:チュティ・ガトゥ(Ncuti Gatwa)
日本語吹き替え:駒田航
外見は20代後半で初の黒人ドクター。ユーモアがありエネルギッシュだが実は孤独を隠している。
14代目ドクターから分裂再生した。
ウォードクター / The War Doctor(50周年記念スペシャル)
演:ジョン・ハート(John Hurt)
8代目ドクターと9代目ドクターの時系列的狭間に位置するドクター。
後述のタイム・ウォーにおいてダーレク族と戦い、忘れられた影のドクターである。
アイテム
ターディス(TARDIS)
ドクター愛用品その1、タイムマシンかつ宇宙船。シリーズのアイコン的存在でもある。
「Time And Relative Dimension In Space」の略で「TARDIS」。
外見は、大きな青いポリスボックス(60年代イギリスにあった警察連絡通報専用の公衆電話)。
時間を修正したり、言語を翻訳したりなど超ハイテク装置のはずだが、叩くと直る系。
一見もろそうな外見だかかなり丈夫で外部からの攻撃ではそうそう破壊されない。
離着陸(?)時には「ギーコギーコ」と特徴的な作動音がする。
ちなみに「生物」であり、ドクターは「彼女」と言っている。たまに機嫌が悪くなる。
ソニック・スクリュードライバー
(左の人が持っている棒)
ドクター愛用品その2、ハイテクねじ回し。ドクターによってデザインが異なる。
元々はねじに触れることなくねじ回しが出来るという要素で登場したが、それ以降は施解錠(アナログ、電子問わず)、機械操作、ハッキング、物体や地質などの解析、各種遠距離操作も可能で割と万能であり、使い方次第では武器にもなる。
新シリーズ以降の使用時には「ウィィィィィィィィ」と特徴的な作動音がする。
余談であるが、旧シリーズの制作スタッフからは新シリーズ以降のソニック・スクリュードライバーの多用を嫌っているとのこと。
作中に登場する主な異星人
タイム・ロード
ドクターの種族。惑星「ガリフレイ」出身。時間と空間を司る種族。
他の種族とはかけ離れた能力を持ち、特に技術力、知識量においてはかなう者はいない。
他の種族に対しては不干渉主義を貫いており、ドクターはそれを嫌っている。
ドクター曰く重力やブラックホールはタイムロードが発明したようなものとのこと。信じるか信じないかは…。
「伝説的種族」などと呼ばれ、ドクターを含めて非常に謎が多い種族でもある。
下記の「タイム・ウォー」によってダーレクを道連れにする形で滅亡する。
マスター
ドクターの天敵・ライバルとして度々登場するタイム・ロードの一人。ドクターを死に至らしめた事が多い。
ダーレク
ドクターの宿敵。初登場は1963年。愛嬌のある見た目だが、「宇宙最大の脅威」と呼ばれるほど作中本気で脅威的存在である。惑星「スカロ」出身。
ほとんどの攻撃を無力化する「フォースフィールド」を張り、どんな生命体でも即死するレーザーを放つ。また一兆通りの暗号を1秒足らずで解き明かすほどの頭脳も持っている。
ダーレク以外の全生命体を滅ぼすのが目的。
「抹殺セヨ!」が口癖。
ダブロス博士
惑星スカロのカレド族の科学者。ダーレクを創造した。
マスターとともに長きにわたり登場する悪役。
サイバーマン
脅威その2。初登場は1966年。人間の生きた脳が鋼鉄の身体に埋め込まれている。感情抑制装置により感情がない。全宇宙の生命体をサイバーマンとすることが目的。
自分らのことを「エレガント」だと思っている模様。
地球製のものと宇宙製のものがある。性能も大きく異なっている。
嘆きの天使
脅威その3、新シリーズで登場。宇宙のはじまりと同時期に生まれた最古参のエイリアン。
見た目は石像だが一瞬でも目を離したり両目をつぶると凄まじい速さで襲い掛かってくる。まばたきレベルでもアウトである。また石像状態では破壊不可能。
対処法としては視線を向けたまま遮蔽物で遮ったり、後ろに回り込めれば逃げることが出来る。更に片目だけでも視線を向ければ良いので目が乾いた時は「右目だけ→両目→左目だけ」という対処法で遮蔽物や背後に回って逃げることも可能。
その他
作中に登場する主な組織
UNIT(UNifiedIntlligenceTaskforce)
1958年に設立構想が始まり、初代、2代目ドクターがイギリスの窮地を救った影響で1968年に組織化された。
国連直属の対エイリアン組織で3代目ドクターもガリフレイ追放の影響で一時期ここに所属していたことがある。その後は国連直属組織から独立した対エイリアン組織となったが、依然として国連からは資金援助を行われている。
世界各国の軍隊を自由に要請できる権限を持っており、月面に基地も持っている。
エイリアンの技術を使い、改良された銃を使用。また空中空母「ヴァリアント」も保有している。
UNITの組織化以前から手助けしてくれたこともありトーチウッドと違ってドクターとは良好な関係。
UNITでかつドクターのコンパニオンとして活躍した人達としてレスブリッジ・スチュワート(レスブリッジ准将)、ジョー・グラント、ジョン・ベントン、マイク・イェーツ、ハリー・サリバンがおり、コンパニオンではないもののケイト・スチュワート(レスブリッジ准将の娘)も11代目以降のドクターと大きく関わっている。なお、ドクターと別れた後にUNITと関わるようになったコンパニオンも大勢いる。
トーチウッド
イギリスのヴィクトリア女王が設立した対エイリアンの極秘情報機関。イギリスの各所にあり、規模がそれぞれ違う模様。
国連とは違い一つの国が作ったものに過ぎないため、UNITに比べて規模は小さいが対宇宙船用の大型レーザー兵器を保有していた入り、別の世界ではサイバーマン相手に互角以上の戦いを繰り広げたりとUNITにも引けを取らない。ちなみにUNITと違いドクターとは敵対関係にある。
ドクター・フー(Doctor who)のアナグラムでもある。
トーチウッドをメインとした「秘密情報部トーチウッド」が放映されたが、対象年齢がドクター・フーより高めに設定した番組のため視聴には要注意。
ドクター・フーにおいて主な著名なメンバーとしてキャプテン・ジャック・ハークネス(異星人であり、ドクターの一時コンパニオンを経てトーチウッドスリーのリーダー)、トシコ・サトウ(ドクター・フーでは脇役であったが、秘密情報部トーチウッドにて主な登場人物となる)がいる。
時間戦争(タイム・ウォー)
旧シリーズと新シリーズの間にあったとされているタイム・ロードとダーレクによる宇宙最大にして宇宙の全ての覇権を賭けた大戦争。
詳しくは明らかにされていないが、ほとんどの戦闘が「時間の渦」と呼ばれる特殊な空間で行われたため、宇宙のほとんどの生命体はその戦争があったことすら知らない。そのためタイム・ウォーは伝説とさえ言う者もいる。また戦火に巻き込まれた星は必ず滅びたという。
戦争は何世紀にもわたって繰り広げられたがダーレク軍がタイム・ロードの故郷「ガリフレイ」を包囲。そして最終的に両軍が共倒れになる形で戦争は終結した。
視聴方法
旧シリーズ(1963年-1989年、8代目ドクターまで)の日本での視聴は困難となっている(一部がVHSで発売されたのみ)。
また、新シリーズも時期によって視聴できる媒体や配信元がコロコロ変わっており、一覧にしておくのは非常に難しい。
以下、2024年9月現在配信で視聴できるものに絞って記載する。
- Amazon Prime Video:ドクター・フー(字幕版)【シーズン1-12+特番】
- Amazon Prime Video:ドクター・フー(吹替版)【シーズン5-12+特番】
- Hulu:ドクター・フー(字幕版)【シーズン1-7+特番】
- Hulu:ドクター・フー(吹替版)【シーズン5-7+特番】
- Disney+(ディズニープラス:ドクター・フー)【60周年記念スペシャル+シーズン14】
番組本編の配信はないが、クリップやトレーラー等が見られる(字幕なし、英語音声のみ)。