概要
飛行戦艦・空中戦艦から派生した空中艦としての空母のこと。あるいはかつて実在した、単機または複数機の子機を搭載する航空機(母機)のこと。
飛行空母、空中母艦、飛空母艦などとも呼ばれる。
現実の空中空母の歴史
現実にも空中空母の開発が盛んに行われていた時期があった。飛行機の軍事転用が始まって以降、鈍重な飛行船や爆撃機の護衛として小型で軽快な(ゆえに航続距離を伸ばしづらい)戦闘機を随伴させる手段として検討されていた。
しかしながら、発進はともかく回収は困難を極め、試験中の衝突事故が多発。
そうこうしているうちに、空中給油技術の確立によって戦闘機の航続距離の問題が概ね解決してしまったため、開発は廃れることとなった。
そんな中、1960年代にB-52G/H爆撃機から発進する「ADM-20 クエイル」が実用化される。これは敵の防空陣地の気を引く囮として飛ばされるものであり、その目的上使い捨てであるため運用上はミサイルの扱いだが、自動操縦装置により所定のコースをなぞることが可能であり、無人航空機と呼んでも差し支えないだろう。
2021年にはC-130を母機とした無人機「X-61 グレムリン」の空中回収試験に成功しており、今後の研究の行く末次第では正真正銘の空中空母が実現するかも知れない。
実在した空中空母または現実での構想
大型の爆撃機や飛行船は有人・無人航空機の母機として改造されたことがある。
- B-52:ロケットエンジン・スクラムジェットエンジンなどを搭載する航空機の極超音速下での挙動・空力特性や熱力学的影響を調べる実験機を右主翼下の専用パイロンに搭載する。実験で得られたデータは、スペースシャトルやSR-71などの開発に繋がる。
- ロッキード CL-1201:スカンクワークスの計画していた、全長170m・全幅341m・重量5,300tの超大型原子力航空機。東京タワーとほぼ同じサイズで、これほどの巨人機を運用できる滑走路は存在し得ないため、リフトジェット182基で垂直離着陸する。戦闘機を22機搭載する空中空母型などが計画されていた。
- ボーイング747:本機を空中空母とする「747AAC」計画が構想されたことがある。少し異なるが、宇宙ロケットの空中発射母機に改造された機体「コズミックガール」が存在する。
- C-130:DARPAによる空中での発進・回収を可能とする汎用無人航空機の研究の実験プラットフォームとして利用されている。2019年11月にX-61の最初の拘束飛行試験が行われた。
空中空母が登場する主な作品
アニメ
- 天空の城ラピュタ:飛行戦艦ゴリアテ、タイガーモス号
- 荒野のコトブキ飛行隊:羽衣丸
- のび太と空の理想郷:タイムツェッペリン
- ガンダムシリーズ
- HELLSING:デクス・ウキス・マキーネ、他
- 科学忍者隊ガッチャマン:ゴッドフェニックス
- 勇者王ガオガイガー:三段飛行甲板空母、高速転槽射出母艦イザナギ、高速移動母艦ヤサカニ
- 甲鉄傳紀:Tu-162戦闘飛行船
ゲーム
- エースコンバットシリーズ
- エースコンバット(1):衝撃の空中要塞
- エースコンバット3:UI-4053 スフィルナ
- エースコンバット5:アークバード
- エースコンバット6:P-1112 アイガイオン
- エースコンバット7:アーセナルバード
- プロジェクト・ウィングマン:スリナム級空中空母
- スカイターゲット:フランベルジュ、ブリガンダイン
- スプラトゥーンシリーズ:ハコビヤ(シャケコプターの母艦)
- 軌跡シリーズ:グロリアス、パンタグリュエル ⇒ 導力飛行船
小説・漫画
- 越天の空:大和型空中空母八洲
- 戦闘妖精・雪風:バンシー級原子力空中空母
- 飛空士シリーズ
- ラスティフロント(旧称フライトグライド)
- レッドサン ブラッククロス:八式航空援護機L10N2(富嶽の改造型)
特撮・映画
- ウルトラマンレオ:マッキー1号
- ウルトラマンマックス:ダッシュマザー
- MARVELシリーズ:ヘリキャリア
- ゴジラ キング・オブ・モンスターズ:アルゴ
- スーパー戦隊シリーズ:戦隊母艦
- スカイキャプテン:MantaStation
- キャプテン・スカーレット:クラウドベース
外部リンク
関連タグ
空中艦 空中戦艦 飛行戦艦 飛空艇 飛行船 架空機 陸上空母 宇宙空母
航空戦艦 航空巡洋艦 戦闘空母 空母 航空母艦 母艦 揚陸艦 強襲揚陸艦