概要
航空戦艦と同様のコンセプトを持ち、通常の巡洋艦より航空機(水上機)搭載数を増やし航空戦力を強化したもの。航空戦艦の場合とは異なり、実際に多数建造されており、実戦での活躍例も多い。これは巡洋艦という艦種は偵察も主任務としており、航空機を搭載する事はこの任務に適った運用であり、航空戦艦の場合とは違って利点が大きかったからである。
艦体後半が航空甲板に充てられる場合が多く、その分だけ後部主砲などの艦載機を傷つける恐れの多い武装は削られたりするため、純粋に巡洋艦として見た場合は火力不足な感がある。
もっとも航空機の搭載数が多いといっても相対的なものである。航空戦艦と名乗らなくても大型の戦艦、例えば大和型戦艦と比較すれば、航空巡洋艦であっても航空機の搭載機数が少ない場合も多い。また、用途も対潜哨戒や偵察といった補助任務に限定され、搭載機も哨戒機や偵察機が主体であった。
このコンセプトは第二次世界大戦後のヘリコプター搭載型護衛艦(DDH)などに継承された。ジェット機の運用能力を持った正規空母を保有し得る国は極めて限られたために、それ以外の国にとって空母の代替として、ヘリコプター運用能力を持った艦は、大変魅力的なものとなった。
また全通型甲板を持った艦艇を保有できない国家がこの航空巡洋艦を政治的都合でそれと言い張る場合もある。(見た目は空母なのに航空巡洋艦と申告する場合も→重航空巡洋艦)
さらに、空母と同じような航空甲板を備え、水上機より能力の高い通常の艦載機を扱えるようにしたものも構想上では存在する。
最初の航空巡洋艦として挙げられるのが、1934年に竣工したスウェーデン海軍の「ゴトランド」である。全長134.8m、排水量5,550tと軽巡洋艦に相当する船体であるが、水上機搭載数は常用8機と非常に多く、航空巡洋艦の名に相応しい。
日本では利根型や大淀(どちらも水上機6機を搭載)、後部主砲を撤去して航空艤装を装備し水上機11機を搭載可能に改装された「最上」などが有名である。