3万年ぶりに蘇った戦士達を待つ過酷な運命とは?
解説
石ノ森章太郎原作、東映本社企画部担当、東京ムービーとオカスタジオの合作、石黒昇監督で、1977年4月12日から8月30日までテレビ朝日系列局(ただし一部系列局除く)で放送されたSFアニメである。また、新潟放送や静岡放送(いずれもTBS系列局)などでも放送された事がある。
『超神ビビューン』の後番組は本来なら『快傑ズバット』が放送される予定だったのが東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送されていた『忍者キャプター』が第43話で打ち切られた影響でズバットが同局に持っていかれ、急遽企画された。当初は1977年4月5日から放送開始予定であったが、1週遅れて4月12日からの放送開始となった。
漫画作品の無い完全アニメオリジナル作品で、一見「サイボーグ009」の亜流に見えるが(実際サイボーグ009のリメイクの要素も少なからずあった)、「サイボーグ009」と異なり、主人公達の故郷は既に滅亡しており、亡国の戦士となった主人公達の過酷な運命を綴ったハードなストーリーと、世界の七不思議を掛け合わせた特徴がある。
裏番組が「まんが名作劇場サザエさん」(フジテレビ他)と「シャープ・スターアクション!」(日本テレビ系列局ほか)だった為、裏番組の「ろぼっ子ビートン」(TBS系列局ほか)と共に視聴率は3%台に低迷、第20話を以て打ち切りとなり、ガイスラッガー達がインベム本星へ向けへ旅立ちワープに入る所で完結している。
なお、次番組は「冒険ファミリーここは惑星0番地」と再び特撮番組に戻ったが、それが同枠最後の特撮番組となった。
あらすじ
古代南極大陸に繁栄していたソロン王国はインベム軍団の侵略に晒されていた。そこで5人の少年少女をサイバノイド戦士(所謂サイボーグ)・ガイスラッガーへ改造し、インベム本星へ送る事にする。ソロン号を用いた人工冬眠実験の日、天変地異が起きソロン王国は滅亡してしまい、インベム軍団も撤退する。
それから3万年後の現代(20世紀末)、インベム軍団は侵略を再開。南極大陸の調査団員・志岐博士は愛犬ジローと共に調査に向かった所インベム軍団の襲撃を受け、ジローは瀕死の重傷を負う。それに反応し、ソロン号は覚醒。3万年ぶりに蘇ったガイスラッガーは故郷が既に滅亡している事を知り、サイバノイド手術でジローも蘇るも遣り切れないまま、ガイスラッガー達はインベム軍団との戦いに身を投じる。
登場人物
ガイスラッガー
かつては志岐博士の愛犬だったが、インベムの攻撃により致命傷を負う。マリの手によりサイバノイド犬として蘇り、ガイスラッガーの一員となる。人間の言葉を理解出来、チョークをくわえて地面に文字を書くことが出来る。
協力者
- 志岐博士(CV/飯塚昭三)
国立地質研究所所長で、ガイスラッガーの現代での身元引受人となる。時には厳しく怒ることもあるが、知識豊富なナイスガイである。ケンのおじ(シキ博士)に似ているが、志岐家とケンとの血縁関係は特に言及されない。
- 志岐玲子(CV/吉田理保子)
志岐博士の娘。高校生。
- 志岐浩(CV/田上和枝)
玲子の弟で7歳(最終回で8歳に)。ケンの弟・コウに似ている。
国防庁長官。ガイスラッガーに理解を示し、協力する。時にはガイスラッガーと対立する立場になったり、ギャグメーカーの面を見せることもある。
インベム星人
- デガス将軍(CV/緒方賢一)
インベム軍地球征服計画司令官。ガイスラッガーに作戦をことごとく妨害される。かなり悪知恵が働くが無茶はせず、退くべき時には退くことができ、闇雲に攻めずに侵攻に必要なエネルギーや物資の調達にも力を入れる慎重派の知将。ババルにも性急に事を運ばず慎重に行うよう進言していた。
- ババル・ベム・インベム皇帝(CV/家弓家正)
インベム星の皇帝。細身で髭顔の神経質そうな人物で、少々短気な性格の持ち主。完結していればラスボスになる筈だった。
- インベム兵
全話に登場する、インベム星人の兵士。
特徴的な仮面をかぶっている。
インベム星人だけでなく、14話に登場したモロカ星人・バンバンのように、インベム星が征服した星々の住民たちもインベム兵として徴用されている。
- ガロロ大尉
1話登場。
- ドドス艦長
2話登場。宇宙開発用シャトルを破壊した。
- へドス隊長
3話登場。イースター島に隠されたエネルギーを狙った。
- ギラル艦長
4話登場。小笠原沖で、志岐博士の乗った調査船を奪取した。
- ガゼル隊長
5話登場。ソロン王国のロボットシティの秘密を探った。
- パパス艦長
6話登場。飛鳥文明の巨石に記された秘密を奪取しようとした。
- グモス副官
7話登場。ケンが不注意から墜落させたソロン号を、撃破しようと試みた。
- ガラバ隊長
8話登場。インベムが作った宇宙灯台に、電波妨害装置を設置した。
- ゾベス隊長
9話登場。冬眠カプセルに眠る6人目のガイスラッガー・ユキを狙った。
- ドルム大尉
10話登場。動物を狂わせ人間に襲わせるアニマ計画の指揮を執った。
- ババン司令、ジジン艦長、ゲッツ副官
11話登場。かつてナチスドイツが用いていたUボートを復活させ、それを用い地球の海を荒し、混乱させた。
- ロゴス隊長
12話登場。地球侵略に用いるエネルギー鉱脈の所在を探った。
- ゼルマ大尉、ナズル中尉
13話登場。ゼルマ大尉はインベムの少年士官で、宇宙生命体ズズズを操る。ナズル中尉はゼルマの副官で、ズズズが怖いため従っているが、内心では反感を抱いている。
- ガット隊長
14話登場。脱走したモロカ星人のバンバンたちを捕え、処刑せんとした。
- ガンガ隊長
15話登場。人間爆弾を用い、ソロン号の基地を突き留めて爆破しようとした。
- ダガル少佐
16話登場。インベム王朝の子孫である少女、夕子を捕える任務を受けた。
- ガルバ、ゾルバ
17話登場。ババル皇帝の近衛師団の精鋭である兄弟。月でソロン号と戦う。
- ピピン隊長、ババス隊長
18話登場。ソロン号撃滅の両面作戦を受け持つ。ピピンは空から、ババスは地中から、それぞれ攻撃した。
- 名称不明のインベム隊長
19話登場。
ソロン号
ガイスラッガーたちが搭乗する万能戦闘艇。機首に搭載されたドリルが特徴。
ビーム機銃やミサイルポッドなどを装備するが、下記の「ソロン攻撃」における、ガイスラッガーを敵インベム艦に突入させる役割も有している。
ソロン攻撃
敵大型艦などに、ソロン号の機体を若干変形(主翼を格納、前面に装甲を展開)させた後、ドリルで特攻。そのまま内部にドリルを貫通させた後、ドリル部分が開き、ガイスラッガーたちを敵艦内に侵入させ、内部から白兵戦により敵艦を破壊する攻撃である。
ガイスラッガーは戦闘フォーム姿でそのまま敵艦内で白兵戦を行い、戦闘終了後にソロン号に戻り、そのまま脱出。敵艦は爆散する。
サイバノイド
ガイスラッガーたちは「サイバノイド(サイバネティクス・ヒューマノイドの略称)」の戦士である。
首から上の外観は(オノ・リキを除き)生身の人間と同様だが、胴体は全て機械化されている。外皮は体のラインが出たスーツのようだが、脱ぐことはできない。
手足を含め胴体部分は全てが機械化されているため、負傷(破損)しても修理や部品交換ですぐに戦線復帰できる。しかし頭部のみが交換が効かないため、そこが弱点にもなっている。
機械化されたこの身体では、通常の人間が摂取するような食事は必要ない。ただし、意思疎通やコミュニケーション目的、またサイバノイドの素性を隠すためなどの理由から、人間と同様の食事を採る事は可能。摂取した食物は完全に分解され、予備エネルギーになる。
あらゆる言語を発声させる音声合成器や、自動翻訳機を頭部に搭載。当初は古代ソロン語を用いていたが、この機能を用い日本語を用いるように。また、諸外国の人間たちともこの機能で翻訳し会話が可能。
劇中に登場したサイバノイドは、ケンたち五人だが、9話には彼ら以外のサイバノイドとして、カプセルに眠っていた少女、ユキが登場している。
各話リスト
放映話 | サブタイトル | 初回放映日 |
---|---|---|
1 | 戦士 三万年より還る | 1977年4月12日 |
2 | 消えたスペースシャトル | 4月19日 |
3 | イースター島から来た少年 | 4月26日 |
4 | 悪魔の海の決闘 | 5月3日 |
5 | トンカラリンは地獄の門 | 5月17日 |
6 | 明日香の巨大な謎 | 5月24日 |
7 | ストーンサークルの贈り物 | 5月31日 |
8 | 日本のピラミッド | 6月7日 |
9 | 冬眠カプセルの少女 | 6月14日 |
10 | ジロ暁に吠える | 6月21日 |
11 | 亡霊潜水艦Uボート | 6月28日 |
12 | 悲しみと怒りは胸に | 7月5日 |
13 | 狙われたソロン号 | 7月12日 |
14 | あゝ!祖国よ | 7月19日 |
15 | 人間爆弾作戦 | 7月26日 |
16 | 夕子の羽衣 | 8月2日 |
17 | 月は戦場だ | 8月9日 |
18 | 熱砂の激闘 | 8月16日 |
19 | インベムへの亡命者 | 8月23日 |
20 | 21光年への特攻 | 8月30日 |
余談
- 本作では、インベムの行動と圧倒的物量にもかかわらず、ガイスラッガーの基地を発見する事は出来なかったと言う珍しい展開だったが、これについてグロイザーXを連想した、と言う声がある。
- 打ち切りで終わった本作だが、完全放送されたとしてもガイスラッガー全滅のバッドエンドは不可避だった可能性が高い。ソロン号には大した武器が搭載されておらず、ガイスラッガー自体惑星一つを吹き飛ばず超高速増殖炉が搭載されている。ED歌詞でも「太陽燃える~」とある他、終盤では彼等の寿命が近い事を暗示する描写もあった。これらから推測するに、彼等自体が特攻兵器だった可能性が極めて高い。故に、結末まで描かれていたら当時の視聴者のトラウマになったかも知れず、描かれなくて良かったとも言える。
- アニメーション製作を東京ムービーとオカスタジオに委託したのは、東映動画が当時多数の作品を抱えており、依頼することがままならなかった為。
関連イラスト
表記ゆれ
関連タグ
超神ビビューン:前番組。
冒険ファミリーここは惑星0番地:次番組だが、同枠特撮番組の最終作となった。
タカトクトイス:本番組枠のメインスポンサー。
サイボーグ009:ガイスラッガーの下敷きとなった作品で石ノ森章太郎のライフワーク。
UFO戦士ダイアポロン:ガイスラッガーの前年に放送された宇宙からやって来た亡国の戦士繋がり
ジャッカー電撃隊:同じ年に放送された石ノ森章太郎原作のサイボーグ戦隊の特撮番組。但しこちらは後半から路線変更等が加えられている。
無敵超人ザンボット3:ガイスラッガー終了後にスタートした先祖が亡国繋がりで、本作のスタッフも製作に参加
ジェッターマルス:同じ年に放送された、過去の名作を下敷きにしたリメイクにして不運な失敗作繋がり。此方は手塚治虫の鉄腕アトムがモチーフ。