ファンロード
ふぁんろーど
日本のアニメ雑誌・アニパロ誌。何度か出版社の移籍があり、名称も変遷している。
神保町にある編集プロダクション「銀英社」で編集され、常に人手不足と予算不足等に悩まされながらもアバウトかつマイペースな誌面を提供し続けてきた。
1980年 | 「ふぁんろ~ど」として創刊。出版元のラポートは通信販売や直営店舗によるアニメ・ゲーム関係のグッズ販売を主とした会社であった。 |
1982年 | 1月号より表紙ロゴが「Fanroad」に変更される。 |
2003年 | ラポートが倒産。「ファンロード」は大都社へ移籍し「月刊ファンロード」となる。 |
2008年 | 「ファンロード・モバイル」のサービス開始。 |
2009年 | 大都社から「月刊ファンロード」休刊が告知される。「ファンロード」はインフォレストに移籍し、コスプレ情報誌「COSMODE」増刊の「ファンロード改」に改称。 |
2010年 | 「ファンロード改」Vol.4が誌面リニューアルのため発売延期になることが告知される。「ファンロード」はグライドメディアに移籍し、「egg」増刊の「投稿道F」に改称。 |
2010年 | 「投稿道F」第4号が発売中止となる。 |
2012年 | 「ファンロード・モバイル」サービス終了。ミラージュプレスから「ファンロード電子版」が発行され、オンデマンド出版による冊子版の通信販売も告知される。しかし、Vol.1のみ発売され、Vol.2は誌面上で告知されたが発売されなかった。 |
一応アニメ雑誌に分類はされているが読者投稿から成り立っており、旅行や食べ物他、多種雑多な要素がごった煮になって、闇鍋的な雰囲気を作り上げている。他と一線を画す最たる特徴は読者の投稿イラストがクリーンナップされて毎号表紙に使用されていたことだろう。
そのため、見る人によって認識や解釈は様々であり(その中には誤解や思い違いが含まれることも少なくない) 、独特の気風がかなり強く「よくわからない」「とっつきにくい」「イラストにつられて買ったら変な雑誌だった」などと思われやすいが、稀に波長の合う人間が読んだ場合とてつもなくはまり込む。特に熱心な読者は自らを「ローディスト」と呼称する。
競合誌としては1980年代には「月刊OUT」、1990年代には「ふぁいんどあうと」「ゲーメストワールド」、2000年以降は「クチコミ投稿マガジン」「スモールエス」などが挙げられる。
なお、グライドメディアが出版権を持っていた平成22年秋以降刊行が途切れ、多くの読者を意気消沈させていたが、実は水面下で電子版の製作が進められていたことが編集長のTwitterで2012年に明らかにされた。
電子版ではサービスで冊子形態の印刷版の通販も行っていたといわれるが、上下巻に分けられた1号が出版されたのみで、現在では発売元会社自体が消失した可能性がある。また、それらとは別に2008年より携帯電話専用サイト「FRモバイル」も並行して運営されていた(このサービスは平成24年終了)。それ以降は事実上の休刊となっている模様である。
2021年現在では、編集長K自ら発行しているメールマガジン(外部リンク参照)が唯一の刊行物である。
ローディスト
この雑誌の愛読者のこと。それ以外の定義は特に存在せず自称でもよく、ローディストだと思っていればローディストであるといわれる。なお、このメンツは多様な人材が揃っており、おかしなものを愛好する趣が強い。また、誌面の世代交代が目まぐるしいため、年代構成はかなり幅広い。およそ3年~5年ほどで読者・投稿者はそっくり入れ替わるが、一部には10年以上にわたって購読を続ける読者もいる。
また、かつてはジャンプ放送局、アニメディアや週刊少年チャンピオンなど、他誌と平行して投稿する投稿者も少なくなかった。現在、pixivにアカウントを持っている者もいる。
有名ローディストの投稿イラスト
イニシャルビスケットのK
通称「Kさん」。創刊当初からずっとこの奇妙な雑誌を取り仕切っている食通編集長。本名・浜松克樹。K字型のビスケットが顔になった姿で描かれる。石野真子とブルース・リーの大ファンであり、「時計」「ワイン」「アリス」「リス」「カメ」「カニ」など、多彩なものに通じる趣味人。
その事情通が災いし、専属作家の遠山拓磨にメイド喫茶についての知識を披露したところ、「よほどメイド喫茶が大好きに違いない」という誤解(?)が広まってしまい、「Kさんといえばメイド喫茶」とまでいわれるほどにイメージが定着してしまった。
Twitterもやっているが、つぶやかれているのはほとんどが食べ物の話である。また、『ジョジョの奇妙な冒険』ジャンプコミックス版第1巻では巻末解説も書いている。
この一覧に関しては掲載順ではなく、50音順に掲載している。これはこの雑誌の出版が長期にわたり、バックナンバーの調査が必要となる掲載順での発表が困難となっているためである。
アチョーまん
みやげ物として販売されるブルース・リー饅頭……だそうだが、実在するのかどうかは謎( 現在でも情報募集中 )。ちなみにこれは編集長Kの好物とされていたが、当人は「そんなものは食べたことがない」と否定した。
『北斗の拳』の登場人物のひとり。本誌メイン記事「シュミの特集」の「大事典」コーナーに、なぜかいつも乱入する。そして五十音順のトップになることを狙うが、大抵他の「ア」で始まるキャラクターに阻止される。また、「天野明先生は原作者自らアミバのトップを防ぐ」「アムロ・レイや綾崎ハヤテは主人公なのにアミバのトップを防げない」など、他のキャラや人物が併せてネタにされることもある。
このネタに関しては誌面での初登場は明確にされており、1985年であるが、もちろん当時まだ生まれていない、あるいは週刊少年ジャンプなど読むことがなかった読者も数多かったため、「なぜアミバがいつも登場するのか?」は新規読者定番の疑問になっていた。
「古参の常連投稿者」と間違われたこともある。
大まかに言えばネタの採用権を持つK氏が上述のようにアバウトかつマイペースさを発揮していたことで、面白ければ別作品ネタも載せており(そもそも、「イニシャルビスケットのK」はアミバ以前からの事典の常連であった)、更に言うなら編集長権限で誌上で『北斗の拳』を読者に広めた張本人でもあったことに端を発する。
北斗ネタの掲載率が高いのは投稿者の共通認識であり、アミバが本編でトキに成り代わろうとする自己顕示欲の強いキャラであったこと、偶然だが名前が一文字目がア行、二文字目がマ行というトップを飾るには絶妙な難易度だったことから、いつの間にやら「大事典のトップを狙っている」というキャラ付けがなされ、投降者間ではジャンルを超えた事典内固定枠と見なし、トップを阻止せんとする対象のジャンル対抗枠とのネタ合戦を極めることとなった。一度、アミバの名前が掲載されなかった時は、その年の「FR大事典(創刊月の8月に行われるその一年の総決算的年企画)」でネタになったほどである。
そして暗黙のうちに始まったものの常で終わり処が見つからず、名前だけが様式美として残った結果である。先に推測されていた「適当に続けていたらいつの間にか長くなってしまった」説が最も近いと言えよう。
ヴァルキリーはエロゲー
典型的な勘違いのたとえに使われる。これは『太臓もて王サーガ』のヴァルキリーのルリーダは『戦乙女ヴァルキリー』※が元ネタか」という間違った投稿が元ネタ。
※正式名称は『戦乙女ヴァルキリー「あなたに全てを捧げます」』。2004年7月30日にルネより発売された18禁の女神調教アドベンチャーゲームでアニメ化もされている)
エンピツのシンでほくろ
「身体に刺さった鉛筆の芯が、そのまま皮膚の中でホクロになってしまった」という体験談シリーズ。同様のネタで「スリッパの中に蜂」などというものもある。
「ギャアアアアアアア」
編集長K氏が、編集部の人手不足からBLドラマCDを自ら聞いてレビュー記事を書かねばならなくなり、そのレビュー文( というより、ただの絶叫 )として書かれたのがこれである。これが読者に非常に面白がられたためか、K氏がBL的なものを説明する際の専用お決まりフレーズとなった(例:「これもギャアアアアかな?」等)。
抗議文シリーズ
似た特徴のある作品に「絶対パクリです!まねしてます!ずるいです!」と言いがかりをつけるというもの。当然、冗談だとわかるものに限られる。ネタ元は、なんと編集部に実際に届いた本物のクレーマーの投書(パロディの概念を理解できておらず、掲載作品に対して「盗作だ」とクレームをつけてきた、勘違いも甚だしいもの)である。
ネタとしては好評であったものの、事情を知らない新規読者が「本当に文句を言っている」と誤解してしまうことがあるため(元ネタ掲載が当時発行されていた増刊号であり、本誌だけを読んでいる読者には意味が通じなかったことも起因している)、その後掲載が控えられるようになった。
「この○○な生き物を殴らせてください、大パンチで」
元々はバカゲー本『美食倶楽部バカゲー専科』からの流用ネタ。元ネタはセンチメンタルグラフティのレビュー内「だれかこのりゅんりゅん言う生き物を殴らせてください、大パンチで」(うろ覚えで記述)より。「大パンチ」は格闘ゲームにて、攻撃の強弱を表現するシステムの用語から。
投稿者・狂本弘明が『君が望む永遠』の登場人物の劇中での行いに腹を立て「この髪の青い生き物を殴らせてください、大パンチで」と発言したことが元。これが他の投稿者達に模倣され、物語内で外道な行いをしたキャラに対して使うネタとして誌面に定着した(例:「この髪の赤い生き物を…」)。
『仮面ライダーBLACK』の主人公、南光太郎のセリフが元。都合の悪い出来事はすべてゴルゴムのせいにするというもの。「ディケイド、貴様のせいで!」という模倣ネタもあったが、休刊時期と重なったこともあって、一度使われたのみで終わった。
本来はなんでもないはずのシーンを、周囲を真っ黒に塗りつぶし、セリフだけを残すことにより意図的にいかがわしい誤解を招くというもの。
SD2
2004年7月号「台湾特集」の記事内で紹介された、現地作家による非公式な『SLAM DUNK』の続編。主人公は流川楓。初期の頃は原作に近い絵柄だが、先へ進むごとに似ても似つかぬ絵になっていく。さらにボールをゴールに叩き込む際の擬音が「ダゴギャ」等、明らかに変。ちなみにタイトルの「SD」とは、「スラムダンク」ではなく「スィートドリーム」と読む。
性別のわかりづらい人物について議論するもの。初期の頃は本誌の常連投稿者に対して行われていたが、後に(キキやクラピカ等のキャラクターを対象としたものが主流になる。さらに後年になると、神田ユウのような明らかに性別のはっきりしているキャラクターを面白半分に槍玉に上げるケースや、池沢佳主馬をただの願望で女の子扱いしてしまうものなども見られた。
タイムマシンシリーズ
過去の時代に戻って「未来ではこうなっている」と言っても、昔の人には信じてもらえないだろう、といったネタ。
- カムイ伝や銭ゲバの原作連載時に戻って、両主役を同じ役者が演じると言っても信じてもらえない
- 未来のゲームでマジンガーZやゲッターロボが活躍していると言っても信じてもらえない
- デビュー当時の古谷徹に、まだ星飛雄馬を演じていると言ったらどんな表情をされるのか
デブノート
名前を書かれた人間は太ってしまうという、デスノートのパロディ。2005年5月号では、なんと本物の単行本と同サイズのかけ替えカバーが綴じ込み付録として付けられた。
どうすれバインダー
「バインダーを忘れてどうすれバインダー」というダジャレネタが発端。使いやすいネタのためか、息が長い。
肉委員会
男性の筋肉美を愛好する集まり。参加者はかなり少ないが、その圧倒的な存在感と主催者・柴田拓の卓越した画力で、支持者は多い。
「人間が変わってますがな!!」
千円札の人物が夏目漱石から野口英世に変わった頃、電車内の女子高生が「千円札の人の”髪型が変わった”」と会話していたことに、専属作家の早乙女広司が突っ込んだことが発端。これを応用して、実写ドラマで役者が交代したり、リメイク作品でキャラの容姿が著しく変化した時などにその状況を表すネタとして使われる。
名探偵シャーロック・ホームズが習得している東洋の武術。誌上ではこのイメージばかりが一人歩きし「もはや探偵ではなく格闘家扱い」とまで言われた。
「氷苦へ行け!」
氷苦とは、ダジャレコーナー「氷の苦笑」の略称。他のコーナーでダジャレネタを使ってしまった場合に使われる(大抵は言った当人が自虐的に使う)。
服は面倒なので省きました
投稿者・狂本弘明が裸体キャラを描く際の名言。「服は描くのが難しいので省きました」の場合もある。ぶっちゃけ、ただの言い訳である。
「変な○○もあったよ~な……。」「幻覚です」
「変な続編」「変な実写版」「変なリメイク」など、黒歴史を否定したい場合に使われる。実際はこうしてネタにされることによって、忘れていた記憶が再び呼び起こされてしまう。
「まあ、暑かったからね」
夏コミ記事での、奇異なコスプレ写真に付けられる定番のコメント。
やさい
BLの事。やおいを”や◯い”と伏字にしたら、”やさい”と勘違いした読者がいてネタとして定着。その後「じゃあ女性同士はくだものだ」という事で”くだもの”という用語も生まれた。発案者は乱魔猫吉。
○○が○○でなくなっておられる!!
状態が変化しすぎて、その名に反した有様になってしまうこと。元ネタは、漫画執筆者のカグラカオリが、溶けてしまったガリガリ君を「ガリガリ君がガリガリでなくなっておられる!」と表現したことから。
人手とスケジュールの足りなさゆえにどうしても発生してしまうもので、FRの名物といってもいい。中には語感が絶妙な誤植もあり、それが新たなネタを呼ぶこともある。ゲーメストと類似している。
畑七瀬( 火田七瀬)のような、知らなければ普通にそんな名前だと思ってしまうものや、「Kさんはアグルとギルスが好き」→「Kさんはアダルトギャルスが好き」のような別の意味の文章になってしまうもの等、様々である。
あなうめくん(C38破死本)
毎回ゲストの超人が、ほとんど一発芸のような必殺技で敵と戦う4コマ漫画。
弟に恋焦がれる危険な姉・ユウの異色ラブコメ。作者の姉も常連投稿者( ねこのポチ )だったため、連載中には「きっと姉弟の実話を描いているに違いない」とよく疑惑ネタにされていた。
勇者への道(柴田亜美)
年代 | 主に誌上で取り上げられた作品・人物 | 常連投稿者 |
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1980年代前期 | 機動戦士ガンダム、うる星やつら | |
1980年代中期 | キャプテン翼北斗の拳、機動戦士Zガンダム | |
1980年代後期 | 聖闘士星矢、鎧伝サムライトルーパー、魁!!男塾 | ながいけん |
1990年代前期 | 天空戦記シュラト、新世紀GPXサイバーフォーミュラ、美少女戦士セーラームーン、ドラゴンボール、幽遊白書、るろうに剣心、スラムダンク、田中芳樹、超兄貴 | 吉崎観音、こげどんぼ* |
1990年代中期 | 新世紀エヴァンゲリオン、新機動戦記ガンダムW、格闘ゲーム、柴田亜美、緑川光 | くもぎり太郎、遠山拓磨、C38破死本 |
1990年代後期 | 封神演義、シャーマンキング、最遊記、カードキャプターさくら、すごいよ!!マサルさん、ドルヒラ、ジョジョの奇妙な冒険 | K・春香、米根真紀、九猫あざみ、喜多川あゆこ、湯キリコ、桜井はがね、衣谷康介 |
2000年代前期 | テニスの王子様、HUNTER×HUNTER、ONE PIECE、NARUTO、MR.FULLSWING、仮面ライダークウガ、あずまんが大王、魁!!クロマティ高校、京極夏彦、辻加護 | ハノイ羽純、猫之宮ゆずり、ももざくら卯月、むつきらん、いけさん、切り裂き猟奇、浅羽ねむっ、加藤しげる、秋バ全成 |
2000年代中期 | 機動戦士ガンダムSEED、鋼の錬金術師、BLEACH、DEATH NOTE、おおきく振りかぶって、アストロ球団、MUSASHI -GUN道- | コーヒー(カトウハルアキ)、笑英一、ライム雷人、カグラカオリ(カゲラ)、POWERMAC |
2000年代後期 | 銀魂、家庭教師ヒットマンREBORN!、涼宮ハルヒの憂鬱、D.Gray-man、電脳コイル、仮面ライダー電王、機動戦士ガンダム00、コードギアス、ギャグマンガ日和、さよなら絶望先生、中川翔子 | 小林なみん、テシオ、水乃柳哉、狂本弘明、柴田拓、玉兎、仲田リズム、雨神ユムチャック、天文時計オルロイ、縁導合、なっぷるん |
2010年代 | ヘタリア、けいおん!、SKET DANCE、VOICEROID、忍たま乱太郎、TIGER&BUNNY(電子版のみ) | 藤ちょこ、病野美弥、前川泉、 |
※整理の都合上「2010年代」の中には「ファンロード改」(2009年)の情報も含まれています。
※有名常連投稿者の活躍年代はあくまで目安で、ぶれ幅がある場合があります。
※編集・加筆の際は、あまり数が膨大になり過ぎないように、程々にお願いします。
アワビ ライチ ジンギスカンキャラメル 死神ピカー うわらば ヤムチャ カオス
神奈川のローカル番組。本誌との直接の関連はないが、「中心でまとめている人物が色々な意味で濃い」「内容がカオス」「内輪ネタが多い」「一般投稿者のキャラが立ちすぎている」「食べ物の写真を撮って面白がる」等、共通点が多い。
さよならポニーテール:「きまぐれファンロード」というアルバムを出しているが、もちろん本誌のことではない。