概要
白土三平の時代劇漫画。
最下級身分である「非人」の身の上に生まれた主人公カムイが忍者となり、様々な身分の者達が生きるための戦いをする様を見続ける物語。
物語の根本部分に、人間の醜い差別意識、それを巧みに利用した階級制度、そしてそれにあらがう人々の悲喜を宿しており、その重厚な内容から高い評価を得ている。
いわゆるみんなのトラウマと言われるような残酷で救いのないストーリーも多々あるが、何度打ちのめされても立ち上がり続ける人間の執念を描いているためか、読む者の心を圧倒する作品である。
第一部は1964年から「月刊漫画ガロ」(青林堂)で連載され、雑誌の看板で有りながら原稿料0円だった。
作画担当は小島剛夕。
第二部は1988年から「ビッグコミック」(小学館)で連載された。
作画担当は白土の実弟の岡本鉄二。
完結編となる第三部が構想されていたが、白土の死(2021年10月8日)により未完に終わった。
あらすじ
時は江戸時代。徳川幕府によって完成された専制君主政治が敷かれた時代である。
厳格な身分制度の下、各階層に分かれた人々は程度の差こそあれ、みな何かしらの抑圧の元で生活を営んでいた。
そんな時代に3人の若者が生まれた。
最下級身分である「非人」の身分に生まれ、過酷な差別に苦しめられながらも天性の才能を持って忍者となった
「カムイ」
下人の身分に生まれながらも努力の果てに百姓となり、自分の村を平等な社会へと導こうと戦い続ける男
「正助」
武士として生を受けたが、数奇な運命の果てに浪人となり、世の矛盾と戦う道を選んだ硬骨漢
「草加 竜之進」
これは、社会の矛盾にあらがう男達の、果てしない戦いの物語である。
時にあがめられ時に蔑まれ、世の理不尽に打ちのめされ、守るべき者に裏切られても立ち上がり続ける彼らは、一体何処へと向かうのだろうか・・・・?