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アストロ球団

あすとろきゅうだん

原作:遠崎史朗、作画:中島徳博による野球漫画。週刊少年ジャンプで連載された。
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概要編集

週刊少年ジャンプで連載された野球漫画

原作遠崎史朗作画中島徳博

全20巻。後にワイド版全12巻が出版され、現在は復刻版全5巻が発売されている。

困難を努力根性で克服する、「スポ根」の人気が下り坂を迎えていた1972年から1976年にかけて連載された。


沢村栄治(戦前~戦中に活躍した読売巨人軍の選手。屈指の名投手だったが、太平洋戦争に招集され戦死)の遺志を受け継いだ9人の超人が、打倒読売巨人軍、打倒アメリカ大リーグを掲げ、一試合完全燃焼を信条に世界最強の野球チームを目指して戦う物語である。『南総里見八犬伝』を下敷きにしており、結集するアストロ超人たちは全員体のどこかにボール型のアザを持っている。

様々な魔球必殺技がエスカレートしていき、連載最長の「ビクトリー球団戦」では野球漫画なのに人体が宙を飛び交い死人や廃人が続出、果ては割腹自殺まで出るなど、異色のスポ根ものであった。

設定に矛盾があったり、野球ルールをわざと間違えていたりと突っ込みどころは多いが、「熱さ」にかけては突出しており、当時の青少年たちを魅了した。また、盲目の美青年(伊集院球三郎)を登場させた事で女性読者も獲得している。

『一試合完全燃焼』の示す通り一試合一試合が非常に長く、全20巻なのにたった3試合しかしていない。また、「巨人の星」などと同様に、実在の選手や監督が多く登場する。


2005年にはドラマ化、ゲーム化もされた。ドラマ版では野球世界統一戦(WBC)の開催も踏まえた要素が盛り込まれ、若干ファンタジー色が強くなっている。現代風にアレンジしてアニメ化する企画もあったが、こちらは立ち消えとなっている。


後の「リングにかけろ」「キャプテン翼」「テニスの王子様」等に通じる、普通のやつならとっくに死んでるジャンプ超人スポーツ漫画の開祖とも言える、記念碑的作品である。


登場人物編集

ドラマ版ではアストロメンバーが旧名から改名する設定はなく、最初から同じ名前で登場する。


宇野球一(旧名:球児 アストロワン)

アストロのエース兼4番打者。チームリーダー。自動車事故で火傷を負った阪神・江夏に成りすまして登場したところをシュウロに見出され、アストロ超人であることが判明する。巨人軍を井の中の蛙と考えており、長嶋茂雄から巨人入り打診されるも断っている。その直後シュウロのアストロ球団への誘いには、アストロ球団の目標が米大リーグ打倒と知ってか快諾している。ただそもそもなんで江夏になりすましたかは不明(ドラマ版では江夏に成りすましたのはシュウロの計画という事になっており、シュウロとは以前から知り合いだった)。

数々の試練を経て、幾多の魔球を生み出す。ロッテ戦よりシュウロにチームの指揮を任される。勝つためにはドリルを素手で握って手の平を削り鎖骨を骨折しても打席に立つ男。まさに一試合完全燃焼を地で行く熱血漢だが、チームリーダーとして冷静に状況を見渡す能力もある。左ヒジにボール型のアザを持つ。


上野球二(旧名:球太 アストロツー)

ホームランボールをスタンドから打ち返す派手なパフォーマンスで登場。元坊主。痣の位置は右手のひら。関西弁のひょうきんなキャラクターで、ムードメーカー的存在。ブラック球団の無七志(ドラマ版ではロッテのカミソリの竜(球六))との対戦で殺人L字投法による頭部への死球で致命傷を負い、実は自分が偽物の超人(痣は入れ墨)であり、が目当てでアストロ球団に加入したことを告白する。その後、死の淵を彷徨いながら最後の力を振り絞り、キャッチャーボックスにたどり着いて、冥土の土産にと球一の豪速球を受けて絶命した。ドラマ版ではこのくだりは大きく改変され、頭部への死球を受けた後バットを振り回して暴れた上にその場で倒れ、アストロ超人達に囲まれて「あんさんには世話になったなあ」と球太(二代目球二)に愛用のミットを渡し息絶える。


上野球二(旧名:不明 アストロツー)

小児麻痺を患いながらも、野球がしたい一念でアストロ球団のマネージャーとなった小柄な少年。鉄球を使った特訓で打席に立って球一の三段ドロップのマスターに貢献する。登場後しばらくはその病気故に左手を開くことができず選手としての戦力にはならなかったが、内助の功でアストロ球団を支えた。

初代球二を特に尊敬していたが、彼のを目の当たりにし仇である無七志の殺人L字投法を打破を強く祈念し、落雷を受ける。落雷の影響で小児麻痺が完治。開かれた左手の平にボール型のアザがあり、真のアストロ超人として覚醒した。覚醒後は二代目アストロツー・上野球二を襲名し、強肩捕手として活躍する。同年(全員同じ誕生日)の他のメンバーに対しても常に敬語を使い、コンディションに気を配る真面目で心優しい性格。なお、球二襲名前はチビスケと呼ばれており本名は不明。

ドラマ版では本名が「那須球太」となっている(狙ったのか初代球二の旧名と同じ名前)。


伊集院球三郎(アストロスリー)

東京都生まれ、鹿児島県出身。県立伊集院高校に通っていた描写があるが、卒業・中退の別は不明。アストロ球団に入る前はレーサーだった。レース中の事故で瀕死の重傷を負い失明。一度は心臓も止まり死亡したものの、シュウロたちの手により遺体安置室から運び出され、遺体にパラシュートをつけて降下するという無茶苦茶な方法で蘇生され、その衝撃で心臓が動き出し命を吹き返す。

事故のせいで失明しているものの聴覚に頼る心眼で数々の超人的な打撃を生み出し、ロッテ戦では決勝打を放っている。陣流拳法総帥・伊集院大門の弟で、ビクトリー戦では兄と因縁の死闘を繰り広げる。足の裏にボール型のアザがある。その女性と見まがうほどの美形のルックスから、女性ファンが多い。別名・少年ジャンプの貴公子性格は冷静沈着で、話し方も常に敬語かつ上品。熱血漢の多いアストロ球団の面々の中で異彩を放つ。また洞察力はチーム内でも群を抜いており、数々の危機を救う。


峠球四郎(アストロフォー)

峠コンツェルン会長の。灘高校を首席で卒業したのち浪人生。関西弁で話し、初登場時には未成年にもかかわらず飲酒をしていた。の子供である上に、左腕にボール型の奇妙なアザを持っていたことで一族から軽蔑され、虐げられて育ってきた過去がある。ゆえにアザとその運命を憎悪し、アストロ超人の1人でありながら、他の超人たちと敵対する。その破天荒な行動の目的は、実力を持ちながら虐げられる若者のために既存の体制を破壊し革命を起こすことである。その野望の第一歩として世間の注目を集めるアストロ超人を試合の中で抹殺することを画策し、読売巨人軍の資金援助を引き出し、各界の一流アスリートを集めてビクトリー球団を結成。アストロ球団と死闘を演じる。一度見ただけの球一の魔球をそっくりそのまま再現できるほどの能力を持ち、緻密で明晰な頭脳と政治力、さらには多くの若者に支持されるカリスマ性も併せ持つ、ある意味最も潜在能力の高い超人にして、アストロ及び宇野球一にとって最大の敵となった。しかし、アストロ超人との数々の死闘が、逆に球四郎のアストロ超人としての血を目覚めさせることになる。アドルフ・ヒトラーに心酔しており、ビクトリー球団のメンバーにも自身を「フューラー」と呼ばせているという、結構危ない設定がある。

ドラマ版では関西弁ではなく土佐弁を話す(ドラマ版でオミットされたロッテ・リョウ坂本の要素を組み入れたため)。


三荻野球五(旧名:球一 アストロファイブ)

孤児院時代に読売巨人軍の長嶋茂雄に見出され、巨人の第四期黄金時代を築くため5年間極秘に育て上げられた長嶋の秘蔵っ子。しかし、球一&初代球二との勝負に敗れアストロ球団に入団(ドラマ版では球一と明智兄弟の対決を見た後、長嶋の言葉を受けて背中を押され、「長嶋を倒すことが自分の恩返し」と迷いを振り払ってアストロ球団に入団する)。攻守にバランスの取れたチームの主軸として球団創生期から活躍。地味だが慎重かつ真面目な性格で、無鉄砲なメンバーのまとめ役でもある。ビクトリー戦に向けての特訓では、生命の危険があるため立ち入り禁止とされていたアストロ球場内のバンアレン特訓場で、通常の数十倍の重力の中での特訓を敢行ドラゴンボールかよ)、超打のバム打法を開発する。ビクトリー戦では伊集院大門に8本の肋骨をへし折られ、折れた肋骨が内臓に食い込み瀕死の重態に陥るも、急激に回復、試合終盤に戦列復帰する超人ぶりを見せ、最終回には押し出し四球を選びビクトリー戦の勝敗を分ける最後の打者となった。左肩にボール型のアザを持つ。


高雄球六(元・カミソリの竜 アストロシックス)

元プロ野球選手・高雄正志の息子。「カミソリの竜」の異名で、思い通りにボールを打ち返せる「殺人X打法」を会得しブラック球団の殺人野球の先鋒を務めていたが、アストロ戦の最中に背中にボール型のアザが現れ超人であることが発覚、殺人野球と決別し旅に出る。

その後ロッテ戦の延長10回裏、球一が負傷に苦しむ中に現れ、代打として殺人X打法を応用したコホーテクすい星打法で同点打を放ちアストロの危機を救う。加入後は攻守にわたっていぶし銀の渋い魅力を発揮。江戸時代の遊び人を思わせるいなせな言葉遣いで喋り、「ロクでなしのロクさん」を自称し、アストロ入りしてからは「六の字」「ロクさん」とも呼ばれる。また、ビクトリー戦前には超人の運命を受け入れたことを球四郎にバカにされてしまうが、観察力にも優れており、ビクトリー戦では顔面に大門の打球を受け負傷・失神するがすぐに復帰、大門が球三郎に向かって投げてきたヌンチャクの身代わりとなったり、球四郎のファイナル大魔球攻略の糸口を見出すなど活躍。伊集院兄弟の悲劇の真実を暴露し、殺人野球の最後の幕引きをした。ビクトリー戦では屋久島の縄文杉を切り作ったバットを愛用する。

ドラマ版ではカミソリの竜時代にはパーマを真上におっ立てたすごい髪型(その名も「ツイストパーマ」だそうな)で登場し、アストロ球団に加わる際原作風の撫でつけた髪型に変えている。またブラック球団編がカットされたためロッテに入団し(殺人L字投法で初代球二の命を奪ったのも彼になっている。また球一と対戦した最後の打者であり、殺人X打法を狙うもアストロ超人の篤い友情を前にバットを振ることができずチームは敗戦、その際に超人であることが発覚した)、アストロ入りはその後のビクトリー球団戦直前になった。


明智球七(旧名:球七郎 アストロセブン)

「ホームラン掃除人」、「人間ロケット」のあだ名を持つ火の玉ファイター。チーム一の小兵で、驚異的な俊足と身軽さを誇る不動の核弾頭。双子の弟・球八とのコンビによる超人的な外野守備を得意とする。登場当初は球一たちを見下していたが、阪急に入団後球一(当時球児)達の挑戦を受け数々の打法を打ち破るものの、球一(球児)のジャコビニ流星打法の前についに敗北し、アストロへ入団。減らず口を叩くが情に厚く、チームをまとめるために率先して憎まれ役をつとめるなど、勝利への執念は人一倍である。火の玉ガッツでチームを牽引する反面、その体を張ったプレーから常に生傷が絶えない、球一に輪をかけた熱血野郎。ロッテ戦での死線を彷徨いながらもたった1点、1勝に命を賭ける球七の執念が、のちにアストロ球団の信条になる「一試合完全燃焼」を生んだ。ビクトリー戦では、試合終盤で右足のアキレス腱を切っても他の超人に内緒で守備に立ち続け、最終回は、走れなければ跳べば良いと執念の走塁を披露、決勝のホームを踏む。胸にボール型のアザ。


明智球八(アストロエイト)

兄・球七を放り投げてどんな大飛球も捕球しホームランを阻止する巨漢の弟。その姿から「人間発射台」の異名を持つ。シーンによっては、身長が数十メートル以上あるのではと思わせるくらいに大柄に描かれている。兄同様に阪急に入団するもジャコビニ流星打法に敗れ、アストロへ入団。球七とは対照的に、体に似合わず気が小さく、それが仇になることがロッテ戦などで垣間見られた。しかし、ビクトリー球団のラフプレーには攻撃を受けながら反撃せず直立不動、正道野球の尊さとデスマッチの愚かさを説いて両ナインを正道野球へと導き、強い意志を持つようになった。守備に比して打撃はやや苦手なのか下位打線を打つことが多いが、バットに当たればその巨体と怪力を生かした豪打を見せ、ドラマ版のロッテ戦ではモンスター・ジョーを打球もろともスコアボードに叩きつけて負傷退場させた(原作では打球を打ったのは球三郎)。額にボール型のアザ。


火野球九郎(アストロナイン)

作品終盤に登場。峠コンツェルンのエリート社員から転身し、アストロ球団へ。右手の甲にボール型のアザを持つ。ビクトリー戦の最終回にシュウロと共にアストロ球場に現れ、正体を明らかにして、試合の決着を見届ける。アストロ対ビクトリー戦後敗戦の責任を取り切腹しようとした球四郎を制止、その後は球四郎と行動を共にし、彼をアストロ球団に導く。サングラスを架け、穏やかな口調と紳士的な雰囲気を持つ冷静な理論家だが、対アストロ抹殺会議に球四郎とともに乗り込んだ際は、義憤から大和小五郎に鉄拳を浴びせる熱い一面も見せる。18歳にして、元峠コンツェルンのエリート社員としてヘリコプターの操縦もこなすなど、マルチな才能の持ち主。ただし本編では一度もプレーしていない。本編最終回では、大宇宙をバックに、アストロ球団のユニフォーム姿で超人的守備を見せる姿がイメージとして描かれている。

ドラマ版では峠コンツェルンの社員ではなく、アメリカはサンフランシスコの大学に通う学生。切腹しようとした球四郎を説得し、共にアストロ球団に加わる点もオリジナルである。


J・シュウロ:監督

アストロ球団の総監督。少年時代の1944年にフィリピンで出会った日本兵・沢村栄治に野球の楽しさを学び、沢村玉砕の前日、沢村から「1954年9月9日生まれで、体のどこかにボールのアザを持つ9人の超人が日本に誕生し、成長して大リーグを倒すべく戦いを挑む」とアストロ球団の夢を語られる。28年後の1972年、沢村の夢に出てきた9人の超人を求めてアストロ球団を設立、沢村の遺言通り自ら監督となる。しかし、15万人収容の超近代的設備を誇るアストロ球場のこけら落としの開場式の際、峠会長に球場に現れているシュウロ自身の金満主義を見透かされ、衝撃を受け反省。球一に指揮を任せて自らを磨く旅に出る。その後はアストロ超人を外部からサポート。ビクトリー戦最終回に球九郎を連れて再登場する。海外に多くの銀行を持ち、西新宿に巨大なアストロ球場を建設、球団専用機にコンコルドを所有する大富豪。褐色の肌に眼鏡をかけている。フィリピンの真珠王とも。

因みに初登場時に球児と長嶋茂雄の勝負に割って入っており、二人に何者かと問われた際の解答は、「私かね 私は‥‥ 米大リーグを打倒するための新生球団の総監督といえば うそになりますかな!」いや、どっちだよ。

ドラマ版では冒頭で2005年の時間軸で隠居生活を送っており、2005年9月9日午後9時9分9秒に9つの流星を見た9人の日本プロ野球選手の一人である古田敦也に、30年前に存在したという幻の超人球団の物語を語るという流れから本編に入る。


関連項目編集

公式が病気

テニスの王子様本作の正当後継者。

庵野秀明魂の後継者

TRIBENINE:本作と同じ野球×バトル物の作品であり、別名が「令和のアストロ球団」。

球神転生:本作のオマージュと思しき展開が多い野球漫画。


アンチ巨人 全3試合の内第1試合は読売巨人軍を敵視する球団との対戦であるが、完読した読者がこうなっても不思議ではないエンディングを迎えてしまう……。

ロッテオリオンズ 2試合目の対戦相手。

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