前略、テレビの前の視聴者様
このアニメに出てくる奴らは不良です、だから決してこのアニメのマネはしないでください。
(TVアニメ『魁!!クロマティ高校』OP冒頭の神山高志の台詞より抜粋)
概要
週刊少年マガジンにて2000年34号から2006年24号にかけて連載されたギャグ漫画作品。
作者は野中英次。単行本は全17巻。
野中特有のシュールレアリズム溢れるギャグ展開から人気を博し、アニメ、ドラマCD、ゲーム、実写映画などが制作される。カオス度は遜色ないのでどれから味わってもいいだろう。
あらすじ
真面目な優等生である主人公・神山高志は、とある経緯でワルの巣窟とされる不良校・都立クロマティ高校に入学することになる。神山は、たとえ自分だけでも不良たちを更正し、学園を立て直そうと様々な志向を巡らせるが…
…と、ここまでなら少年マガジン系列の学園漫画ではよく見る設定だが、外国人歌手やゴリラが不良生徒に紛れて高校生活を送っているなど、その世界観はかなりカオスである。ネタ自体は丁寧に組み立てられた脱力系の笑いを主とするが、時にはそれまでの展開をすべてぶち壊すような超展開が発生するなど、結果的に独特の雰囲気を醸し出している。
話数を重ねるごとにどんどん増していくカオスぶりは筆舌にしがたいので、気になる人は実際に漫画を読んで確かめたほうがいい。読んでみておもしろかったら本屋さんに行って新品を買おう。
登場キャラクター
※ キャストはCV(TVアニメ・ドラマCD版)及び実写映画版配役を記載。
また一部のより詳細については該当記事を参照。
クロマティ高校
1年生(作中進級し2年)
- 神山高志(CV:櫻井孝宏 / 演:須賀貴匡)
- 林田慎二郎(CV:鈴木琢磨 / 演:虎牙光揮)
- 前田彰(CV:稲田徹 / 演:山本浩司)
- メカ沢新一(CV:若本規夫 / CV:武田真治)
- フレディ( - / 演:渡辺裕之)
- ゴリラ
- 竹之内豊(CV:内藤玲 / 演:高山善廣)
- マスクド竹之内(CV:黒田崇矢 / 演:板尾創路)
- 北斗武士(CV:森訓久 / 演:金子昇)
- 北斗の子分(CV:陶山章央 / 演:島根さだよし)
- マサ(CV:志村知幸 / 演:加藤知宏)
- 平井健(CV:菊池正美)
- 田中牧男(CV:鈴村健一 / 演:ロバート)※映画では「田中君たち」として登場。
2年生(作中進級し3年)
3年生
新1年生
教員
デストラーデ高校
マニエル高校
バース高校
その他
- 山本一郎(CV:吉水孝宏 / 演:坂口拓)
- 前田母(CV:林原めぐみ / 演:山本浩司)
- プータン(CV:檜山修之 / 演:遠藤憲一)
- デ・ジ・キャラット(CV:真田アサミ)
- プチ・キャラット(CV:沢城みゆき)
TVアニメ
2003年10月から2004年3月までテレビ東京系列で15分アニメとして放送。全26話。
制作はなんと攻殻機動隊でお馴染みのProduction I.G。
原作がまるで動きのない作品なせいか、終始地味な絵面が続く。このためか、アニメオリジナルで過剰とまで言える程に脚色された部分も多い。また、妙なところで作画枚数が増えるのもシュール。メタいネタもしばしば挿入される。
ナレーションが話数ごとに変わったり(ない回もある)、端役に大御所声優が混ざっていたり、そもそも不良の役も当時の実力派やバイプレーヤーが勢揃い。2話で視聴者を煽っただけあって、キャスティングの本気度はかなり高い。
特にナレーションでは中江真司、立木文彦、田中信夫、来宮良子など日本を代表するナレーション界の有名所や大御所を惜しげもなく起用している。特に中江にとっては晩年にあたる作品であるため、非常に貴重だったりする。
実質10分に凝縮された原作のネタは良くも悪くもアニメ流に演出されており、好みはあるが概ね好評であった。ただいかんせん番組が深夜の時間帯だったことと放送時間の短さから、漫画と比べて知名度は低め。
自主規制で様々な台詞が改竄されている……ように見えるが、これは自主規制を逆手に取ったギャグになっている。実際、1話の冒頭では普通にタバコを吸う不良がたくさん描かれているのにもかかわらず、途中からタバコを別のものに変更しており、ギャグ的な演出となっているのである。
1話はかなり端折られているが、「原作を読んでください」というある意味アニメ=原作の販促という目的に忠実な作品となっている。ただし要望が多かったのか、神山が入学した理由のエピソードはドラマCD化された。
当時としては珍しく大物アーティストとタイアップしており、OPは吉田拓郎、特殊EDとして使われた本作独自の曲「クロマティ高校校歌」をサンプラザ中野が歌うとんでもない布陣。
さらに劇伴と通常EDは美狂乱が担当、ギャグアニメでありながら音楽面はかなりガチである。
また、監督繋がりからデ・ジ・キャラットのキャラがしばしば登場する。ちなみにデ・ジ・キャラットのキャラが出る回はスペシャルサンクスとしてブロッコリーがクレジットされている。さらに制作繋がりで一部で攻殻機動隊のネタが用いられている。
主題歌
- オープニング
「純」
作詞・作曲・編曲・歌 - 吉田拓郎
- エンディング
「トラスト・ミー」
作詞・作曲・編曲 - 須磨邦雄 / 演奏 - 美狂乱
「クロマティ高校校歌」(19話、23話のみ)
作詞 - 中旗潔 / 編曲 - 水谷公生 / 作曲・歌 - サンプラザ中野
実写版
2005年7月23日に『魁!!クロマティ高校 THE☆MOVIE』と題して公開された。
前半は原作に沿ったギャグ展開だが、後半からは神山達が(北斗の出任せで言った嘘が原因で結成された)地球防衛軍が地球侵略を目論む宇宙猿人ゴリに立ち向かうオリジナルストーリーが展開された。
- ゲストキャラクター
阿藤快(本人役)
神山が地球防衛軍の追加メンバーとして連れて来た俳優。
終盤では神山達と共にゴリに立ち向かうが戦闘描写は全く無く、ゴリラやフレディと共に賑やかし役に落ち着いている。
34年の時を経て再びメディア出演を果たした宇宙猿人。
本作ではクロマティ高校を乗っ取り、全体の98%を洗脳し、洗脳を免れた神山達地球防衛軍と戦う。
最終的には神山に宇宙船のコントロールを奪われ、神山の呼びかけにより潔く敗北を認め、神山達と和解する。
ラストでは竹之内を勝手に自分達のボスとして祀り上げ、修理した宇宙船で竹之内共々宇宙へ飛び立って行った。
原作の結末を知っているとかなり救われた結末に思えてくる。
ラー
ゴリの腹心の部下。本作ではゴリラと意気投合して友達になる。
地球防衛軍との戦いでは漂流生活から帰還した竹之内とタイマン勝負を繰り広げる。
余談
本作に登場する高校は、日本プロ野球で活躍した外国人選手の名前(苗字)を由来としており、タイトルにもなっている元・読売ジャイアンツのウォーレン・クロマティから実写映画が「無断で名前を使用された」として提訴されたことがある。
さらに同じく名前を使われていたランディ・バースやオレステス・デストラーデにも訴訟の呼びかけをしていたが
バース「子供じゃないんだからさwww」
デストラーデ「日本のファンが自分の名前を覚えていてくれているって事だろ?むしろ光栄じゃないか」
……という理由で相手にされなかった。
スピンオフ作品としてコミックボンボンにて『メカ沢くん(作画:ダイナミック太郎)』が連載。
更に派生し児童向け絵本『メカざわくん』『メカざわくんdeus ~メカざわくんとベータくん~』が出版されている。
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