概要
正式タイトルは
『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』
『アウターガンダム』から続く現在の宇宙世紀のシリーズとは異なる作者独自の時代設定で描かれるガンダム作品。
『機動戦士ガンダムReon』はこの作品の後の話であり、一部の登場人物はReonにも登場している。
ジオン共和国の自治権放棄が目前の宇宙世紀0099年を舞台に、主人公の連邦軍パイロットとヒロインであるジオンの少女とのボーイミーツガール要素を主軸に、月の崩壊という未曽有のテロに立ち向かう連邦軍のΖガンダム部隊の活躍を描く。
現在は非公式扱いとなっているが、Ζシリーズが主役機ということもあり、Ζ系のファンを中心にいまだ根強い人気のある作品である。
登場人物
宇宙空母ベクトラ
- タクナ・新堂・アンダースン
本作品の主人公。20歳。連邦宇宙軍准尉(後に少尉)でΖ>(ゼータプロンプト)のパイロット。後半では成り行きで新型機Ζプルトニウスを駆る。
レスキュー隊志願であったが、その操縦技術を買われ宇宙軍入りする。ニュータイプであることを示唆する描写も劇中で存在する。
この物語は、彼がベクトラに赴任していた2ヶ月間を描いている。
両親をジオン残党のテロによって失い、養父のアンダーソン氏に育てられた。ただし、ジオンに恨みを抱いている訳ではなく、メイファの正体を知っても彼女に手を差し伸べた(ただし、メイファに関しては恋愛感情以上に、「出自がどうあれ人として生きていく限りは過去を超えて必ず救う」という想いの方が強い)。
ミドルネームは「S」または「シンドウ」とも表記される。
- ロウ・シン
後半では軍規を破ってでもベクトラを月へ急行させた。
- フョードル・クルムキン
ベクトラが月防衛のために無断で軌道離脱を行った軍規違反により処罰されるのを防ぐため、議会の説得に向かい、ロウやタクナ達が動けるよう尽力した。
- タイラント
Ζ乗りであることに誇りを持っている。
- ラナフ・ギャリオット
後半ではたとえ独断でもベクトラを動かすしかないとわかっていながらも立場上賛同できず監査官権限でロウを止めようとした。
年下好みらしく、タクナを狙っていたようだが結局彼はメイファと結ばれてしまった。
本人曰く「足りなかったのは若さだけよッ」。
ネオ・ジオン
本作品のヒロイン。19歳。ネオ・ジオン軍の象徴的存在。表向きはジオン高官の忘れ形見とされていたが、その正体はミネバ・ラオ・ザビその人……であった(これは後のオードリー・バーンの登場により、公式で外伝作品等で『ミネバとされる人物』全員が『ミネバの影武者の1人』の扱いとなった為)。
タウ・リンに身柄を狙われ、脱出ポッドで漂流していた所をタクナによって救われ、親身に快方してくれた彼に心を開く。
戦闘終盤にベクトラを脱走。ミネバとしてネオ・ジオン兵に撤退を呼びかけ、自分は責任を取り死のうとしたが、ハウエルから自分がミネバのクローンと知らされ、自分を追いかけてきたタクナに救われ、共にタウ・リンを倒す。
最後はタクナと共に「ミネバ」ではなく「メイファ」として地球に降りている。
劇中では後述のようにクローンではなくやはり本当のミネバであるかのように描かれているが、真相はボカされている。
- ベルム・ハウエル
最後は轟沈するレウルーラと運命を共にしたが、直前に死のうとしていたメイファに対し、「メイファ・ギルボードはミネバのクローンの一人に過ぎない」と説得し、死を思いとどまらせた(この発言の真偽については、メイファ(=ミネバ)をしがらみから解き放つための嘘であることが示唆されている)。
ヌーベルエゥーゴ
- タウ・リン
幼少期のトラウマから地球連邦政府、ひいては全ての人類に憎悪を抱いている。ネオ・ジオンと共同で起こしたクーデターの最中に策を弄し、反乱後にネオ・ジオンを裏切り、旧ジオン時代に計画された「ハインライン計画」を形を変えて実行することで月を崩壊させ世界を滅ぼそうとした。
名前の由来は、中国奥地の古い言葉で「金の鷹の眼」から。
その他
- レイニー・ゴールドマン
地球連邦代表大統領、58歳。一年戦争でのコロニー落としの戦災者で、その際に母親を失い、腕の火傷後を今も残している。
このことがトラウマとして残っており、スペースノイドを憎んでいる。
連邦軍の急速な軍備縮小政策にも乗り出しているが、今回の事件に対処するだけの最低限の兵力さえも削いでしまう事態を招いてしまった。
ただし、タウ・リンやかつてのティターンズのように憎悪や偏見で暴走するような人柄ではなく、クルムキンの説得を受けてシン艦長にスペースノイドへの憎悪を吐露しながらも、大統領権限でベクトラの出撃を許可。彼なりに解決に全力を尽くしており、話せばわかる人物でもある。
※他にもブライト・ノア、カミーユ・ビダン、ジュドー・アーシタ、さらには『アウターガンダム』のキャラクターなどがゲスト出演している。
登場メカニック
本作オリジナル
- MSZ-006PL1 Ζプルトニウス
地球連邦軍のTMS(可変モビルスーツ)。新型のΖシリーズ。
全身に近接近フィールドを備えており、桁外れの防御力を有するが、Iフィールドジェネレーターの利用によって成立しているため、アンチフィールドシステムの影響を受けるとMS自身の駆動が妨げられてしまう欠点がある。
当初はパイロットが決まっていなかったが、メイファがベクトラを脱走時にタクナのプロンプトを持ち出してしまったため、タクナが搭乗する。
- MSZ-006P Ζ>(ゼータプロンプト)
ベクトラ用に再設計されたZシリーズ機であるが、予算縮小の煽りから可変機構等はΖプラスの物を流用しており脆弱性を継承している。そのため、重力下戦は苦手。
物語前半のタクナの乗機。
- AMX-210 ヴォルテール
また、この他に終盤の宇宙戦においても別機種の無人機が登場している。
ネオ・ジオンが開発した重MS。全てのIフィールド作用を抑え込む特殊対抗兵器「アンチ・ファンネル・システム」を搭載している。
ヌーベルエゥーゴの手に渡った後にタウ・リンが乗り込み、Ζプルトニウスと死闘を繰り広げる。
- ベクトラ
本来は外惑星圏空母になる予定だったが保守派の危惧により、運用方針変更がなされた。
連邦軍に於いて稀少なΖシリーズを多数配備するなど、単艦で現行の連邦宇宙軍と渡り合える戦力を有する。
連邦軍の権威の象徴とされているが、実際には「テロ等の被害額より維持費が高い」と荷物扱いされており、大軍縮を敢行予定のゴールドマンの尽力により、寧艦案が迫っていた。そのため、正規・不正規問わず多数の監査官が乗艦している。
- アウーラ級戦艦
タウ・リンはアウーラの主砲で月面のシッガルト発電基地を砲撃、核爆発させて地殻変動で月を破壊しようとしたが、グラン=ジオングの撃破で連動していたバリアが解かれ、ベクトラの砲撃が間に合い轟沈。その後シッガルトも停止に成功し、間一髪で月は救われた。
既存の機体
- Ζシリーズ
配備部隊こそ少なくなっているが、Ζプラス、ZZガンダムなど、多数がベクトラに配備されている。
本作は『機動戦士ガンダムUC』発表のかなり前の作品のため、さすがにリゼルは登場していない。
- RGM-89 ジェガン
- RX-93 νガンダム
その他、連邦軍の機体としてジムⅢ、ネオ・ジオンの機体としてザクⅠ、ザクⅡ、ザクⅡ改、ザクⅢ、ドライセン、ドーベン・ウルフ、ゲーマルク、量産型キュベレイ、ギラ・ドーガ、ヤクト・ドーガなどが登場している。
関連イラスト
※松浦氏がpixivにて公開している第1話、第2話。
関連タグ
宇宙世紀
Ζガンダム
ボーイミーツガール
機動戦士ガンダムUC……「ヒロインがミネバ」「Ζ部隊が出てくる」「ラスボスがジオングの名を冠している」など、ストーリーなどに差異はあるが共通点が多い。
※後に松浦氏はこの事と機動戦士MOONガンダムに対して「プロットやタイトルが被った」と主張。pixivやカクヨムなどに、UCへの意見と著作者人格権や二次著作物の著作権上保護を唱えた主張文を投稿している。本作の制作裏話もここに記載されている。
機動戦士ガンダムF90FF…… F90FFでは、地球低軌道艦隊、Z乗りとヌーベルエゥーゴのオマージュといわれるヌーベルエグムが(エグム本隊とは、別組織)登場している。