ディザート・ザク
でぃざーとざく
ザク・デザートタイプをベースに、地球連邦軍基地から奪った資材で改修した機体。
安定しそうにない部品供給ながら、(少なくとも外観は)統一された規格で相当数が稼働していることが確認されている。
脚部推進エンジン(インテークが存在することからジェットエンジンと思われる)を増設したうえで、胸部装甲の強化や背部へのプロペラントタンクの増設なども施されている。
更に砂上走行用にジェットスキーというオプションを足に装着でき、砂漠を高速で滑走できる。
また脚部の推進器を使うことで砂地を掘り下げ、砂中に潜伏するといったことも可能。
砂漠という環境には絶妙にマッチしており、その機動性はドムさえも凌駕する。
…筈なのだが数値上の推力は改修前のデザートタイプの推力の2割にさえ届いておらず、パワー・ウエイト・レシオ(推力を重量で割って出る値、1を超えると推力のみで機体を浮かせられる)は0.2を下回る。
一方で劇中では遥か上空を飛ぶベースジャバーに飛び乗るシーンもあるなどその跳躍力の描写は安定しない。
当初、宇宙で作られたものが地球に降ろされる予定であった為、デザートタイプではなくF型などから改造された設定になっていたが、プロットの変更に伴いD型ベースの現地改造に改訂された。
その設定の名残かは不明だが『ZZ-MSV』に記載されているデザートザク(ロンメルカスタム)(「ディザート」ではない)はD型と共通している改修部位が見受けられず、胸部などむしろ一般的なザクに近い外観となっている。
元となった機体は一年戦争時の機体だが、第一次ネオ・ジオン抗争時においてジオン残党軍・ロンメル部隊の他にアフリカ独立戦線やそれに反発する内部派閥、青の部隊の主力とされており、U.C.0096年のトリントン基地襲撃時にも使用されていた。
『機動戦士ガンダムΖΖ』劇中では25話で初登場、砂漠地帯に8年潜伏していたロンメル部隊はダカールへ向かうエゥーゴが潜伏地付近を通過する情報をキャッチし、連邦に一矢報いんと行動を開始する。
副官のカラハン機が先遣隊の隊長機ドワッジ改と共にオアシスを探し砂漠をうろついていたジュドーのΖガンダムとプルのメガライダーに対し地中から奇襲をかけるも、攻撃を搔い潜りガンダムチームに合流されたため一時撤退。
ほどなくして行われた2回目の襲撃ではターゲットを機動力に優れたΖガンダムのみに絞り、1機を囮に使うことでを砂山に隠れた待ち伏せ地点にまで誘い込み、地の利も生かしドワッジ改と共にΖガンダムを袋叩きにする。
しかし遅れて到着したガンダムチームの加勢によりその包囲網は崩され、あえなく全滅してしまった。
余談だが、この時囮になってΖガンダム諸共味方のロケットランチャーの集中砲火に遭い散ったディザート・ザクのパイロットのニキは、前作でラスボスのシロッコを演じた島田敏氏が声を担当していた。
30話に登場する青の部隊の所属機はエロ・メロエが搭乗し、ルーを追って砂漠の街ガルダーヤに接近するΖガンダムを襲撃した。
この際返り討ちに遭って乗機は失われてしまうが、エロ・メロエはこの戦いで戦死した隊長、ディドー・カルトハのゲルググを受け継ぐことになる。
次く31話ではネオ・ジオンと結託しガルダーヤをフランクによる支配から解放せんと目論むアフリカ独立戦線本隊の機体が大量に登場し、ネオ・ジオンも敵のフランクと見做し思想を違えた青の部隊の生き残りエロ・メロエ、そしてガンダムチームと三つ巴の戦いを展開した。
なお、青の部隊含めアフリカ独立戦線が運用する機体は全天周囲モニターを採用していること(メロエ搭乗機に至ってはゲルググから渡されたビームライフルを扱える)から戦後に建造されたレプリカ若しくは中身を相当改修した機体という説も存在している。
『機動戦士ガンダムUC』episode 4でトリントン基地を襲撃したカークス隊の要請に応じた機体はドワッジ、ドム・トローペンとホバー走行に特化した2機に遅れぬ滑走で編隊を組み、ガンキャノン・ディテクターにロケットランチャーを浴びせている。
本機は顎部ダクトの形状が動力パイプ接続部にフィルターのような部品が付いたディザート・ザク独自の形状から、通常のザクⅡと同じものに戻されていた。後に『ガンダムビルドダイバーズ』でもこちらのデザインで登場している。