「1010系」とは、鉄道車両の系列の1つである。ここでは阪急電鉄1010系の派生系列、および埼玉新都市交通1010系・近畿日本鉄道1010系の改造前の車歴についても解説。
阪急電鉄(京阪神急行電鉄)1000系(初代)・1010系・1100系
初代1000系は京阪神急行電鉄時代の1954年に登場、4両が製造された。初めてのWNドライブ車両で、阪急神戸線に配置された。この初代1000系はいわゆる「試作車」としての位置づけであり、これをもとに1956年から阪急神戸線向け量産車の「1010系」が登場した。1010系は35両製造。
1000系・1010系は阪急神戸線への配置となったが、これとは別に当時高速性能が要求されていなかった阪急宝塚線向けに1100系が1956年に登場。51両が製造された。
これら1000系列は初期のグループは2ドア車として登場したが、増備途中から3ドア車へ変更、2ドア車として登場した車両も改造で3ドア化された。600Vから1500Vへの昇圧工事や、一部車両への冷房化改造を経て1989年まで活躍。うち8両は能勢電鉄へ移籍、「能勢電鉄1000系」となり、2001年まで活躍した。
埼玉新都市交通1000系→1010系
ニューシャトルの1000系は1983年の路線開業に合わせて製造されたAGT車両である。
4両編成9本が開業時に用意され、制御方式はサイリスタ位相制御を採用した。
輸送力増強のため、1986年から順次中間車2両追加・6両編成化が行われた。このうち6両化完了時の1992年に第7~9編成へ組み込まれた中間車(最終増備車)は、同時期に登場した1050系に合わせた車体としたため、規格が一部で異なっていた。
1998年~2001年にかけてリニューアル工事を実施し「1010系」へ改番。その後老朽化に伴い2000系・2020系に置き換えられて2016年に運行終了。
近畿日本鉄道920系→1010系
920系は近鉄京都線向けの通勤形車両として1972年に登場。電装品が旧型車両からの流用だったため、ツリカケ駆動方式で8400系と同一の車体の組み合わせであった。また、電機ブレーキも装備されていなかったため、近鉄奈良線の大和西大寺以西(大阪難波方面)への乗り入れはできなかった。3両編成5本。
1982年より冷房装置の取り付け、駆動方式をWNドライブに改め、制御方式を抵抗制御から界磁位相制御に変更したことで、回生ブレーキが使用可能になった。
1987年から1989年までに近鉄名古屋線へ転属、この際電装品が名古屋線用の1000系とほぼ同一であったことから「1010系」へ改番となった。
長らく3両編成5本の陣容であったが、第2編成(T12編成)は2008年・2011年に火災事故を起こし長期離脱、その後リニューアル工事(B更新)未施工の第4編成(T14編成)の中間車と差し替え改番を行い、T16編成となった。第4編成の両先頭車は廃車へ。
- モ1012→モ1016
- モ1064→モ1066
- ク1112→ク1116
編成から抜かれた第2編成の中間車、モ1062号車は当時リニューアル工事(B更新)が進められていた8600系のうち、改造編入車サ8167号車の代替車として抜擢され、電装解除のうえサ8177号車へ改番・8600系へ編入となり古巣へ戻ってきた。