近鉄 16000系電車
1965年より投入が開始された南大阪線系統(1067mm軌間線区)、「吉野特急」用の特急形電車。
東海道新幹線開業後、それまで主力だった名阪特急の旅客が激減したことから、近鉄は伊勢・奈良・吉野方面への特急ネットワーク整備を画策。11400系「新エースカー」をベースに狭軌である南大阪線系統用に手直しした車体と南大阪線用の通勤形電車6900系と同型のモーター、専用の制御器・台車を組み合わせて2両編成2本が製造された。
その後乗客の需要増加により1977年まで増備が続けられ、4両編成1本、2両編成8本の陣容となった。
近鉄では2024年現在形式自体は12200系「スナックカー」を上回る最古参系列であり、唯一貫通幌が剥き出しかつ特急プレートが固定式で、正面行先表示も板で示している。
製造当初はデッキが無かったが、最後の3編成については後にデッキを取り付けるなど延命工事が行われ、乗降扉も車いす対応のために折り戸ながら大型のものを採用している。
1997年に後継となる16400系の製造が始まったことから廃車が始まり、製造年次で言えば12200系と同年代の編成がすでに除籍。また12200系の引退により、塗装変更後の近鉄特急では名実ともに最古参系列となった。
- 16001F:1965年製造。1997年に大井川鐵道に譲渡され、2015年1月に解体。
- 16002F:1965年製造。1997年に大井川鐵道に譲渡され、2021年11月に解体。
- 16003F:1966年製造。2002年に大井川鐵道に譲渡され現役。
- 16004F:1967年製造。2005年に廃車され、初めて解体。
- 16005F:1969年製造。2013年11月廃車。近鉄特急で最後まで残ったデッキのない車両だった。
- 16006F:1970年製造。2013年11月廃車。近鉄特急で最後まで残ったデッキのない車両だった。
- 16007F:1970年製造。デッキ追加済み。2024年3月に予備車扱いになり、同年11月23日に実施された「ありがとう!Y07ツアー」をもって営業運転を終了。27日に高安に廃車回送された。
- 16008F:1974年製造。この編成のみ4両固定編成で製造。他は2両固定編成。デッキ追加済み。2024年3月に引退し休車中。
- 16009F:1977年製造の最終編成。デッキ追加済み。
電算記号は「Y」。このうち16008Fについては「Y08編成+Y51編成」とユニットそれぞれが別編成の扱いになっており、車両検査はユニットごとに行われていた。
このY08+Y51編成は1981年に両先頭車のみの2両編成で16010系と連結しお召し列車の運用に就いたこともある。
近鉄から除籍された車両の一部が大井川鐵道に譲渡されている。
大井川鐡道16000系
大井川鐡道では1997年に16001Fと16002F、2002年に16003Fを譲受、形式名をそのままに形式記号をモ・クからモハ・クハに変更して運用している。
16001Fは1998年6月、16002Fは1998年12月、16003Fは2004年3月にそれぞれ竣工した。
運用にあたって以下の改造が施された。
座席は16001F・16002Fは回転式クロスシート。16003Fは回転式リクライニングシート。
十和田観光電鉄から7200系を譲受したことに伴い16001Fが2014年に運用を離脱、2015年に廃車。
2018年に倒木による架線支障で倒れた架線柱に衝突した16003Fが大破、16002Fから部品を移植して修理して2019年に運用復帰。16002Fはそのまま休車となり、南海6000系の譲受に伴い2021年に廃車となった。
2024年現在は16003Fのみ在籍している。近鉄から旧近鉄特急色が消滅したため、当編成が当時の近鉄特急の面影を残す唯一の車両となった。