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高野線

こうやせん

南海電気鉄道の路線。戸籍上は汐見橋~極楽橋だが、現在の運転系統としては難波~極楽橋間となる。
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概要編集

大阪府大阪市の難波から大阪府南東部、和歌山県北東部を結ぶ路線で、橋本から南は高野山を登っていく。


路線性格としては難波~橋本間が通勤・通学路線として機能する典型的な郊外電車であるのに対し、橋本~極楽橋間は最大50パーミルもの急勾配と急カーブが連続する山岳ローカル路線となっている。

本来は汐見橋が起点で同駅から岸里玉出が高野線であるが、現在は汐見橋~岸里玉出は通称「汐見橋線」と呼ばれている(後述するが、公式の案内状は「汐見橋方面」とし、独立線としては案内していない)。逆に、極楽橋~高野山間はケーブルカーの別路線「鋼索線」だが、高野線の一部として案内されている。


「田舎臭いイメージを変えたい」と理由で、当時の社長川勝泰司(南海ホークスの事実上最後のオーナーでもあった川勝傳の長男)により1995年から難波~橋本間は「りんかんサンライン」の愛称が付けられた(むしろさらに田舎の三セク路線感があるような気もするが…)。例によって定着せず2009年3月20日の阪神なんば線の開業とともに消滅した。

それに入れ替わる形で、後述の「天空」の導入に伴い、橋本~高野山間に「こうや花鉄道」の愛称がつけられた。こちらは専用の駅名標の導入をはじめ、一部駅の設備に観光要素の導入などを行っている。


本線に比べて乗り換え路線が豊富で、河内長野駅近鉄長野線中百舌鳥駅で地下鉄御堂筋線三国ヶ丘駅でJR阪和線天下茶屋駅で地下鉄堺筋線(を介して阪急京都線にも。)、新今宮駅でJR大阪環状線大和路線阪和線で乗り換えられるので、難波駅まで行かなくても大阪都心部に出られる路線でもある。一方、中百舌鳥駅三国ヶ丘駅での乗り換えによる乗客流出を防ぐ為、その2駅を優等列車が通過するダイヤになっている。

途中の中百舌鳥からは泉北高速鉄道・和泉中央方面へ相互直通運転を行う列車が設定されている。


路線性格の違いで17m・2扉車両と20m・4扉車両が混在し、4扉車両は橋本以北のみで運行となっている。

  • 17m車は「ズームカー」という愛称が付けられている。
  • 20m車は日本初の20m級4扉ステンレス車両である6000系が1962年に投入。高野線は当時の南海本線と比べて踏切の数が少なかったため、ステンレス車がその黎明期から積極的に導入されていた(踏切事故によりステンレス車が事故対象となった場合、修繕工事に時間がかかると見られたための措置)。

車両形式の一覧については南海電気鉄道泉北高速鉄道の記事を参照。


停車駅一覧編集

系統としての高野線、汐見橋線の順に記載。

難波からの電車で極楽橋まで行くものは特急「こうや」以外では1日数往復程度であり、それ以外は橋本で系統分離されている。

●=停車、▲=「こうや」・「りんかん」は停車し「泉北ライナー」は通過、◆=橋本~極楽橋間の「天空」のみ停車、レ=通過。


駅番号駅名読み準急区急急行快急特急乗り換え
NK01難波なんば
  1. 地下鉄御堂筋線(M20)・四つ橋線(S16)・千日前線(Y15)
  2. 近鉄奈良線(A01)
  3. 阪神なんば線(HS41)
  4. JR関西本線(大和路線)
NK02今宮戎いまみやえびす-
NK03新今宮しんいまみや
  1. JR大阪環状線関西本線(大和路線)
  2. 阪堺電気軌道阪堺線(HN52)
  3. 地下鉄堺筋線(動物園前駅、K19)
NK04萩ノ茶屋はぎのちゃや-
NK05天下茶屋てんがちゃや
  1. 南海本線
  2. 地下鉄堺筋線(K20)
NK06岸里玉出きしのさとたまで汐見橋線
NK51帝塚山てづかやま-
NK52住吉東すみよしひがし阪堺電気軌道上町線(神ノ木停留場、HN09)
NK53沢ノ町さわのちょう-
NK54我孫子前あびこまえ-
NK55浅香山あさかやま-
NK56堺東さかいひがし-
NK57三国ヶ丘みくにがおかJR阪和線
NK58百舌鳥八幡もずはちまん-
NK59中百舌鳥なかもず
  1. 泉北高速鉄道(SB01)
  2. 地下鉄御堂筋線(M30)
一部列車は泉北高速鉄道方面へ直通
NK60白鷺しらさぎ-
NK61初芝はつしば-
NK62萩原天神はぎはらてんじん-
NK63北野田きたのだ-
NK64狭山さやま-
NK65大阪狭山市おおさかさやまし-
NK66金剛こんごう-
NK67滝谷たきだに-
NK68千代田ちよだ-
NK69河内長野かわちながの近鉄長野線(O23)
NK70三日市町みっかいちちょう-
NK71美加の台みかのだい-
NK72千早口ちはやぐち-
NK73天見あまみ-
NK74紀見峠きみとうげ-
NK75林間田園都市りんかんでんえんとし-
NK76御幸辻みゆきつじ-
NK77橋本はしもと
  1. 平坦区間と山岳区間の境界
  2. JR和歌山線接続
NK78紀伊清水きいしみず-
NK79学文路かむろ-
NK80九度山くどやま-
NK81高野下こうやした-
NK82下古沢しもこさわ-
NK83上古沢かみこさわ-
NK84紀伊細川きいほそかわ-
NK85紀伊神谷きいかみや-
NK86極楽橋ごくらくばし高野山行きケーブルカー(鋼索線)
NK87高野山こうやさん(鋼索線)

(汐見橋線)

駅番号駅名読み乗り換え
NK06-5汐見橋しおみばし阪神なんば線(桜川駅、HS42)・地下鉄千日前線(桜川駅、S15)
NK06-4芦原町あしはらちょう-
NK06-3木津川きづがわ-
NK06-2津守つもり-
NK06-1西天下茶屋にしてんがちゃや-
NK06岸里玉出きしのさとたまで高野線

駅ナンバリング編集

南海電鉄では主要路線が複数存在するにもかかわらず駅番号を路線毎に分けていない(子会社である泉北高速鉄道がSB、阪堺電気軌道がHNを使用するためか)。区別のために高野線は50番台から始めている(南海線(本線)は和歌山市まででNK45)。また支線は起点駅のナンバーにハイフンをつけて、次の単独駅より枝番を1から順に振る(例えば南海線系統で和歌山市の次駅の和歌山港駅は、所属路線が支線とされるためNK45-1)。

所属がだぶっている駅は支線の場合は親線、高野線と南海線の場合は南海線側に併せる。そのためなんば~岸里玉出までは南海線と同じ(そもそも路線自体、南海線の線増扱いであるが)01~06が当てられ(今宮戎、萩之茶屋には南海線のホームが無く南海線側は普通すら通過するものの、あくまで所属は南海線のためナンバリングは南海線に合わせる)、単独駅となる帝塚山から先が51となる。

南海では通称「汐見橋線」を支線扱いしておらず、あくまで高野線の一部として扱っている(乗換案内も他の支線が「~線」なのに対し、汐見橋線のみ「汐見橋方面」である)。しかし、ナンバリングでは分かりやすさを重視したため岸里玉出からの枝番となっている。


…こうしたナンバリング方式により全くの偶然だが千早口駅のナンバリングは72となった。偶然である。悪意はない。くっ。


列車種別編集

特急編集

高野線の有料特急には予備車がなく、車両検査などで所定の車両が使えない場合「こうや」が「りんかん」になったり、「泉北ライナー」に「サザン」用の車両を回して所定の車両を「りんかん」に回すという綱渡り的運用を行っている。突発的な事象でそれでもどうにもならない場合、「こうや」「りんかん」は2000系ズームカーによる追加料金不要の自由席特急で代走し、「泉北ライナー」は運休となる。


2022年には30000系のうち1編成が車庫で脱線事故を起こして長期運用離脱を余儀なくされたが、その時も自由席特急運行などで何とかやり過ごした。しかしずっと自由席特急を続けるわけにも行かなかったか、当時COVID-19の影響で空港特急「ラピート」の本数が極端に減少していたため、50000系を泉北ライナーに回し、玉突きで11000系をりんかんに復帰させるという曲芸のような運用でやりくりしている。


「こうや」代走の自由席特急は山岳区間の走行が必須なため原則2000系が使用(2300系も運用可能であるが、本数が少なくワンマン対応のため基本的に使用されない)されるが、「りんかん」代走の場合や突発的な事態で即座に代車が必要な場合などは6200系等他の一般車が使用される場合がある。


  • 特急「こうや」:全席指定。世界遺産・高野山方面へのアクセスとして運行。定期列車4往復に加えて冬季以外の土・休日ダイヤではさらに3往復が追加される。→こうや
  • 特急「りんかん」:全席指定。朝と夜に運行される通勤特急としての役割を持つ。運行区間は難波~橋本間。
  • 特急「泉北ライナー」:全席指定。朝と夜に運行される通勤特急としての役割を持つ。泉北高速鉄道へ直通運転を行い、運行区間は難波~和泉中央間。こうや・りんかんが停車する堺東を通過する。→泉北ライナー
  • 観光列車「天空」:運行種別は「特急」。指定席2両+自由席2両の不定期運行。運行区間は橋本~極楽橋間。座席指定券の購入には予約が必要(空席があれば当日券を販売)。
  • 特急(全車自由席):定期列車では運行されていない。「こうや」「りんかん」の30000系・31000系が使用できない場合に、同じダイヤで代走。またこのため通勤形車両全編成に「特急」幕が用意されている。

特急以外編集

汐見橋線編集

線路は複線であるにもかかわらず、2両1編成を使用してピストン運用が行われている。終日30分間隔で、平日ダイヤと土・休日ダイヤは全く同じものになっている。ワンマン運転


山岳区間編集

橋本~極楽橋間は特急を除けばほとんどが山岳区間内の各駅停車ばかりで、このうち2両編成の列車についてはワンマン運転が行われている。「ズームカー」使用・2両編成または4両編成での運行。

かつては「大運転」と称して難波方面への直通列車(快速急行急行)が多数運行されていたが、運行系統の分離により難波方面への直通列車は以下の列車のみとなった。

  • 平日ダイヤ、急行2901列車:難波6:00発⇒極楽橋7:33着
  • 平日ダイヤ、快速急行1901列車:難波9:01発⇒極楽橋10:31着
  • 平日ダイヤ、急行2903列車:難波10:24発⇒極楽橋12:12着
  • 平日ダイヤ、急行2902列車:極楽橋10:46発⇒難波12:26着
  • 土・休日ダイヤ、急行2901列車:難波9:23発⇒極楽橋10:57着

平坦区間編集

  • 快速急行:2003年改正で新設。千早口・天見・紀見峠の3駅を通過駅にして河内長野~橋本間も速達化させたもの。6・8両。1958年~1968年にも設定されており、これは日本初の「快速急行」であった。
  • 急行:高野線の優等列車の主流で、難波~河内長野間は主要駅のみに停車し、河内長野以南は各駅に停まる。日中は毎時2本が設定され、橋本発着列車は(快速急行共々)高野山方面の各駅停車と接続をとる。6・8両。初代快急運用時代には住吉東駅・三国ヶ丘駅・初芝駅に停車していたが、1968年に急行停車駅を快急停車駅に合わせる形で通過するようになる。逆に天下茶屋・金剛は1990年代の停車開始まで通過していた。
  • 区間急行(高野線区間急行):北野田以南は各駅に停車し、難波〜北野田間で急行運転を行う。日中は急行に代わって毎時2本が設定。6・8両。急行の橋本までの区間運転車増大に伴い日中運行が無くなったが、後に復活するなど時期によって運用の増減が激しい。
  • 区間急行(泉北高速鉄道直通):中百舌鳥・三国ヶ丘の両駅での乗り換え客流出を防ぐために設定されたのが始まり。ラッシュ時限定で設定されていたが、2015年改正で日中も走るように。6・8両。
  • 準急(高野線準急):高野線方面の準急は平日ダイヤのみの運行で、堺東以南の区間の各駅停車の補完を担当している。朝ラッシュ時に運転される難波行き3本は8両、深夜に運転される三日市町行き1本は6両。
  • 準急(泉北高速鉄道直通):同路線開業当初からある、泉北高速鉄道方面への直通列車の主流。一部列車のみ終点まで先着せず、堺東で泉北ライナーに抜かされる。6・8両。
  • 各駅停車(各停):南海本線の「普通」にかわって高野線にて運行されている種別。南海本線との併走区間に今宮戎・萩ノ茶屋の2駅があり、その両駅に停車する「各停」と、両駅に停車しない南海本線の「普通」を区別させた。日中の一部列車のみ4両、他は6両。

関連項目編集

南海電気鉄道南海電鉄 南海本線 汐見橋線 ズームカー 高野山こうやくん


高野線:表記揺れ

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