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南海電気鉄道が保有していた南海本線用の7000系電車は、踏切事故時の修理の容易さを考えた結果、車体が普通鋼で作られた。しかし南海高野線とは違って潮風の吹く海沿いを走るため、鋼製車体の腐食が進んだことによる不具合がたびたびこ起こっていたことから、「塩害魔王」と呼ばれるようになった。


南海7000系編集

6000系をベースとして南海本線向けに登場。1963年から1968年まで合計90両が製造された。登場当初は非冷房で、3両固定編成と2両固定編成の2タイプを用意。2両固定編成は中間車を新造、和歌山市方先頭車を電動車に改造して3両化できる構造としていた。その後の計画変更で2両固定編成の3両化は取りやめられ、3両固定編成に中間車を追加して4両化することとした。最終的には4両固定編成17本、2両固定編成11本の陣容。


1983年から1989年にかけてリニューアル工事を実施。冷房化改造・内装変更・補助電源装置変更・パンタグラフ交換などが実施されたほか、4両固定編成の電動車を2両ユニット方式に変更した。4両固定編成は単独運用も行っていたが、故障時に対する運用規約が定められてからは原則同系列や7100系とつないで6両・8両運用に入ることに(7000系による4両運用は2両+2両なら可能)。また、冷房改造後は10000系サザン」の自由席運用も担当。


老朽化のため2000年代後半より廃車が始まり、8000系が52両、3000系が14両、2000系(ズームカー)が24両、南海本線向けに投入され、計算の上ではこの3車種によって置き換えられ、2015年に引退となった。


なぜ「魔王」か編集

元々2000年代においては、鉄道系の掲示板において嫌われる車両の蔑称といえば「汚物」というワード一択とも取れる状態が続いていた。そのため7000系も「塩害汚物」などと言われていたのだが…

当時、2ちゃんねるガイドライン板のマイナーな改変コピペの一つに「魔王のガイドライン」というものがあった。これはゲーテの詩、あるいはシューベルトの楽曲を元にしたものであり、この詩の日本語訳を面白おかしく改変したものが「魔王のガイドライン」である。

さて、この「魔王のガイドライン」を改変し、7000系を魔王に見立てたコピペがどこからか投下された。爆発的に流行ったという訳でも無いのだが、いつの間にか周囲にじわじわと定着し、知らぬ間に7000系を「魔王」と言い出し始めた。

当時は7000系のみならず、置き換える側の8000系、あるいはそれ以前の他の(特に古い)車両もそれを嫌う者からは「汚物」と呼ばれていたわけだが、当時ありきたりだった蔑称よりも一味違う、あるいは悪さを際立たせるものとして、この「魔王」の名は7000系固有の象徴的な名前へと昇華していった。


月日は流れ、かつてはあれほどたくさんいて嫌われていた7000系も退役してしまう。そんな中で特に気にしない若い層からは蔑称発祥であったことなど気にも留めず、逆にまるで敬意を込めるかのような意味合いで魔王と呼ぶ人もいる。まあ、それでも蔑称的意味合いの方が重いわけだが…。


補足編集

1年早く南海高野線向けに登場したステンレス製の6000系が2019年まで1両の廃車を出さずに現役を続行していたのと対照的で、高野線を走る6000系も同一の車体形状(上述の通り外見上はステンレスかCI塗装かくらいしか違いが無い)をしているため「魔王モドキ」「塩害魔王の兄」とも呼ばれる。


関連項目編集

南海電気鉄道 南海本線 8300系 空港急行 南海6000系 南海8000系

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