概要
2階建て車両「ビスタカー」でおなじみの近畿日本鉄道が、10100系「ビスタII世」に続いて団体専用車両(修学旅行など)として製造した車両。1962年に3両編成5本が製造された。初代「あおぞら」号。1963年に鉄道友の会よりブルーリボン賞を受賞した。
「世界初のオール2階建て電車」の肩書をもつ(1両運転の大阪市電を除く)。ただし「本来は平屋建て車両にある床下機器を搭載するスペース」が確保できなくなるため、中間車については座席は2階部分のみで1階は機器室となっている。パンタグラフおよびトイレも中間車に搭載された。先頭車2両はモーター以外の機器をほぼ載せていない。
全車両2階建て客室の電車はオーストラリア・ニューサウスウェールズ州営鉄道のC3801-C3804が初となる。
2階建て車両であるため、両サイドには10100系と同じ「VISTA CAR」のロゴが入っていた。
小学生の修学旅行をメインターゲットとした設計のため、片側3人+片側2人のボックスシートで詰め込み式となっている。また階段近くにロングシートがあった。運転席後ろは引率者席で救護ベッドにできたり、放送設備が設置された。冷房装置はスペースの関係で搭載されておらず、送風器と小形冷房で空気を車内に送る方式をとった。
運行開始後は、沿線に伊勢・志摩・奈良・京都・飛鳥・吉野など修学旅行向けの観光地が多い近鉄で、主に団体専用車両として活躍。老朽化のため、18200系「あおぞらII」、20000系「楽」に代替される形で1989年に運行終了。第1編成は1994年まで休車という形で在籍し、その後解体された。
補足
設計時には急行運用にも用いるつもりで計画されており、過去には大阪線の(臨時)快速急行運用に入ったことがある。