けいはんな線
けいはんなせん
長田(大阪府東大阪市)~学研奈良登美ヶ丘(奈良県奈良市)間18.8kmを結ぶ路線。元々は、近鉄奈良線のバイパス線として計画。「東大阪生駒電鉄」として設立したが、工事完成と同時に近鉄に吸収合併され、長田~生駒間の「近鉄東大阪線」として1986年に開業した。
OsakaMetro(旧大阪市営地下鉄)中央線と相互直通運転する関係上、近鉄で唯一の第3軌条路線となっている。また、長田~新石切を過ぎて生駒トンネルの手前付近までは旧・大阪市交各線同様『軌道(軌道法準拠)』だが、それ以降は『鉄道(鉄道事業法準拠)』の扱いとなっている変わった路線でもある。余談ではあるが、東大阪線の生駒トンネルの生駒側は、近鉄の前身・大阪電気軌道時代の旧生駒トンネルの一部を再利用した。
その後、生駒から奈良市北郊の学研奈良登美ヶ丘まで延伸されることになり、2006年に開業した。同時に、在来区間もあわせて「けいはんな線」に改称された。この延伸と同時にワンマン運転を開始して所要時間が延びたためスピードアップが必要となり、けいはんな線の最高速度を95km/hに引き上げ(従来は70km/h)、第3軌条式電車で日本最速となった。なおこの時に、乗り入れ先の(当時の)大阪市営地下鉄の車両も高速化改造が行われた(改造費用は近鉄が負担した)。
現在では、地下鉄中央線とあわせて「ゆめはんな」の愛称がつけられているが、ほぼ死語。
車内放送を津田英治が担当する最後の路線でもある。
各駅停車のみ。駅放送・車内放送でも種別は案内されない。
いずれも6両編成。
自社車両
1986年の開業当初から在籍している車両で、2024年現在は9本が在籍。
元から急行運転を見据えていたため、ワンマン・高速化改造時はVVVF制御装置のソフト改修とワンマン対応機器増設・内装更新のみを行った。
2004年にけいはんな線として延伸開業に伴い、運用増加分として製造。内装はシリーズ21ベースだが、公式にはシリーズ21には含まれない。4編成在籍。
OsakaMetroの乗り入れ車両
万博開催期間中の増発分として暫定的に10本が投入されている。万博終了後は谷町線に転属し、22系の未更新車の一部を代替する予定である。
OsakaMetroになってからの新系列車。2023年から2025年にかけて20系・24系の代替用に投入され、Osaka Metro中央線の乗り入れ車は最終的に400系に統一する予定である。
過去の車両
1986年の開業当初から乗り入れていた車両。
大阪市交通局におけるVVVF制御車、試作車を含めた新造冷房搭載車第一号。30番台は製造当初谷町線に投入されていたが、近鉄側のワンマン・高速化改造に際し2004年から2006年にかけて元OTS系含む24系9本とトレードして車種整理した経緯がある。
第1編成は2014年に四つ橋線から転属してきた24系50番台と引き換えに廃車。残存していた編成についても2024年3月までに30000A系および400系によって置き換えられ引退した。
平成初期に大量製造された当時の大阪市交通局におけるスタンダード車両。投入当初は11編成が在籍していた。
その後、上述したように谷町線用20系30番台9本とトレード。2005年〜2013年までは20系16編成に対して新20系は4編成のみで、2014年に四つ橋線からリニューアルのうえ転属してきた1編成(50番台)を加え、5編成となったがやはり少数勢力だった。
転属編成を含めた5編成は2016年までにリニューアルが完了していたが、2022年から2023年にかけて投入された30000A系および400系によって置き換えられ四つ橋線および谷町線へ転属し消滅した。
またこれとは別に、大阪港トランスポートシステム保有のOTS系が24系50番台として編入されたが、現在は谷町線所属の22系第62・63編成になっている。
東大阪線時代の乗り入れ車両。
1967年の谷町四丁目〜森ノ宮間開業に伴い、スキンステンレス(セミステンレス)車体の試作車7000形・8000形、翌年には先行投入分でアルミ車体の3008F(2両)が投入されたが1970年の大阪万博の観客輸送に備えて1100形や5000形(50系)と入れ替えられる形でこれらの車両は御堂筋線に転属し一旦配置がなくなったものの1984年の中央線長田までの延伸や6両編成化に伴い御堂筋線からの転属(一部は里帰り)や新造が行われ同線の運用を再開した経緯があった。
最盛期は12本が在籍していたが、1991年から上述した24系によって置き換えられ、編成ごと谷町線へ転属した3090Fと中間車化改造の上谷町線へ転属した3597号車以外は廃車となった。
普通列車しか運行されていないため、他の近鉄の車両にある「通過標識灯」はない。
電車接近前には2回、発車前には1回、以下の楽曲が流れる。
荒本駅が東大阪市役所最寄り駅ということもあり、「東大阪線」から「けいはんな線」に改名することに抵抗があった。
生駒~九条間で「阪神なんば線+近鉄奈良線」と「地下鉄中央線+近鉄けいはんな線」で他社乗り入れを通じて競合関係となる。運賃は前者が590円、後者が650円、所要時間は昼間は前者は約25分、後者は約30分と奈良線経由の方が安くて早いが。
生駒以東の延長区間は建設当時、「京阪奈新線」と呼ばれていた。「京阪奈」「新線」であって、「京阪電車」の「奈新線」ではない。 また、未成線として建設中止された国鉄の「五新線」(”奈”良県の五條と和歌山県の**”新”**宮を結ぶ路線)とも無関係・・・だと思う。
鉄道路線のぎなた読みは近鉄田原本線と京阪石山坂本線が有名だが、この路線名はその両社に引っかけて呼ばれてしまいがち。
前記の通り、けいはんな線の高速化に伴う車両改造費用は大阪市交通局分も近鉄が負担したのだが、大阪市交側は谷町線の20系30番台と中央線の24系を入れ替え転属させて、20系(30番台含め)を高速化対応改造(機器更新)をさせるというセコい事をやらかした。 (一応、アルミ車体の20系と比べステンレス車体の24系では重量が約1t増えるため高速走行による制御装置・主電動機の負担増加が懸念されることと、同時にVVVF換装を行う方が合理的であるという判断もあるが。)
学研奈良登美ヶ丘延伸開業時より駅放送は樹リューリと馬場尚子が担当しており、他路線と比較してもかなり早めの導入だった。しかし今でも(非定期列車を中心に)もとむらみちこの声が聞こえることもある。
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