データ
運行区間 | |
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運行路線 | 東武鬼怒川線、東武日光線 |
蒸気機関車 | C11形 |
車掌車 | ヨ8000形(東武博物館所有、蒸気機関車後部に連結) |
客車 | 12系・14系客車(東武博物館所有、基本3両編成を組成) |
補機・ディーゼル機関車 | DE10形(最後尾に連結) |
概要
東武鉄道が手掛ける「SL復活運転プロジェクト」の一環として2017年8月から運行されているSL列車。下今市駅構内において旧転車台の遺構が確認されたことをきっかけに、「鉄道産業文化遺産の保存と活用」という観点から、日光・鬼怒川エリアの地域活性化を目的としてSL列車を復活させることになった。この復活にあたり、まず下今市駅構内の遺構を再利用して下今市機関区を設置。各種機関車の車庫・メンテナンス設備を設けた。
また、SL復活運転に際し蒸気機関車が常に先頭を向くよう、下今市駅・鬼怒川温泉駅の両駅には転車台が設けられた(転車台は両者ともJR西日本からの譲渡)。
- 2020年10月からは、東武日光発着の派生列車「SL大樹ふたら」が不定期で運行されている。
- 将来的には野岩鉄道・会津鉄道への運行も行いたいという東武鉄道社長の談話もあるが、SLにおいてはトンネルが多数ある野岩鉄道区間での運行の問題(トンネル内でのSLの煤煙など)があり果たせていないが、後述のディーゼル機関車牽引の「DL大樹」にて2023年、初めて野岩鉄道・会津鉄道を経由して会津若松駅まで運行した。
使用車両の解説
蒸気機関車
列車の先頭に立つのはC11形。
- C11 207号機はJR北海道が所有し、無償で東武鉄道が借り受けている。1941年に製造され北海道地区にて1974年まで活躍した後、「SLニセコ号」の運転に際し2000年に車籍復活を果たした。2014年に「SLニセコ号」が運行を終了すると東武への貸し出しが決まった。蒸気機関車のヘッドライト(前照灯)は基本的に上部につけられるものが多いが、この車両は車両正面左右にヘッドライトを備えた「カニ目」と呼ばれる形態である。
- C11 325号機は真岡鐵道の「SLもおか号」として使われていた。1946年に製造され、国鉄左沢線での運行を最後に1972年まで活躍。「SLもおか号」の運転に際し1998年に車籍復活を果たしている。維持費高騰のため同社が売却を発表、2019年に東武が入札し、2020年に営業入り。
- C11 123号機は国鉄由来のC11形ではなく、元は旧江若鉄道が発注した別の「C11 1号機」であった。1975年の廃車後は北海道内で静態保存されていたが、動態復元を行い2022年7月使用開始。番号の「123」は東武鉄道創立年からの数え年。
車掌車
ヨ8000形。JR貨物からヨ8634を、JR西日本からヨ8709をそれぞれ譲り受けた。車掌が実際に乗っているわけではなく、東武鉄道が使用している高度なATSが小型タンク式のC11へ取り付けができないとの理由から、車掌車にそのATSを搭載した。C11の伴車としてその後部に連結され、転車台にいる時も一緒。
このほか大井川鐵道からヨ5000形・ヨ13785を譲受したが、車籍登録はされていないため営業用に使われず、南栗橋工場にて保管されている。
- 2024年、ATSの機能向上によりC11形の運転室下にある従台車の軸箱を改造。123号機は本機にATSを搭載し「車掌車抜き」での運転が可能になった。
客車
JR四国から12系・14系6両を、JR北海道から14系500番台4両を譲り受けた。ホームの長さの都合から客車は3両組成・定員は200名ほど。また一部の客車は青基調からぶどう色へ塗装変更している。
未使用の客車については部品取り車としている。
- SL運行開始の際、JR四国からやってきた「スハフ14 1」「スハフ14 5」「オハフ15 1」「オハ14 1」の4両を整備した。1972年に製造され、日本国有鉄道から民営化によってJR東海へ承継、2005年にJR四国へ譲渡され同地での活躍ののち2016年に除籍となったものである。
- JR北海道で活躍していた「オハ14 505」「スハフ14 501」は整備のうえ2019年・2020年にそれぞれ使用開始している。元「はまなす」用の客車で、前者は「ドリームカー」としてグリーン車用の6段階式リクライニングシートを装備。
- JR四国からやってきた12系のオロ12形2両は、「ムーンライト四国」時代に装備していたリクライニングシートを撤去し、発生品と推定されるクロスシートに付け直したうえで展望車として改造整備され、「オハテ12 1」「オハテ12 2」へ改番。2021年にこの展望車の連結が始まった。
ディーゼル機関車
東武鉄道は非電化路線の東武熊谷線を運営していた過去があり(※1983年廃線)、久しぶりにディーゼル車を保有することになった。
勾配区間対策の補機としてSL大樹の最後尾に連結される。また蒸気機関車が使用不能・点検整備中となった場合は「DL大樹」として代走、牽引機を務める。前述の通り、トンネル区間が多い野岩鉄道・会津鉄道への乗り入れ時は本機が牽引、2023年には会津若松駅まで運行した。
- 2017年使用開始のDE10 1099号機はJR東日本から譲り受けた。1971年5月製造。
- 2020年使用開始のDE10 1109号機もJR東日本から譲り受けたが、こちらは東武入りの際寝台特急「北斗星」などで使われていたJR北海道保有のDD51のカラーに変更された。1971年8月製造。
なおディーゼル機関車は「SL大樹」補機以外にも、新車の搬入で活躍している。熊谷貨物ターミナルにあった秩父鉄道のJR連絡線が廃止となったため、栗橋駅構内のJR・東武連絡線を経由する方法で、東武の駅構内まではJR貨物機が牽引・搬入し、以降は東武機が栗橋駅から南栗橋駅まで牽引。真岡鐵道から購入後、JR東日本大宮車両センターで整備されたC11 325号機が搬入された際にも、この手法が使われた。
関連項目
大桑じゅり - 鉄道むすめのキャラクターのひとり。本列車の機関士を務める。
わんだふるぷりきゅあ! - 映画公開に合わせてコラボが実施され、「わんだふる号」「にゃんだふる号」が運行される。
外部リンク
- 東武鉄道SL復活運転プロジェクトサイト:http://www.tobu.co.jp/sl/