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1969年に登場した、1970年に大阪で開催される万国博覧会の輸送などを目的とした、急行型座席客車である。車内設備として冷暖房装備しているがこれは貨物列車の運用が少ない時期に貨物用機関車での牽引を考慮したものであり塗装は青を基調として白のラインの入った、所謂「ブルートレイン」にも似た車両ともなった。分散電源方式を採用しており機関車側から蒸気や電源を供給される必要がなく、基本形式のオハ12、電源エンジン付き緩急車のスハフ12、エンジンなし緩急車のオハフ13が設定された。(オハフ13は電源エンジンの搭載準備工事がなされていたが施工された例はない。)

なお、発電設備は自車含め6両まで給電できるようになっており(足りなければその分また発電設備つきのスハフ12を組み込めば良いが、実際の運用ではトラブルに備え多めに組み込むようにしてあった模様)、緩急車から遠隔操作でエンジンの始動停止の操作ができるようになっている。


略歴編集

当初は団体貸切・臨時列車などで使われ、時折臨時特急列車にもかり出されることもあった。

1977年以降製造の車両は、残存した夜行座席急行列車の普通車置き換え用として製造され、エンジン出力の強化及び防火対策が行われており、スハフ12は100番台として区分される一方、エンジンを積まないオハフ13は製造されなかった。スハフの149番以降は、工作の簡易化から車掌室妻面の貫通幌が露出し、いささかデザイン的に崩れた容貌となった。…(見慣れてくるとこれはこれで妙に芋っぽく愛嬌があるが。)


1980年代半ば以降は格下げ運用されたものも多く、一部が車掌室に普通列車での頻繁な客扱いのための乗務員扉を設置、車内をロングシート併用に変更し、便所を減らした(閉鎖部分はかなりラフな工作であった)普通列車用に改造された車もあり、西日本方面向けの電源エンジン装備車は1000番台、東北方面向けの電気機関車より給電を受ける方式に変更された車両(改造の原資となったオハフ13が電源供給能力を持たないことから大量余剰が発生していたこともある。準備構造があるとはいえ、わざわざ金をかけて発電セット一式を新造し積む余裕も資金難の国鉄にはなかった)には2000番台に改番された。(山陰向けは無改造で1000番台と混用された車も多い。)

12系そのものに大きく手を入れるような改造ではないが、連続する急曲線と頻繁なドア開閉で圧縮空気の供給が追いつかない紀勢本線の普通列車運用では牽引する竜華区のEF58にP型改造を実施し、機関車の元空気ダメから12系へ圧縮空気を供給できるようにしていた。


1987年のJR化以降は客車列車の電車、気動車化が進み、現在ではわずかに「SLばんえつ物語号」などのSL牽引用の客車などで残るのみとなっているが前述の冷暖房装備により熱い夏場でも車内冷房により快適なSL旅を楽しめる。1980年代からJR化ごろにかけては各地で誕生した、お座敷、欧風列車に改造されたものも多いが、そのすべてが豪華・デラックス志向一点張りの大口団体輸送向けであることから客層の変化に対応出来ず、現代主流の乗車体験型に転換することもできないことから衰退が進み、2018年にJR西日本の「あすか」が廃車(運行終了は2016年)されたことで消滅した。


伊豆急行のように国鉄、JRからの乗り入れ列車が運行されたこともある。変わり種としては西武鉄道の電気機関車E851のさよなら運転の際にJR東日本から車両を借りて使用した。

また、JR西日本では、七尾線電化で余剰となった同系を城端線氷見線の通勤ラッシュ時にキハ58系の中間に連結する付随気動車「キサハ34」に改造された車両も存在した。


JRに残る12系編集

JR東日本編集

高崎車両センターと新潟車両センターに合計13両が配置されている。高崎車両センター所属車のうち、1両はSL回送時の状態監視用伴走車に改造されたオヤ12(←スハフ12-158)で、営業運行に用いられるのは5両となっている。スハフはオヤ12を含めいずれも幌が露出した最終型である。

新潟車両センター所属の7両はSLばんえつ物語用に改造された専用車。


JR西日本編集

網干総合車両所に5両、後藤総合車両所に2両の合計8両が配置されている。網干の5両は原型で主にSL北びわこ号で運行されてきた。2019年に同列車が廃止されて以降は、主にDD51の乗務員訓練で使用されている。このうちスハフ12-129は、テールライトの配置が左右非対称という特異な形態で有名。

後藤総合車両所の2両は奥出雲おろち号用に改造されたトロッコ客車で、1両には機関車を遠隔制御できるよう運転台が装備されている。


旧国鉄・JRからの移籍車両編集

樽見鉄道編集

1990年にJR東海から12系客車が5両入線。2005年に退役。

わたらせ渓谷鐵道編集

「わ99形」客車の5010号車、5080号車がもと12系のスハフ12形である。以前はJR東日本からトロッコ車を借用していたが、1998年からは「わ99形」が担当。5010号車、5080号車は両端に組成され、中間車のトロッコ車、5020号車と5070号車は京王電鉄5000系を改造したものである。

このほか2001年に移籍した「サロン・ド・わたらせ」用の「わ01形」(元お座敷客車『やすらぎ』)が3両在籍していたが退役済み。

秩父鉄道編集

SL牽引列車「SLパレオエクスプレス」の客車が12系。オハ12形とスハフ12形が2両ずつ在籍。

若桜鉄道編集

JR四国から購入。オロ12-6が静態保存車として、スロフ12-3、スロフ12-6、オロ12-9の3両はSL牽引列車の客車として利用する予定。いずれも元は快速「ムーンライト高知」で使用されていたもの。車籍がなく運用には使用されていない。

東武鉄道編集

JR四国から購入。2017年のSL列車復活運転に際し、14系客車4両と一緒にオロ12-5、オロ12-10の2両が入線。若桜鉄道と同じく元「ムーンライト高知」のものであるが2020年11月ごろより展望デッキを新設するなどの大改造が行われている。この2両はそれぞれオハテ12-1(塗色はぶどう色)、オハテ12-2(塗色は青15号)に改められ、2021年11月4日にオハテ12 1が、同13日にオハテ12 2が運行を開始した(外部リンク)。座席はオロ12時代のグリーン席からテーブル付きのボックスシートに交換され、車両には栃木県出身のエレクトーン奏者である倉沢大樹氏が手掛けた楽曲の流れるメロディーホーンが整備された。

大井川鐵道編集

JR西日本から購入。老朽化により置き換えられた元「SLやまぐち号」の客車5両。入線後は全く手つかずの状態で保管されており、更に泥棒に侵入され多数の部品を盗まれてしまった。運行開始時期は未定。


西武鉄道編集

(一時借り入れ車)

先述のE851さよなら運転に際し借り入れたJR東日本の12系客車は、一旦西武鉄道の車両として車籍を入れている(借り物なのでもちろん所有者はJRのままで、JRで一時廃車というわけでもない)。相互乗り入れの場合乗り入れ先の車籍をとるということはないが、手続き上の差異は不明。

日本国外編集

JR西日本からタイ国鉄に12系客車28両が譲渡された。一部車両はバリアフリー対応にされて現役。また、JR東日本からフィリピン国鉄に26両が譲渡されたが、こちらは退役済み。



関連タグ編集

国鉄 JR 客車

14系 特急用12系とも言える車両。後年12系の座席改良(リクライニングシート化)で内装面での区別はつかなくなった。

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