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京王5000系

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けいおうごせんけい

ここでは、京王帝都電鉄時代に在籍していた初代5000系、および京王電鉄の最新鋭2代目5000系について解説。

京王帝都電鉄5000系(初代5000系)

「広義」の初代5000系電車は、京王線の直流1500Vへの昇圧に備えて1963年から1969年にかけて合計155両が製造された。1964年に鉄道友の会からローレル賞を受賞している。

18m級・片開き3ドアの車両で、京王線系統に登場した6000系以降の車両は20m級・4ドアとなったこと(※)から、当形式は京王線系統の最後の3ドア車となった。

(※)都営地下鉄への乗り入れ設計基準に順ずる。そのため当系列は京王線内のみの運用となり都営地下鉄には入線できない。

このうち「狭義」の5000系は4両固定編成のグループを指しており、2両・3両固定編成のグループは登場当初は「5070系」、のち「5100系」と狭義的に呼ばれていた。

1979年に先頭車1両が事故廃車となり、その後1987年から1996年にかけて廃車・除籍が行われて退役となった。これに前後してラストナンバーの5100系第25編成のみが事業用電車として残されたが、老朽化により2004年に6000系改造のデワ600形と交代しお役御免となった。

機器類

本系列の特筆すべき点はバリエーションの多さであり、冷房装置は8種類、台車は12種類、モーター・制御装置は3種類、駆動方式はツリカケ駆動WN駆動が存在している。

編成別

4両固定編成・5000系

4両固定編成は23本が製造された。登場当初は非冷房であったが、1968年に登場した第18・19編成は「冷房試作車」として新製され、第18編成は分散型クーラーを、第19編成は集中型クーラーを搭載して比較試験が行われた。のちに落成した編成で量産化されたほか、以前に落成した編成はのちに(一部の編成を除いて)冷房化工事が行われた。分散型・集中型のバリエーションが豊富になり過ぎて、5100系も含めそのパターンは8種類にも及んだ。

2両固定編成・5100系

2両固定編成12本は完全新製車ではなく、在来車2700系からの機器流用で生まれたグループで、ツリカケ駆動である。1989年に全車が引退するまで非冷房のままであった。

3両固定編成・5100系

2両固定編成の続き番号で落成。こちらは5000系と同じくカルダン駆動であり、登場当初は2両組成であったがのち中間車を追加して3両組成となった。3両固定編成は13本。やはりこちらも登場当初は非冷房であったが、5000系第18・19編成と並行して製造された5100系第19~21編成は製造当初から分散型クーラーを搭載した。

中小私鉄への移籍

前述した18m級・片開き3ドアという車体設計が地方私鉄の需要にも合致するサイズである為、京王重機整備を通じて下記の私鉄に譲渡された。

伊予鉄道700系

ツリカケ駆動の5100系のうち21両が、カルダン駆動の5000・5100系のうち7両が移籍した。軌間が異なるため台車は東武鉄道2000系小田急2200形が使用していたものを取り付け、ツリカケ駆動だった車両はすべてカルダン駆動化された。ただし、制御付随車(クハ)の台車は種車のものをそのままに、長軸の輪軸へ交換して使用している。なお、移籍した車両のほとんどは京王在籍時非冷房だったため、伊予鉄道入り後冷房化改造が行われている。

井の頭線に在籍していた3000系が当形式と同じく伊予鉄道に入線した事により、一部編成に廃車が発生している。

銚子電気鉄道3000形

上記の伊予鉄道にて使われていた700系のうち、2両編成1本が移籍した。かつて走っていたトロッコ車両「澪つくし号」のカラーを纏い2016年に運行を開始。京王時代は「デハ5103」「クハ5854」を名乗っていた車両で、つまり新製時はツリカケ駆動の5100系であった。

わたらせ渓谷鐵道わ99形

電車からトロッコ客車への魔改造が行われた。4両編成のうちの中間の2両がそれで、番号は京王時代の5020、5070のまま。台車は豊橋鉄道から譲り受けた国鉄111系のものである。なお、両端の客車はもとJR東日本12系客車。

なぜ本形式から魔改造されたかというと、元々貨車改造のトロッコ車両を計画していたものの、安全面の問題から没となり、やむを得ず代わりの車両を探したところ、京王重機の工場内で引取り手がなく解体を待っている状態の車体に行き着いたことによる。この車両で使用していた電装品は、富士急行へ譲渡された最終編成へ流用されている。

一畑電車2100系・5000系

2100系は2両編成4本でロングシート車、5000系は2両編成2本でクロスシート車。軌間が異なるので台車は営団3000系から流用した。一部編成は一畑入りに際し3ドアから2ドアへの改造も行われた。5000系は前面非貫通。

東急1000系改造の1000系導入により2100系の一部編成に廃車が発生している。また、2025年からは5000系の廃車も発生する予定。

富士山麓電気鉄道(富士急行)1000形・1200形

1000形は2両編成2本でロングシート車、1200形は2両編成7本でセミクロスシート車。軌間が異なるので台車は営団3000系から流用した。2009年には1200形の第5編成が水戸岡鋭治氏のデザインによる「富士登山電車」へ改装。富士急行開業時の「さび朱色」の車体となっている。

JR東日本205系改造の6000系導入によって一部編成に廃車が発生している。

岳南電車9000形

上記の富士急行にて使われていた1200形1206編成(2両編成1本)が、2018年に改造のうえ岳南電車へ移籍した。京王時代は5124編成の先頭車であった。

高松琴平電気鉄道1100形

軌間が異なるのは他の場合も同様であるが、「ことでん」は標準軌であるため、台車は京浜急行電鉄旧1000形のものを流用している。これは元々琴電としては1080形の増備を希望したものの、京急にはすでに同型車の部品しか残存しておらず、そこへ京王重機が伊予鉄と同じ四国繋がりで本形式を売り込んだことに由来する。

2両編成4本が琴平線に在籍し、さらにラッシュ時には、かつては別の会社にいた京急車との異形式併結を日常的に見ることができる。

京王電鉄5000系(2代目5000系)

2代目の5000系電車は2017年運行開始。2018年春より運行を開始した京王線系統の座席指定列車「京王ライナー」用として、まず10両固定編成5本(5731〜5735編成)が製造された。

京王ライナー」への充当を考慮し京王では初のデュアルシートを採用した車両となっており、座席指定列車運用時はクロスシート、それ以外の運用ではロングシートで運用される。前面デザインもそれまでの車両とは一線を画したもの。グッドデザイン賞にも選定されている。

異常時対策として電動車に蓄電池が搭載してあり、電力停止時における駅間停車時の場合にも安全確認後に蓄電池電力で最寄り駅まで低速で自走できる機能を持つ。また線路内事故への対応策として運転台に記録用カメラが搭載してある。

本系列は都営地下鉄新宿線への乗り入れにも対応しており、「京王ライナー」運用時間外は都営新宿線乗り入れ運用にも充当される。

  • 2019年には内装を一部変更した5736編成が追加増備されている。
  • 2022年増備分の5737編成から、リクライニングできるデュアルシートを搭載。以降の編成もこの仕様で落成している。

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