1988年(昭和63年)に設立された第三セクターの鉄道会社。東日本旅客鉄道(JR東日本)足尾線を転換した「わたらせ渓谷線」を運営する。
以下は「わたらせ渓谷線」について記載する。
路線データ
路線名 | わたらせ渓谷線 |
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路線記号 | WK |
路線区間 | 桐生〜間藤 |
路線距離 | 44.1km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 | 17駅 |
信号場数 | 1箇所 |
電化区間 | 桐生〜下新田信号場(直流1,500V)※ |
非電化区間 | 下新田信号場〜間藤 |
最高速度 | 75km/h |
単線区間 | 全線 |
閉塞方式 |
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保安装置 |
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第一種鉄道事業者 | わたらせ渓谷鐵道 |
※JR東日本両毛線との共用区間
概要
桐生駅(群馬県桐生市)と間藤駅(栃木県日光市)を結ぶわたらせ渓谷鐵道の鉄道路線。通称「わた渓」「わ鐵」。国鉄時代に廃止対象路線となっていたJR足尾線を転換し、1989年(平成元年)に開業した。
元々は足尾銅山からの鉱石輸送を目的として建設されたが、1973年(昭和47年)に銅山は閉山し、現在は渡良瀬川の上流域への観光輸送(トロッコ列車も運行している)や通学輸送を主な目的として運行している。2009年(平成21年)までに線内の施設が多数登録有形文化財に指定されている。
終点の間藤駅はかつて紀行文作家(元編集者)の宮脇俊三が国鉄完乗を達成した駅であり、それに関する記念掲示などが存在する。
車両基地
大間々駅構内に大間々検修庫があり、全車両が所属している。
沿革
開業〜国による借上まで
- 1911年(明治44年)4月15日:足尾鉄道の路線として下新田連絡所(現・下新田信号場)〜大間々町駅(現・大間々駅)間開業。桐生駅〜下新田連絡所間で官製鉄道両毛線への乗り入れ開始。
- 1912年(大正元年)9月5日:大間々駅〜神土駅(現・神戸駅)間延伸。
- 1912年11月11日:神土駅〜沢入駅間延伸。
- 1912年12月31日:沢入駅〜足尾駅間延伸。
借上後〜わたらせ渓谷鐵道転換まで
- 1913年(大正2年)10月13日:国が借り上げし、足尾線に改称。桐生駅〜下新田連絡所間は両毛線と足尾線の二重線籍化。
- 1914年(大正3年)8月25日:足尾駅〜足尾本山駅間延伸(貨物営業のみ)。足尾線全通。
- 1914年11月1日:間藤駅開業により足尾駅〜間藤駅間旅客営業開始。
- 1918年(大正7年)6月1日:足尾線買収により国有化。
- 1973年(昭和48年6月27日:草木ダム建設に伴い神土駅〜沢入駅間線路付け替え。
- 1984年(昭和59年)9月11日:第2次特定地方交通線に指定され廃止承認。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴いJR東日本が継承。
わたらせ渓谷鐵道転換後
- 1989年(平成元年)3月29日:JR足尾線桐生駅〜足尾本山駅間廃止。わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線桐生駅〜間藤駅間開業。間藤駅〜足尾本山駅間は未開業扱い。
- 1998年(平成10年)6月2日:間藤駅〜足尾本山駅間の免許失効。
- 2002年(平成14年)5月17日:土砂崩れにより足尾駅〜間藤駅間運休。
- 2002年8月4日:足尾駅〜間藤駅間運転再開。
- 2011年(平成23年)3月11日:東日本大震災の影響で神戸駅〜間藤駅間運休。
- 2011年3月14日:東京電力による輪番停電の為全線で運休。
- 2011年3月17日:相老駅〜神戸駅間運転再開。
- 2011年3月31日:桐生駅〜相老駅間運転再開。
- 2011年4月1日:神戸駅〜間藤駅間運転再開。
- 2017年(平成29年)3月22日:駅ナンバリング導入。
- 2017年5月22日:八木原踏切(水沼駅〜花輪駅間)でJR東日本の検測車キヤE193系が脱線。大間々駅〜間藤駅間運休。
- 2017年6月10日:全線で運転再開。
運行形態
定期列車
全て普通のみの運行。
全線通しの列車が1〜2時間に一本程度運行され、日中時間帯以外には桐生駅〜大間々駅間の区間列車、早朝及び夜間に足尾駅〜間藤駅間の区間列車が設定されている。
臨時列車
以下のトロッコ列車が運行される。
・トロッコわたらせ渓谷号
・トロッコわっしー号
「トロッコわたらせ渓谷号」はディーゼル機関車牽引の客車列車の為、機回し可能な大間々駅〜足尾駅間で運行される。4月〜11月の土休日を中心に運行され、冬季は運休。
「トロッコわっしー号」は気動車を使用している為全線で運行される。こちらも土休日中心の運行だが、冬季は運休せず窓ガラスを取り付けて運行される。
駅一覧
※:転換後に開業した駅
駅番号 | 駅名 | 乗換路線 | 備考 |
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WK01 | 桐生 | JR両毛線 | JR管理駅 |
下新田信号場 | JR分岐点 | ||
WK02 | 下新田※ | ||
WK03 | 相老 | 東武桐生線 | |
WK04 | 運動公園※ | ||
WK05 | 大間々 | 当駅発着あり | |
WK06 | 上神梅 | ||
WK07 | 本宿※ | ||
WK08 | 水沼 | ||
WK09 | 花輪 | ||
WK10 | 中野※ | ||
WK11 | 小中 | ||
WK12 | 神戸 | ||
WK13 | 沢入 | ||
↑群馬県/↓栃木県 | |||
WK14 | 原向 | ||
WK15 | 通洞 | ||
WK16 | 足尾 | 当駅発着あり | |
WK17 | 間藤 |
使用車両
一般形車両は車両ごとに「たかつど」「わたらせ」というように沿線の山などが愛称として付けられている。
現在の使用車両
- わ89-310形
増備車として1990年(平成2年)・1993年(平成5年)の2度にわたり5両が新製された。セミクロスシートで、新製時からトイレが設置されている。
現在運用中の車両は313号車と314号車の2両のみ。
- WKT-500形・510形・520形
2011年より順次導入されている電気指令式ブレーキ車。500形はロングシート、510形はセミクロスシート、520形はオールクロスシート。510形のうち511号車はWKT-550形と連結して「トロッコわっしー号」に使用されるため専用の塗装になっている。520形のみ車いす対応の洋式トイレが設置されている。
- WKT-550形
「トロッコわっしー号」用で、自走可能なトロッコ車両。
相方としてWKT-510形511号車と連結し原則2両で運転される。
JR東日本から購入した「トロッコわたらせ渓谷号」牽引用のディーゼル機関車。1537号機と1678号機。
- わ99形
「トロッコわたらせ渓谷号」用客車。4両編成のうち、中間2両がトロッコになっている。両端の客車はJR東日本の元12系で、中間のトロッコ車は京王5000系を「究極の魔改造」により誕生させた。
過去の使用車両
- わ89-100形・200形・300形
開業時の車両。100形はロングシート、200形はセミクロスシート。300形はセミクロスシートながらイベント対応車としたもの。最後まで残っていたわ89-300形302号車が2015年(平成27年)に廃車となり形式消滅。
- わ01形
元JR東日本12系「やすらぎ」。当初は両端の展望車2両のみで運転されたが「トイレがない」と苦情が入り、中間車が1両増車されたという経緯をもつ。客車列車「サロン・ド・わたらせ」として用いられたが、使用用途が限られるうえに2009年(平成21年)には窓にヒビが発見されたため、同年に廃車・形式消滅。
その他
- JR東日本キヤE193系
秋田総合車両センター南秋田センター所属の検測車。わたらせ渓谷鐵道にも検測の為貸し出されて入線するが、前述の通り2017年にわたらせ渓谷線内で脱線事故が発生。以降同線への乗り入れは行われていない。
関連タグ
ローカル線 足尾さきえ 鉄道 第三セクター・第3セクター 魔改造