概要
幹線以外の路線のこと。JRの鉄道路線においては、在来線のうち「地方交通線」に分類される路線がこれにあたる。旧国鉄が輸送密度(旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)が低い路線をこのように区分した(特定地方交通線の記事も参照のこと)。本線に対する支線とは別概念である。
私鉄では幹線と地方交通線の区分は存在しないが、大手私鉄の末端路線や、地方部の中小私鉄路線を指してローカル線と呼ぶこともある。
公共交通機関全般、例えば路線バスや飛行機、客船などの路線にも適用可能な概念と思われるが、鉄道以外の路線がそう呼ばれることは少ない。
地方交通線
1980年代、経営難に陥った旧国鉄の路線は、「国鉄再建法」に基づいて輸送密度の高い「幹線」とそれ以外の「地方交通線」に分類され、後者には幹線よりも割増しされた運賃を適用することになった。地方交通線の中でも輸送密度が低い路線は「特定地方交通線」に指定され、JR発足までに多くが廃止、一部は第三セクター路線などに転換した。
その後の情勢の変化により、幹線と地方交通線の区分は実態と合わなくなっている面がある。乗客の少ない区間を廃止した可部線やベッドタウン路線としての武豊線など、地方交通線であっても運行本数及び乗客数が多い路線もある。逆に、幹線であっても実態は閑散路線というものもあり、貨物運搬で幹線とされた石勝線特に夕張支線、乗客の少ない区間が存在する根室本線の花咲線区間や紀勢本線の多気駅-新宮駅間や串本駅-周参見駅間などがこれに該当する。
ローカル線のイメージ
基本的に単線。非電化の場合も非常に多く、そうした路線はもっぱら気動車あるいはレールバスで運行を行う。利用客が多くなく(そのためターミナルを除く中間駅のほとんどは無人駅)、ゆえに数少ない例外(貨物輸送や通過する特急が多い、本線と直通列車が存在するなど)を除けば、赤字路線が多い。
国鉄末期からJR移行後にかけての急行や周遊券の大量廃止に伴い、(特急の走っている路線を除く)ローカル線は通学などの地域輸送に特化し、長距離の利用はあまり考慮されなくなった。このため運行本数が少なくターミナルでの乗り継ぎが悪い。移動手段としては不便な面もあるが、通常沿線の開発が進んでいない分、自然が豊富であり、旅情を味わうには好適な路線でもある可能性が高く、乗り鉄に人気を集めている。
余談
ローカル線はSLやトロッコ列車、旧式列車などの観光列車を走らせている路線が多い。これらの列車は観光客誘致というのもあるが、都心など都市部では、他の電車などの運行に障害となりやすく恒常的に走らせることは難しいという実情(京阪100年号事故など線路に侵入した鉄道ファンが事故を起こしたため都市部でのSL運行が困難になったとも)もあり、「(定期的に)観光列車を走らせているような路線はローカル線」という図式が成り立つ。
特定地方交通線の記事に詳しいが、路線の存廃の判断に使われる輸送密度の算出の際は青春18きっぷなど企画乗車券での乗車は考慮されない(と言われている)ため、沿線自治体は18きっぷ利用者に「普通乗車券を購入して路線存続に協力を」と呼び掛けている。