貨物線
かもつせん
日本では、大半の鉄道路線は貨物列車と旅客列車の両方、或いは貨車による貨物取り扱いを行わず、旅客列車のみが走る路線が多い。
しかし工業地帯近くや大都市近郊においては、足の遅い貨物列車と足が比較的速い旅客列車を分離することにより効率よく輸送したり、輸送力を大幅に増強している。
また、工場と駅を直接接続する路線である場合、旅客列車を走行させても採算が取れないためあえて貨物列車専用とすることがある。また、臨時列車が設定されることがある。
なお、最近の鉄道による貨物輸送需要の衰退および沿線の住人の増加により、貨物線であった路線に定期旅客列車を走らせたり、貨物線を旅客線に転用する例が多くなっている。
海外、特に内陸部分が広い国では、鉄道は都市交通を除くと貨物の割合が高い国が多い。例えばアメリカ合衆国では、長距離鉄道は基本的に貨物専業で、旅客列車はその合間に走っているくらいしかないのが普通である。
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通称のあるものなど。通称のない貨物支線はほかにも存在する。
品川駅〜新宿駅〜田端駅間。貨客分離のため大崎駅〜池袋駅間は山手線と並走。現在は武蔵野線が建設された影響もあり、旅客列車である湘南新宿ラインや埼京線の運行ルートとなっている。
鶴見駅〜西船橋駅間および各種の支線からなる路線。元々は貨物輸送を主体として作られた路線であった。なお、府中本町駅〜鶴見駅間は現在も貨物専用線であり、現在でも定期列車は貨物列車しか運行されていない。
京浜工業地帯を走る。本来は鶴見臨港鉄道が大正15年に貨物専用として建設した路線であるが、昭和期に電化後、一部を旅客兼用とした。その後戦時買収され、現在に至る。
- 東海道本線貨物支線:JR東日本の所有する浜松町駅〜小田原駅間(東戸塚駅〜小田原駅間は旅客線と並走)などの一部は特急「湘南」の走行ルートとして使用されたり、寝台列車などの遅延や路線工事の際に迂回路として使用されたりする。
- 品鶴線(ひんかくせん):品川駅〜新川崎駅〜新鶴見信号場〜鶴見駅間。こちらも現在は横須賀線や湘南新宿ラインなどの旅客列車がメインになっている。
- 高島線:鶴見駅(花月総持寺駅)〜東高島駅〜桜木町駅間。本来は神奈川港で取り扱う貨物を扱うための路線で臨海鉄道としても機能していた。旅客列車はごくまれに臨時列車が運転される程度。現在は鶴見以東と根岸線を結ぶ貨物列車(主にガソリン輸送)の中継ルートとして利用。
- 東京貨物ターミナル支線:浜松町駅〜東京貨物ターミナル駅〜川崎貨物駅〜浜川崎駅〜八丁畷駅〜鶴見駅間。このうち、浜川崎駅〜八丁畷駅間は厳密には南武線の支線である。(旧・汐留貨物駅〜)浜松町駅〜東京貨物ターミナル駅間は「大汐線(おおしおせん)」、川崎貨物駅(旧・塩浜操車場)〜鶴見駅間は「鶴塩線(かくえんせん)」と呼ばれることもある。大汐線は旅客線化の上で羽田空港アクセス線の一部を構成する予定。
- 羽沢線:鶴見駅〜横浜羽沢駅〜東戸塚駅間。鶴見駅〜横浜羽沢駅間は横浜羽沢駅に隣接して羽沢横浜国大駅が開業し、相模鉄道の相鉄新横浜線と共に相鉄・JR直通線の一部を構成する。
- 名古屋港線:山王信号場〜名古屋港間。過去においてはナゴヤ球場への旅客輸送などが行われていた。なお、本線の貨物は旅客列車と同じ線を走っているため、名古屋駅では通過する貨物列車を見る事ができた。晩年はレールの輸送のみの使用で、2024年3月末をもって廃止。
- 梅田貨物線:吹田貨物ターミナル駅〜大阪駅(うめきたエリア)〜福島駅間。東海道本線と大阪環状線を直結する短絡線として、貨物列車のみならず阪和線・紀勢本線への特急列車も運転される。大阪駅のうめきたエリア再開発に伴い、2023年2月に同エリア部分が地下化。同年3月にはうめきた新駅も開業し、おおさか東線も新大阪駅から乗り入れるようになったが、瀬野八レベルの急勾配が生まれてしまった為、列車によっては補助機関車が必要になる。
- 新湊線:JR貨物が所有する能町駅〜高岡貨物駅間の路線。中越鉄道により貨客両用路線として敷設。その後、国有化され、1951年(昭和26年)に後に万葉線に属する高岡軌道線の敷設により貨物線化。なお、この路線は貨物線の中で唯一、正式名称を持つ路線である。
- 城東貨物線:片町線(学研都市線)の支線扱い。吹田貨物ターミナル駅〜鴫野駅間。路線のほぼ大半を利用する形(末端部のみ新規開業)で旅客線化され、路線名が「おおさか東線」となっている。