概要
母材…加工したい材料について、接合部分を溶融させ接合する。接着とは異なり、加工した材料は分子レベルで連続している。
金属の溶接
電気溶接
アーク溶接
アーク放電の際に出る高熱を利用する溶接。アークが生じている部分で、母材となる金属を溶融し、そこへ電極そのものや溶接材とよばれる金属を埋めて接合する。電極が溶接材を兼ねている場合はその周りにフラックスとよばれる物が盛ってあり、これが気化することによって溶接する周囲の空気との反応を防いでいる。
スポット溶接・シーム溶接
薄い金属板の溶接によく使われる。材料を電極で挟んで押し付け、そこへ大電流を流す溶接。点で行うのがスポット溶接。線で行うのがシーム溶接。
身近なところでは乗用車の車体にスポット溶接が、缶コーヒーのスチール缶などにシーム溶接がよく使われる。
ガス溶接
酸素と可燃性のガス…主にアセチレンを混合した高温の炎を吹きつけ溶融させ、そこを溶接材で埋めて接合する。
テルミット溶接
アルミニウム粉末と酸化金属の粉末を混合し、火をつけると高温を発しながら酸化金属を還元する反応を用いたもの。このとき発する熱により融けて接合される。
複雑な機材や設備を必要とせず、線路の敷設・改修・保守現場でよく使われる。
鍛接
二つの母材の表面を密着させ、熱と圧力を加えて接合する。
身近なところでは小径かつあまり強度を要さない鋼管の製造に使われている。
また、ダマスカス鋼や高級包丁や日本刀の材料である和鋼(わこう)、または玉鋼(たまはがね)の鍛錬にもこの原理は使われている。
高エネルギー溶接
レーザー溶接
溶接する部分にレーザーを当て、加熱して接合する。母材の酸化を防ぐため不活性ガスを充填した専用の装置内で行うか、不活性ガスを吹き付けて酸素を追い出す。レーザーは周りの人や物が焼ける様な出力。
電子ビーム溶接
加速器で加速した電子線を対象物に当てて加熱し接合する。ただし、真空中でなければ電子線が散乱してしまうため、専用の部屋に入れて溶接する。また電子線が材料に当たった際に、制動放射によるX線が放射されるためX線防護も必要。普通では不可能な物を接合可能。
圧接
母材の融点以下の温度で接合する。物性に差のある金属の接合が可能。
常温圧接
母材に電気や熱を加えず、強い圧力をかけて接合する。
摩擦攪拌接合
回転する円筒状の工具を強い圧力で母材に押し当てて、その摩擦熱と攪拌力で接合する。
超音波溶接
溶接部に超音波で振動する工具を押し当てて、母材が互いに摩擦することにより接合を行なう。薄いものしか接合できない。
爆発圧接
爆発の圧力により二種類の金属を高速で衝突させて接合する。
プラスチックの溶接
ヒートガンとよばれる工業用熱風機をつかい、局所的に加熱して母材と溶接剤を軟化させて溶着させる。
樹脂シートの溶着
高周波ミシンとよばれる機械を使い、熱可塑性の樹脂製シートをミシンで縫うように溶着する。
この高周波ミシンとよばれる機械は電極に溶着したい材料を挟み、電極に高周波を与え、電界作用による絶縁体の発熱を利用した機械。