883系

はちはちさんけい

JR九州の交流特急形電車。

概要

大分自動車道の延伸とそれに伴う高速バスの利便性向上に対抗するため、特急「ソニックにちりん」⇒「ソニック」用として、1995年から運用を開始した。愛称はワンダーランドエクスプレス。

車両デザインは787系に引き続き、水戸岡鋭治主宰のドーンデザイン研究所が手がけており、車内に動物の耳をイメージしたヘッドレストを装備したり、編成の全面の色を変えたりと、かなり前衛的な試みが為されている。また、JR九州では初めての振り子式車両となった。(営業用交流電車としても日本初。)

↑デビュー当時の姿

略歴

1994年

8月20・26日、1次車となる7両編成2本(AO-1～2編成)が落成。26日の御披露目展示まで、先頭部が黒い布で隠された。

1995年

2月14日、2次車となる7両編成1本(AO-3編成)が落成。

3月18日より特急「にちりん」に暫定導入。

4月20日より特急「ソニックにちりん」(博多～大分)として正式にデビュー。4往復が運転。

1996年

2月7・21日に3次車となる7両編成2本(AO-4～5編成)が落成。

1997年

2月7～15日には4次車となる5両編成3本（AO-6～8編成）が落成。3月22日のダイヤ改正から列車名が特急「ソニック」になる。

2005年

大人のワンダーランドエクスプレスをコンセプトにリニューアル改造が行われ、全車両がメタリックブルーの外装へと変更された。

2008年

885系をベースにした中間車(883系1000番台)が6両製造され、5両編成だった4次車の4・5号車として増結。全ての編成が7両編成になる。この増結した中間車は前述の通り885系ベースの為、車体外見処か車体断面ですら元の883系と異なる。編成番号も(Ao-16～18編成)に変更。

2022年現在、7両編成8本が大分車両センターに配属され、885系と共に特急「ソニック」に使用されている。

リニューアル後は、2010年のEXILEや、2011年の大分観光ラッピングなどのラッピング車両の運行を行っている。

近年では、2020年の鬼滅の刃ラッピングや、2021年の呪術廻戦ラッピングなど、885系1000番台(＝中間車2両)のみにラッピングするケースもある。

製造次車数による車両の違い

1次車

Ao-1・2編成。

前面パネル中央部に787系のようなフォグランプがある。

左:登場時、右:リニューアル

2次車

Ao-3編成。

前面パネルのフォグランプが無くなり、グリルになった。

左:登場時、右:リニューアル

3次車

Ao-4・5編成。

グリルの部分が「S」マークになった。リニューアル前は、フェンダーミラーが黄色、連結器カバーとワイパーカバーが赤色に塗装されていた。

左:登場時、右:リニューアル

4次車

Ao-6～8編成。5両編成で登場。

デザインは3次車と同じだが、リニューアル前は、前面パネルの色がAo-6編成がシルバー、Ao-7編成がイエロー、Ao-8編成がブラックだった。

リニューアル後は、3次車と同じ見た目になったが、885系ベースの中間車2両が増結されているのが特徴。(Ao-16～18編成に改番)

左から、Ao-6登場時、Ao-7登場時、Ao-8登場時、リニューアル後

余談

• 実はこの車両、登場当初からほぼソニック専用として運用されており、臨時列車への充当は数える程しかない(かもめやハウステンボス等)。他線区での運用も一応は想定していたらしく、現在も使用されている方向幕には、今後絶対に使用することはないであろう特急「つばめ」の幕が入っている。
• 1995年2月5日の別府大分毎日マラソンにて、試運転列車をランナーと並走させ生中継に映すことに成功。大々的なPRとなったが、定期列車(特急にちりん)が12分遅延した。
• 列車名と青い車体から、別のソニックを連想した人がいたとかいなかったとか。リニューアル後の姿が彼っぽく見えるが、リニューアル前の黄色いフェイスだとより彼っぽく見える、という意見も。

• • そのソニックを作り出した会社の競合他社が作ったゲーム、Splatoonのラッピング車両は885系であった。さすがに慈悲はあったか。

その他

• アニメ超特急ヒカリアンにて、883系1次車(旧塗装)をモチーフにしたキャラクター「スナイパーソニック」が登場する。
• アニメ「新幹線変形ロボ_シンカリオンZ」にて、883系3次車(リニューアル後)をモチーフにしたロボット「ザイライナー883ソニック」が登場、九州新幹線800系をモチーフにしたシンカリオンZ_800つばめと合体する。(一時的にシンカリオンZ_E5はやぶさと合体したこともある。)

• 上記作品アニメ終了後に発売される小説にて、883系Ao-7編成(旧塗装)をモチーフにした「ザイライナー883ソニックニチリン」が登場し、西九州新幹線N700SをモチーフにしたロボットシンカリオンZ_N700Sかもめと合体する。(厳密には4次車のソニックにちりんは走っておらず、西九州新幹線と883系旧塗装は時代が合わない。)

関連タグ

JR九州 特急形電車 振り子 鹿児島本線 日豊本線 885系

ソニック にちりん