概要
1992年7月15日より運転を開始した、特急「つばめ」用として新規設計されたJR九州の特急形電車。
デザインは水戸岡鋭治率いるドーンデザイン研究所が手掛けており、個室付グリーン車や在来線昼行特急電車としては久しぶりとなるビュッフェ車の連結、専属の客室乗務員「つばめレディ」などの趣向が凝らされた。それが功を奏し、1993年に鉄道友の会ブルーリボン賞、翌1994年にはブルネル賞を受賞した。
略歴
1992年7月15日運用開始。9両編成5本と7両編成1本が製造され、「つばめ」(博多~西鹿児島)7往復と、「有明」(博多~熊本・八代)1往復に充当。(9両編成5本、7両編成1本)
1993年、9両編成3本と、増結用2両が製造される。「にちりん」(博多~南宮崎)2往復にも充当開始。
1994年、9両編成2本と、7両編成3本が製造され、「かもめ」(博多~宮崎)に使用される。
1996年かもめから撤退し、つばめ全列車が787系になる。
1999年、先頭車12両(6組)が製造され、特急「有明」用の4両編成6本が登場。中間車は9両編成・7両編成から捻出。
2000年には先頭車5両を製造、中間車5両を先頭車化改造し、予備車として運用を外れていた中間車を組み合わせ、4両編成を5本増強。これにより、全て「有明」が本列車で運用されることになった(捻出された783系は、「みどり」「ハウステンボス」用に改造され、485系を置き換えた)。また、この4両編成は繁忙期の「つばめ」に増結されることもあり、そのために電気連結器が装備された。4両編成は、臨時「ハウステンボス」にも使用。また、この年より運用開始した「きらめき」(博多~小倉・門司港)にも投入。
2002年からは、2004年3月の九州新幹線部分開業に備え、新幹線連絡特急「リレーつばめ」として運用するためにビュッフェ車を普通車に改造。カラーリングもツートングレーからダークグレーに変更された。
2011年3月の九州新幹線全通で「リレーつばめ」廃止・「有明」大幅削減となった結果、485系・783系の置き換えとして九州内各線への転用が行われた。それに伴い、「Relay tsubame」や「ARIAKE」のロゴは「787」「AROUND THE KYUSHU」のロゴに変更された。
2017年3月からは4両編成にはワンマン化改造が行われており、車外スピーカーの設置、客室内の防犯カメラおよびワンマン機器が増設されている。その後、4両編成で運転される列車(「にちりん」の一部、「きりしま」、「ひゅうが」)がすべてワンマン運転となっている。
さらに、2018年からは日豊本線の佐伯駅~延岡駅間の通称「宗太郎越え」の普通列車にも運用されている(先頭車のみ乗降可能。ただし、それ以前にも普通列車での運用自体は宮崎空港線の一部で行われていた)。
2022年9月23日現在、6両編成13本(BM編成)、増結用中間車(サハ787)12両と、36ぷらす3(6両1編成)が南福岡車両区に、4両編成11本(Bo編成)が大分鉄道事業部大分車両センターに所属している。
前者は主に西九州新幹線部分開業に伴い運行が開始された佐賀方面のかささぎ、リレーかもめ、後者は主に宮崎地区のにちりん、きりしま、ひゅうがに使用されている。
D&S列車
2020年10月には、クルーズトレイン『ななつ星in九州』と対になる廉価版のD&S列車『36ぷらす3』が運行開始。787系6両編成1本を全車グリーン席へ改造し、廃止されていたビュッフェ車の連結も久しぶりに行われた。
BM-15編成が改造され、BM-363となった。(車番も363に変更)
詳細は当該記事参照。
主な使用列車
列車名 | 運行系統 | 運行期間 | 備考 |
---|---|---|---|
特急つばめ | 鹿児島本線 | 1992年7月~2004年3月 | 西鹿児島発着 |
特急リレーつばめ | 鹿児島本線 | 2004年3月~2011年3月 | 九州新幹線連絡 |
特急有明 | 鹿児島本線 | 1992年7月~1994年7月、1995年4月〜2021年3月 | 熊本発着 |
特急きらめき | 鹿児島本線 | 2000年3月~ | 門司港・小倉発着 |
特急川内エクスプレス | 鹿児島本線 | 2011年3月~2016年3月 | 鹿児島地区で運行 |
特急かもめ | 長崎本線 | 1994年3月~1996年3月、2001年3月〜2022年9月 | 長崎発着 |
特急リレーかもめ | 長崎本線・佐世保線 | 2022年9月〜 | 西九州新幹線連絡 |
特急みどり | 長崎本線・佐世保線 | 2011年3月~2022年9月 | 佐世保発着 |
特急かささぎ | 長崎本線 | 2022年9月〜 | 佐賀・肥前鹿島発着 |
特急かいおう | 篠栗線(福北ゆたか線) | 2001年10月~2021年3月 | |
特急にちりん | 日豊本線 | 1993年3月~2000年3月、2011年3月〜 | 派生列車に「にちりんシーガイア」 |
特急きりしま | 日豊本線 | 2011年3月~ | 鹿児島地区で運行 |
特急ひゅうが | 日豊本線 | 2011年3月~ | 宮崎地区で運行 |
普通列車 | 日豊本線 | 2018年3月〜 | 佐伯駅〜延岡駅間の普通列車 |
特急36ぷらす3 | 九州全体 | 2020年10月~ | D&S列車のひとつ |
余談
- 実はこの車両、廃止されたものも含めてJR九州の運行するすべての電車特急の運用に入った(臨時・代走含む)と言う凄まじい伝説を持っている。そういった実績や迷列車で行こうシリーズの影響もあって、ファンの間では九州のお局様と呼ばれる事もある。
- またロゴの変更は小倉工場に入場した時にしか行われないため、2011年のダイヤ改正時点での大半の車両は、既存のロゴの上から新規のロゴをシール張りすると言うやっつけ作業丸出しの状態で運用に入るハメになってしまった。
- 1994年10月に開催されたJR東日本大宮工場の一般公開イベントでは、「新旧つばめの出会うとき」と銘打って、T14編成(→BM14編成)がC62 2やEF58等とともに展示された。直流区間は走行出来ないため、JR貨物の機関車による牽引(甲種輸送)で大宮まで運ばれた。
関連イラスト
↑デビュー当時のシルバーの姿
↑有明用編成(赤いロゴがある)
↑リレーつばめとして色が濃くなった姿
↑現在の姿(AROUND THE KYUSHU)