路線データ
路線名 | 佐世保線 |
---|---|
路線区間 | 江北〜佐世保 |
ラインカラー | 緑 |
路線延長 | 48.8km |
軌道間 | 1,067mm |
駅数 | 14駅 |
信号場数 | 1箇所 |
最高速度 | 130km/h※ |
電化区間 | 全線:交流20,000V・60Hz |
複線区間 | 大町〜高橋 |
単線区間 | 江北〜大町/高橋〜佐世保 |
閉塞方式 | 単線自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-DK |
運転指令所 | 博多総合指令センター |
ICカード乗車券エリア | SUGOCA福岡・佐賀・大分・熊本エリア∶全線 |
第一種鉄道事業者 | 九州旅客鉄道(JR九州) |
※設計上の速度であり実際には出していない
概要
江北駅(佐賀県杵島郡江北町)と佐世保駅(長崎県佐世保市)を結ぶ九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線で、幹線。
2022年(令和4年)9月23日まで肥前山口駅(現・江北駅)〜有田駅(佐賀県西松浦郡有田町)間で日本貨物鉄道(JR貨物)が第二種鉄道事業者として免許を保有していた。但し貨物列車の運行は1996年(平成8年)に終了し、トラックによる自動車代行が行われていた。
当初は早岐駅で接続する大村線と共に長崎本線の一部として建設された為、江北駅方面と佐世保駅方面を行き来する場合は早岐駅でスイッチバックする構造となっている。なお大村線には両方向からそのまま行き来が可能。
1934末に有明海沿いを走る肥前鹿島駅経由の有明線が全通、有明線が長崎本線に編入され旧線は肥前山口駅〜早岐駅間を佐世保線に編入し、早岐駅〜諫早間を大村線とした。こうして鹿児島本線博多駅方面と長崎駅を結ぶメインルートの座を長崎本線に譲ったが、2022年9月23日に武雄温泉駅で接続する西九州新幹線が開通すると、特急「リレーかもめ」が博多駅〜武雄温泉駅間で運行を開始し再び対長崎駅方面アクセスのメインルートとなった。またそれに先立ち同年2月27日に輸送力向上の為大町駅〜高橋駅間が複線化されている。
なおほぼ全線に渡り長崎自動車道(長崎道)及び西九州自動車道(西九州道)と並走している。その為福岡市〜長崎市・佐世保市間や長崎市〜佐世保市間の高速バスと競合している。
西九州新幹線開通以前から有田焼で知られる佐賀県西松浦郡有田町や、長崎県第二の都市である佐世保市へのアクセス路線として国鉄時代から重要な役割を果たしてきた。佐世保線電化開業後は昼行の優等列車として小倉駅や博多駅からのL特急「みどり」にこれを補完する急行「弓張」、別府駅から日田駅や鳥栖駅などを経由する急行「西九州」、博多駅から姪浜駅・山本駅・平戸口駅を経由し佐世保駅に至り大村駅経由で長崎駅を目指す急行「平戸」もあった。夜行では東京駅からの寝台特急「さくら」、新大阪駅や大阪駅からの寝台特急「あかつき」や夜行急行「西海」が運行されていた。
その後は急行が廃止され門司港駅発着の「オランダ村特急」や大村線経由で長崎駅〜佐世保駅間を結ぶ特急「シーボルト」が運転されたこともあったが現在では昼行の優等列車は「みどり」に集約され早岐駅から分岐する「ハウステンボス」を併結している。夜行は1980年10月で「西海」が廃止、1999年3月には「さくら」が「はやぶさ・さくら」となり発着駅が熊本駅・長崎駅に、2000年3月に「あかつき」が「あかつき・彗星」となり発着駅が長崎駅・南宮崎駅に変更されたことで佐世保線に乗り入れる夜行列車が消滅した。
2018年(平成30年)3月17日のダイヤ改正で早岐駅〜佐世保駅間の普通列車が大幅に減便され、救済措置として同区間に限り特急「みどり」の普通車自由席を乗車券のみで利用出来るようになった。
沿革
開業〜国有化まで
- 1895年(明治28年)5月5日:九州鉄道の長崎線として、現在の長崎本線に相当する区間を含む佐賀駅〜武雄駅(現・武雄温泉駅)間が開通。現在の佐世保線内に山口駅(現・江北駅)、北方駅、武雄駅開業。
- 1897年(明治30年)7月10日:武雄駅〜早岐駅間延伸。三間坂駅、有田駅、三河内駅、早岐駅開業。
- 1898年(明治31年)1月20日:早岐駅〜佐世保駅間及び現在の大村線に相当する早岐駅〜大村駅間延伸。佐世保駅開業。
- 1898年10月1日:(貨)中樽駅(現・上有田駅)開業。
- 1907年(明治40年)7月1日:鉄道国有法により九州鉄道が国有化される。
国有化後〜長崎本線部分編入まで
- 1909年(明治42年)5月1日:(貨)中樽駅を上有田駅に改称し、旅客営業開始。
- 1909年10月12日:国有鉄道線路名称制定により、山口駅〜早岐駅間が長崎本線、早岐駅〜佐世保駅間が佐世保線となる。
- 1910年(明治43年)12月26日:佐世保線日宇駅開業。
- 1913年(大正2年)3月1日:山口駅を肥前山口駅に改称。
- 1919年(大正8年)12月11日:大町信号所(現・大町駅)新設。
- 1922年(大正11年)4月1日:大町信号所を大町信号場に変更。
- 1923年(大正23年)8月21日:高橋駅開業。
- 1928年(昭和3年)9月1日:大町信号場が駅に昇格。
- 1934年(昭和9年)12月1日:長崎本線肥前山口駅〜早岐駅間を佐世保線に編入。
長崎本線部分編入後〜国鉄分割民営化まで
- 1935年(昭和10年)11月9日:佐世保駅〜北佐世保駅間延伸。北佐世保駅開業。
- 1942年(昭和17年)9月30日:永尾信号場(現・永尾駅)、大塔信号場(現・大塔駅)新設。
- 1943年(昭和18年)8月30日:佐世保駅〜北佐世保駅間を松浦線(現・松浦鉄道西九州線)に編入。
- 1945年(昭和20年)5月15日:大塔信号場を駅に昇格。
- 1949年(昭和24年)1月15日:永尾信号場を駅に昇格。
- 1975年(昭和50年)6月19日:武雄駅を武雄温泉駅に改称。
- 1976年(昭和51年)6月6日:全線交流電化。
- 1979年(昭和54年)3月30日:西有田信号場新設。
- 1985年(昭和60年)3月14日:早岐駅〜佐世保駅間の貨物営業廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴いJR九州が全線の第一種鉄道事業者、JR貨物が肥前山口駅〜有田駅間の第二種鉄道事業者として継承。有田駅〜早岐駅間の貨物営業廃止。
国鉄民営化以降
- 2002年(平成14年)3月23日:ワンマン運転開始。松浦鉄道西九州線との直通運転開始。
- 2006年(平成18年)3月18日:松浦鉄道西九州線への直通運転中止。
- 2009年(平成21年)3月14日:松浦鉄道西九州線への直通運転再開。
- 2018年3月17日:早岐駅〜佐世保駅間の普通列車減便に伴い、特急列車の特例開始。
- 2020年(令和2年)3月14日:松浦鉄道西九州線への直通運転終了。
- 2022年2月27日:大町駅〜高橋駅間複線化。
- 2022年9月23日:肥前山口駅を江北駅に改称。JR貨物の第二種鉄道事業廃止。
- 2024年10月3日:全線が「SUGOCA」福岡・佐賀・大分・熊本エリアに指定予定。
運行形態
特急
西九州新幹線開業までは博多駅〜佐世保駅間の「みどり」と、博多駅〜早岐駅間で「みどり」と併結し大村線ハウステンボス駅まで運行される「ハウステンボス」が運行されていた。開業後はこれらに加えて新幹線「かもめ」に接続する「リレーかもめ」が博多駅〜武雄温泉駅間で運行される。
なお「みどり」と臨時「ハウステンボス」のうち「かもめ」に接続する列車は、列車愛称名の後に「(リレーかもめ)」と副名称が付けられる。
この他に有田陶器市の期間中は「有田陶器市みどり」、その他の繁忙期には「九十九島みどり」がそれぞれ臨時列車として設定されている。
またD&S列車として「ふたつ星4047」とクルーズトレイン「ななつ星in九州」が不定期で、月曜日に「36ぷらす3」が運行される。
快速・区間快速「シーサイドライナー」
詳細は当該記事を参照。
大村線を経由して佐世保駅〜長崎本線長崎駅間で運行される列車。
ほぼ終日に渡り毎時1本運行されているが、日中は区間快速、その他の時間は快速として設定されている。
早岐駅〜佐世保駅間の各駅に停車する為、同区間の普通列車の代替として機能している。
普通
2018年3月17日のダイヤ改正で系統分割が行われて以降は、全線を通しで運行する列車は朝に下り2本・上り3本となっている。うち上り2本は長崎本線鳥栖駅まで運行されている。
江北駅〜早岐駅間では概ね毎時1本運行されている。一部は長崎本線や鹿児島本線に直通し、最長で門司港駅まで運行されている。2012年(平成24年)3月17日ダイヤ改正まで下り列車の一部は山陽本線下関駅から運行されていた。
早岐駅〜佐世保駅間は朝と夕方以降に設定されており、大半が長崎駅または早岐駅発着。前述の通り僅かながら江北駅方面からの列車も設定されている他、「シーサイドライナー」も同区間の普通列車として機能する。
駅一覧
「シーサイドライナー」は各駅に停車する為省略
●:停車 ○:一部停車
△:「36ぷらす3」と「有田陶器市」開催時のみ一部が停車
レ:通過
駅名 | 特急 | 乗換路線 | 備考 |
---|---|---|---|
↑長崎本線経由鹿児島本線門司港まで直通運転 | |||
江北 | ○ | 長崎本線 | |
大町 | レ | ||
北方 | レ | ||
高橋 | レ | ||
武雄温泉 | ● | 西九州新幹線 | 当駅発着あり |
永尾 | レ | ||
三間坂 | レ | ||
上有田 | △ | ||
有田 | ● | 松浦鉄道西九州線 | |
西有田信号場 | レ | ||
↑佐賀県/↓長崎県 | |||
三河内 | レ | ||
↑大村線経由長崎本線長崎まで直通運転 | |||
早岐 | ● | 大村線 | 当駅発着あり |
大塔 | レ | ||
日宇 | レ | ||
佐世保 | ● | 松浦鉄道西九州線 |
現在の使用車両
自社車両
特急「リレーかもめ」(787系・885系。「みどり(リレーかもめ)」は783系も含む)、「みどり」、「ハウステンボス」(783系)で運用中。
また787系は専用車両を使用して「36ぷらす3」としても運用されている。
南福岡車両区(811系・817系3000番台)・佐世保車両センター(817系0番台)所属の交流近郊形電車。
佐世保線の普通列車で運用中。
佐世保車両センター所属の一般形気動車(キハ47形)及び電気式気動車(YC1系)。
2022年9月23日から日中に江北駅〜早岐駅間の普通列車で運用されている。
またYC1系は大村線列車として早岐駅〜佐世保駅間でも運用されており、キハ47形も大村線で運用されていた際には同区間に乗り入れていた。
佐世保車両センター所属の気動車。D&S列車「ふたつ星4047」専用車両。元「はやとの風」及び「いさぶろう・しんぺい」編成を再改造した車両。
- キハ47形キロシ47-9176・3515
佐世保車両センター所属の気動車。D&S列車「或る列車」専用車両。
元JR四国徳島運転所のキハ47形で、同名団体列車の「長崎コース」運行時に入線する。
大分車両センター所属のディーゼル機関車(DF200形)・客車(77系)。
豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」専用車両。
JR西日本所属
- キヤ141系「ドクターWEST」
吹田総合車両所京都支所所属の事業用気動車(検測車)。
JR九州が自前の検測車を保有していない為、JR西日本から借り入れて運用される。
過去の使用車両
国鉄時代のみ
1965年10月から新大阪駅〜大分駅・佐世保駅間の気動車特急「みどり」から運用開始。その後、運用列車は1967年10月から大阪駅〜宮崎駅・佐世保駅間の「いそかぜ」、翌1969年10月から京都駅〜長崎駅・佐世保駅間の「かもめ」と変遷したが山陽新幹線全線開業時に廃止。一貫して向日町運転所所属の車両で運用された。
国鉄時代、キハ58系と共に「九十九島(→平戸)」「出島」「弓張」「西九州」といった気動車準急や急行で使用された。JR化前に引退。
無煙化前の佐世保線で活躍した蒸気機関車。特にC11は特急1965年10月〜1968年10月まで早岐駅〜佐世保駅間で特急「さくら」の補機として活躍した。その他、無煙化される1972年3月まで武雄駅〜永尾駅間の西山峠越えの補機としても活躍している。
自社車両
佐世保線電化後から特急「みどり」「ハウステンボス」で運用された交直流両用特急形電車。国鉄時代から南福岡電車区(現・南福岡車両区)所属。
- 415系0・100・500・1500番台
南福岡車両区・大分車両センター所属の交直流両用近郊形電車。鋼鉄車の0・100・500番台及びステンレス車の1500番台が全線で運用されていた。
鋼鉄車は廃車され、ステンレス車は西九州新幹線開業と共に全車大分に転属し佐世保線の運用を外れた。
- 715系0番台
南福岡電車区所属の交流近郊形電車。
国鉄時代、余剰になった581系や583系寝台電車を改造して誕生。JRになってからも使用されていた。
南福岡車両区所属の交流近郊形電車。
2018年3月17日ダイヤ改正まで運用されていた。
- キハ183系1000番台
長崎車両センター所属の特急形気動車。
始めは門司港駅〜佐世保駅間の臨時特急「オランダ村特急」として1988年3月〜1992年3月を全線で、1999年3月〜2003年3月まで長崎駅〜大村駅〜佐世保駅間の特急「シーボルト」として運用された。現在は臨時特急「あそぼーい!」として豊肥本線で活躍。
長崎運転所(現・長崎車両センター)所属の車両で国鉄時代から使用された急行形気動車。民営化時点では主に大村線系統で運用。
松浦線の松浦鉄道転換まで急行「平戸」として、「平戸」廃止後も快速「シーサイドライナー」や普通列車で運用された。
2001年から佐世保車両センターに所属していた一般形気動車。同年に福北ゆたか線が電化されたことで佐世保や長崎へ転出。佐世保線・大村線・長崎本線で運用されるようになり、キハ66系は松浦鉄道直通列車でも使用された。
キハ200系は長崎地区へのYC1系投入開始に伴い2021年(令和3年)3月11日をもって全車転出、キハ66系は同年6月30日をもって引退した。
大分運輸所(現・大分車両センター)所属の交流電気機関車。
寝台特急「さくら」「あかつき」牽引機。
長崎車両センター所属の客車。
寝台特急「さくら」や「あかつき」で運用された。
JR西日本所属
京都総合運転所(現・吹田総合車両所京都支所)所属の客車。
寝台特急「あかつき」で運用された。
JR貨物所属
門司機関区所属のディーゼル機関車。
甲種輸送等で牽引機として運用されていた。
松浦鉄道所属
佐々車両基地所属の気動車。
佐世保線・大村線直通列車で運用された。